
今年の映画は人間を見せるという意味で圧倒的だったグラン・トリノで始まって、CGを見せるという意味で圧倒的だったこのアバターで終わったという感じ。グラン・トリノも素晴らしかったけれど、アバターも全く遜色がない。ただし、アバターは映画館で見なければ全く意味が無いと思う。それも、3D版だ。
さらに、3Dと言っても、アバターの場合、
IMAX(109川崎、菖蒲)
RealD(ワーナー・マイカルシネマズ系列、シネマイクスピアリ等)
Dolby3D(新宿バルト、T・ジョイ系列、HUMAX系列、エクスワイジーシネマズ蘇我等)
XpanD(109シネマズ系列、TOHOシネマズ系列、シネプレックス系列等)
の4バージョンが存在する。これらについての違いは下記のサイトに詳しく載っているのでそちらを読んでもらえばと思う。
にわか映画ファンの駄目な日常「
3D映画の方式について」
「難しいことはともかく、結論は?」という人のために結論を言えば、とにかくIMAX版を観なさい、ということなので(ちなみにこっそり言うと、上の3Dバージョンの並びはお勧めの順番)、川崎まで行ってIMAX版を観た。
さらについでに言うと、IMAXは、全座席の中でも中央、それもやや前よりがお勧めといわれている。この座席をとるためにはインターネットでの予約が必須。3日前の夜中の0時から売り出されるのだけれど、特等席を狙っている人がそこそこにいるので、きちんと0時にパソコンの前に座っている必要がある。ということで、パソコンの前に座って、しっかりとH列19番を確保。これで万全。
さて、映画が始まってみてすぐに思ったのは、字幕がかなり前面に出るということ。字幕に焦点を合わせてしまうと、それを画像に移すのにどうしてもワンクッション発生してしまう。故意に焦点を合わせないとならないので、注意力がやや欠けてしまう。また、その字幕が戸田奈津子さんだというのも大きなネック。これが松浦美奈さんだったら悩ましいところだが、戸田さんなので、無理して字幕で見ずに、吹き替え版で観るのも一つの手だと思う。いや、まずはIMAX吹き替え版を観る。そうすればストーリーは把握できるんだし、出てくる英語はかなり簡単なもの。わざわざ戸田さんの字幕を読む必要もないのだから、次は字幕版で字幕を読まずに観る、というのが黄金のパターンだと思う。
さて、ようやく内容だが、まず世界観が非常に「風の谷のナウシカ」に近い。特に、アニメージュに連載されていた漫画の方に近い。だから、日本人が見ると、色々と既視感があると思う。これで減点1。しかし、である。その圧倒的な映像美は、そんな減点をすぐにリカバリーする。
続いて、ご都合主義の展開。例えば、「なんで現地人は現地語よりも英語を話すことが多いの?」とか。イタリアを舞台にしていても英語、ドイツを舞台にしても英語ぐらいまでは許すとしても、なぜパンドラで英語?と思わないではない。あるいはラスト。映画版のナウシカのラストのような「ええええ????」というシーンがある。加えて、「おいおい、そんな簡単にその鳥に乗れるなら、誰でも乗っちゃわない?」みたいなシーンもある。そんなこんなも、減点1という感じ。しかし、である。パンドラの世界を完全に描き出したその執念は、そんな減点をすぐにリカバリーする。
その、パンドラの世界。あれ?どうしてこんなに地球の生物相と似ているの?などと思ってしまう。小さい虫がいて、それよりちょっと大きい爬虫類がいて、鳥類がいて、ベースが植物って、地球とそっくり?しかも、パンドラの原住民は人間にそっくり。もうちょっと異世界に描けなかったのかな?などと感じて、これまた減点1という感じ。しかし、である。翼竜に乗った飛翔感を3Dで見せた爽快感は、そんな減点をすぐにリカバリーする。
それで、その岩はなんで浮いてるの?とか、決して細かくない謎もある。でも、そんなことはどうでも良い。これは凄い映画だった。
ちなみに、連続した遠近感(巨大な船とか)のあるシーンは全く違和感がないのだけれど、断続的な遠近感(手前とその後ろに人がいるとか)のあるシーンでは若干見にくさがある。故意に焦点を合わせて欲しくないところをぼかしたりはしていたけれど、それでも限界があった感じ。
映像のことばかり書いちゃったけれど、内容も無難に面白い。もうちょっと人が死ななければもっと良かったけれど、まぁ、こんなものでしょう。何しろ今後の3D映画の標準となりうる作品なので、映画ファンなら絶対に観ておく必要があると思う。評価は☆3つ。