2014年02月28日

マイティ・ソー/ダーク・ワールド

thor2


俗物と言うにふさわしい神様たちがなぜか地球をリングにプロレスを繰り広げるという迷惑千万な映画の続編である。

第一作の評価はこちら
マイティ・ソー
http://buu.blog.jp/archives/51277301.html

この作品も「アイアンマン」と同様、「アベンジャーズ」という作品によって世界観がおかしくなってしまった。律儀に義理立てせず、あちらはあちら、こちらはこちら、というスタンスを取っていたら良かったと思うのだが、そういうわけにもいかない大人の事情があったのかも知れない。アベンジャーズでは特にこの作品の登場人物が重要な役割を果たしていたので、致し方ないところなのか。

ワクワクする展開があるわけでもなく、観たこともないような世界が映しだされるわけでもない。今の技術を使って、無難に特撮映画を撮りました、という印象を受ける。つまらなくはないけれど、面白いわけでもない。家でBlu-rayで観るにはちょっともったいない気もするけれど、1,800円を払ってわざわざ映画館で観るほどでもない。ちょっと微妙なできである。ストーリーそのものが陳腐だし、先の展開がほとんど読めてしまうので、「あぁ、やっぱりね」という感じだ。

ブラック・スワンの演技で一流女優の仲間入りを果たしたナタリー・ポートマンは前作同様、このアカデミー賞などには全く無縁と思われる娯楽作で安定した演技を見せている。他の役者たちも普通に健闘しているけれど、やはりストーリーが魅力的ではないので、役者の演技の無駄遣いである。

前作よりもパワーダウンしているのは明らか。評価は☆1つ。

  

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2014年02月27日

キック・アス/ジャスティス・フォーエバー

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快作「キック・アス」の続編。

可愛かったクロエ嬢は大きくなっているし、心強かったパパはもういない。この状態で、果たして柳の下にもう一匹ドジョウはいるのだろうか??

映画は前作の二年後を舞台にしていたけれど、ヒット・ガールはもう普通の高校生に成長していて、もはや何の意外性もない。この作品の前に「モールス」「ヒューゴの不思議な発明」「ダーク・シャドウ」といくつもの話題作に出演してきたクロエ嬢はその時点でもうすでに”ガール”ではなくなっていた。やはり、可愛い女の子の口から、全く不釣り合いな言葉がポンポン飛び出てくるところがこの作品の肝だったわけで、それが成長してしまえば、スケバン刑事みたいなものである。これでは、作品の魅力は激減だ。

クロエちゃんの可愛かったアヒルくちびるも、成長してしまうとむしろ弱点である。これと同じ経験を日本人は「北の国から」の蛍ちゃんやれいちゃんで経験しているのだが、少女の時の輝きというのはなんとも儚いものだし、だからこそ、前作は喝采のもとに迎えられたのだと思う。

ラーメンで言えば、麺が伸びてしまったようなもので、こればっかりは取り返しがつかない。麺を取り除いてはラーメンとして成立しなくなるし、方法としては新しい麺を投入するしかなかったのだが、ストーリーを考えるとそれにも無理がある。

結局、続編に着手するまでに2年間を要したという時点で、失敗は決まっていたのだと思う。それでもなお、やってしまうあたりは洋の東西を問わないのかも知れない。さらにもう一作やりますよ、という感じの終わり方だったけれど、米国ではこの映画はヒットしたんだろうか?このまま、シリーズ終了となっても特に不思議には思わないできだった。

評価は☆半分。  
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ウルフ・オブ・ウォールストリート

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ジョーダン・ベルフォートの回想録『ウォール街狂乱日記 - 「狼」と呼ばれた私のヤバすぎる人生』を原作としたコメディを、日本で言えば三池崇史並に多作のマーティン・スコセッシが監督。多作の監督の中では打率が高い部類のスコセッシなので、そこそこ期待して観に行ってきた。主演はスコセッシ作品にも何度か起用されているディカプリオ。

いくらなんでもデフォルメされ過ぎているのではないか、と心配になるくらいに酒と女と薬漬けのメチャクチャっぷりだけど、証券業界の体質をさらりと、それでいて鋭く描いていた。つまりは、「株価なんて、実体がないもの。その紙切れを売買させて、手数料として俺達はリアルな『カネ』を手にする」というもの。僕の周りにも証券業界の人間や、昔業界にいた人間がたくさんいるけれど、彼らが口を揃えるのは「株価なんか、上がるか下がるかわからない」という言葉。その、さっぱりわからない状況の中で、リアルなお金を手にするやり方がきちんと描かれていた。主人公の口八丁手八丁のやり口も、ボールペンを使ったちょっとしたエピソードを挟むことによって、観る側に「あ、こいつはちょっと違うんだな」と思わせることに成功している。

終始馬鹿騒ぎしている映画なので、ちょっと冗長に感じるところはあるのだが、そのたびに「裸」のサービスでアクセントをつけている。マーゴット・ロビーという美人女優を始め、あちこちでおっぱいやお尻丸出しのサービスシーンがある。

余計なうんちくを盛り込んだり、お説教のような教訓話にせず、お祭を描くことに徹しているのが良かった。評価は☆2つ。  
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2014年02月26日

ポンチ軒

昨日、15時閉店ということなので14時に行ったら、完売で閉店済み。マジかよ、と思って今日は開店時間の11:15に行ったら、今度は目当てのメニューが13時から。客商売としてどうなのよ、と思わないでもないのだが、この辺りの店は、トンカツを食べるだけの目的で郊外から一時間かけて出かけてくるような客は想定していないのかも知れない。

食べたかった特ヒレ一本揚げも、厚切りロースも食べることができなかったのだが、一般のランチメニューだけしか食べることができないなら出直そうとしていたら、「メニューには1時からと書いてあるけれど特ヒレと特ロースなら作れる」とのこと。要は、揚げるのに時間がかかるメニューはランチタイムに注文されると迷惑、ということのようだ。何はともあれ、かろうじて特ヒレを食べられることになった。

ようやくありつけた特ヒレだが、衣の細かさはやや粗め。パリッとした食感はナイスだが、やや硬すぎる気もする。肉はそこそこにジューシーなのだが、素のままで食べるにはちょっと旨味が足りない。それなら、ということで辛子、ソース、塩、柚子胡椒と色々試してみたのだが、旨味が足りないのは、調味料ではカバーしきれない。2000円を越える価格でこの肉質だと、少々残念な感じである。




ご飯や豚汁、漬物と、どれもこれも、高級とんかつ店のそれと比較すると見劣りがする。しかし、主力商品は1,000円そこそこの定食メニューなので、とんかつ以外のところで高級店と比較しても、勝負になるはずもない。










同行者が注文した特ロースを一口食べさせてもらったが、肉に旨味が足りないのはロースもヒレも同じだった。この店の場合は、どちらかと言えばヒレよりはロースの方が質が高いと思う。




気合いを入れて美味しいトンカツを食べたいという人には、丸五なり、すぎ田なり、他にもっとずっとレベルの高い店が近所にあるので、そちらに行くことをお勧めする。夜のみ提供と思われる特ヒレ一本揚げを食べてみたい気もするのだが、宿題になっている店も少なくないので、次がいつになるかは不明である。

店名 ポンチ軒
TEL -3293-2110
住所 東京都千代田区神田小川町2-8 扇ビル 1F
営業時間 11:15〜15:00(L.O.14:30) 17:30〜22:30(L.O.21:30)
定休日 日曜日  

2014年02月25日

井関屋

とんかつを食べに行ったら、ラストオーダーの30分以上前にも関わらず終了していた。プロ意識の欠如した店だなぁ、と立腹しつつ、近所のカレー屋に行ったら、こちらも閉店時間前に終了済み。御茶ノ水界隈はこういう店が多いんだろうか。

仕方なしに、ずっと遠巻きに見るだけだった井関屋へ行って、一杯。以下、評価。



名称:井関屋
種類:東京
場所:小川町
注文:肉そば
評価:5/BBA
2013.2.25
コメント:醤油ベースの中華そばと、味噌ベースの2パターンを用意しているのだが、麺は中華そばだと細麺、味噌だと中位の太さになる。スープによって麺を変えるのは普通の工夫だが、茹でるのにかける時間がほとんど変わらないため、中華そばの麺は柔らかすぎてコシが足りない。味噌は普通に茹で上がっているので、こんなことなら麺を変えるとか、余計な工夫はしなければ良いのに、と思う。多分、味を作った人と、実際に厨房で調理している人が違う人で、味を作った人の意匠を全く理解していないのだろうと推測。

スープはトンコツ鶏ガラブレンドの醤油味で、なかなか美味しいのだが、脂が多すぎて若干味がぼけてしまっている。脂のせいで味が足りなくなるのは店のサイドでも自覚しているのか、デフォルトでもやや塩分が強めだし、テーブルの上にはご丁寧に調整用のタレが用意されている。早速試してみたけれど、味が足りないのは調味タレで調節できるものではないようだ。それなら最初からもう少し脂を少なめにすれば良いのに、と思わないでもないのだが、脂をたっぷり入れたくて我慢できないのだろう。健康には悪そうなスープである。

チャーシューはバラ肉の煮豚だが、脂の部分が多すぎることはなく、味付けも良い。これはトッピングする価値がある。

このあたりはいくつか優良店があるし、その他にもラーメン以外で美味しい店がたくさんあるので、わざわざこのレベルのラーメンを食べる意味はない。とはいえ14時過ぎでもやっていたことは素直に評価できるので、辛味噌のレベル5(一番辛い)を食べにもう一度来てみても良いかも知れない。

店名 井関屋
TEL 03-6206-8756
住所 東京都千代田区神田小川町1-6-2
営業時間 月〜金 11:00〜23:00 土・日・祝 11:00〜21:00
定休日 不定休  

2014年02月24日

家路

試写会で鑑賞。

原発政策について問う内容なので、一番先に僕のスタンスを書いておくと、

1.原発は、可能な限り迅速に廃炉に向かうべきだと考えている
2.茨城県を中心とした周辺の農作物は選択的に食べないようにしている
3.茨城、福島〜伊豆半島ぐらいまでの水産物はなるべく食べないようにしている

といったもの。日本人としては放射能に対して強めの反対感情を持っている。

3.11後、福島第一原発そばの自宅から避難し仮設住宅暮しを続ける農家を中心として、人間模様を描いた作品。突然、それまでの暮らしが一変した住民たちの苦悩を淡々と描いている。

現在進行形の災害のため、かなり微妙な印象を受ける。松山ケンイチ演じる主人公の生き方を肯定的に受け取るか、否定的に受け取るか、という問題があるのだが、そもそも主人公の行動が日本社会として許容できるのか、という問題がある。個人的には理解は可能なところもあるけれど、震災まで当地にいなかった人間の行動としてはいかがなものなのだろうか。

同じことを訴えるにももうちょっと違った表現手法があったはずで、その点でイマイチ評価できない。原発や放射能だけでなく、ボケや親子についての描写もあったけれど、どれもこれも消化不良でフォーカスがぼけてしまっていたことも残念。

役者たちはみんな良い演技だったので、一層もったいない感じがする。

試写会だったので、鑑賞後にアンケートがあったのだが、「号泣度」の評価を求められて困惑した。この映画で泣くことってあるのだろうか?

評価は☆1つ。  
Posted by buu2 at 16:41Comments(1)TrackBack(0)映画2014││編集

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サジヤ

文化村で映画を観た帰りに、ちょっとワインでも飲みながら軽く何か食べよう、ということになって、有名なラーメン屋の先にあるワインバーへ行ってみた。時間的にちょっとフルの料理は重すぎたので、オードブルっぽい料理を二皿頼んで、あとはグラスでワインを2杯ほど。







早い時間に来ないと食べ物が次々と完売してしまうようだ。文化村の映画館は日曜日の最終回が割引なので、日曜の夜にやっているのは嬉しいのだけれど、美味しそうな料理に線が引っ張ってあって、注文できないのはちょっと残念。

ともあれ、次に来る時はもうちょっとお腹をすかせてきてみたい。

店名 サジヤ (SAjiYA)
TEL 03-3481-9560
住所 東京都渋谷区神山町9-17 神山ビル 101
営業時間 18:00〜24:00
定休日 月曜日  

2014年02月23日

近畿大学水産研究所 銀座店

近大の水産研究所で育った養殖マグロが目玉の店。今は予約困難らしく、店頭は予約なしの行列が途絶えない人気店である。今日は夕方に銀座でちょっと時間ができたので、夜の部の開店直後にふらっと立ち寄ってみた。

マグロの養殖で有名になったので、マグロだけかと思ったら、マグロ以外にも、ヒラメ、ハマチ、シマアジなどの魚を食べることができた。

味はまぁまぁ。普通にマグロの味がした。ただ、特別美味しいわけでもなければ、特別安いわけでもなく、これといった特徴がなかった。素晴らしく手が込んだ料理というわけでもなく、話の種に一度行っておくのは悪くないけれど、二度目はないな、というのが正直なところ。

























店名 近畿大学水産研究所 銀座店
TEL 03-6228-5863
住所 東京都中央区銀座6-2 東京高速道路山下ビル 2F
営業時間 11:30〜15:00(L.O.14:00) 17:00〜23:00(L.O.22:00)
定休日 不定休  
Posted by buu2 at 18:30Comments(0)TrackBack(0)グルメ−和食││編集

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男子スラロームの主役

ソチ五輪の男子スラロームはまれに見る泥レースとなってしまった。それを演出したのは、セッターを担当したクロアチアのコーチ、コステリッチである(ヤニツァ・コステリッチ、イヴィツァ・コステリッチのパパ)。

ただでさえ急でハードな斜面だったのだが、そこにとんでもない旗門をセットしたおかげで、選手たちの完走率が著しく下がってしまった。おかげで、完全なサバイバルゲームとなってしまい、一本目の記録などはほとんど意味がないものになってしまった。

実は僕も同じような場面の当事者になったことが、一度だけある。それは確か大学3年の時で、栂池で開催された東京地区国公立大学スキー大会のスラローム競技だった。その時、一本目のセットが異常にインターバルの広い設定になっていて、まるでジャイアントスラロームのようだった。GSの試合も別途行われていたので、一本目が終わった後、選手会がセットを担当した栂池スキースクールに、「二本目はもうちょっとスラロームらしいセットにしてくれ」と要望を出した。その要望にへそを曲げた栂池スキースクールは、一本目の三倍にも及ぶ本数の旗門をセットした。そのセットは一本目はもちろん普通のスラロームと比較しても異常に間隔が狭く、僕は、ゴールに到達するまでに2回転倒した。二本目に出走した全選手の中で、転倒しなかったのは2人だけで、3位の選手ですら1度転倒したという、異常事態となった。この一件以後、僕は栂池が大嫌いになった。

アルペンスキーという競技は、基本的にはセットに文句を言うべきではない。選手は、ポールが立っているところを黙って滑れば良い。今回も、きちんとゴールした選手は何人もいたし、優勝したのは一本目にラップだったマリオ・マットだったのだから、速い選手がきちんと結果を出したとも言える。上位に並んだ選手たちは、確かにこのところ調子の良い選手たちだった。しかし、スタートバーを切ってピステに飛び出していく選手たちが次から次へと途中棄権してしまい、まともにゴールした選手が数名しかいないというのはいかがなものか。少なくとも、テレビでレースを観戦していても、面白いレースではなかった。選手はもちろん、多くの観戦者も、このセットには納得がいかなかったと思う。選手たちはこのレースに向けて長い時間をかけて調整してきたはずで、その努力がほとんど実を結ばないのでは、虚しいとしか言いようがない。それを観ている僕たちも同じだ。

今回のスラロームは、主役が選手ではなくセッターになってしまった。こんな不幸なレースは、もう観たくない。  

2014年02月22日

江戸っ子寿司 彩

三菱総研時代、良く食べたのが江戸っ子寿司だったのだが、改めて食べてみると、美味しいな、と思うネタはイワシとウニくらい。他の魚はどうもイマイチで、どうしてこの寿司をありがたがっていたのか良くわからない。回転すしで食べるよりはずっとマシだけど、これよりも美味しい店はいくらでもある。この店が味を落としたのか、僕の基準が変わったのか、どちらかはわからないのだが・・・。まぁ、友達とちょっと魚を食べながら酒を飲むというニーズには応えてくれるけれどね。













店名 神田江戸っ子寿司  彩 南口
TEL 03-3258-1237
住所 東京都千代田区鍛冶町2-13-2
営業時間 ランチ 月〜土 11:30〜14:00 ディナー 月〜金 17:00〜23:00(L.O.22:30) 土 17:00〜22:00(L.O.21:30)
定休日 日・祝  
Posted by buu2 at 00:23Comments(0)TrackBack(0)グルメー寿司││編集

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2014年02月21日

フィギュアスケート女子フリーを見終えての雑感

スポーツ選手の引退時期は、選手自身が決めるものだ。

辰吉丈一郎のように辞めどきがわからなくなって、ボロボロになるまでやる人もいる一方で、中田英寿のように、え?このタイミングで?と不思議に思うようなときに辞めてしまう人もいる。どれが正解ということもない。

浅田真央は今回の五輪で引退すると言われているが、まだ白紙というのが正直なところだろう。以前、ソチ五輪について「集大成」という言葉を選んだのが失敗だったと思う。彼女がソチで引退するか、しないのかは本人次第だが、少なくともソチは、彼女の大会ではなかった。昨日のフリーも、ツイッターでは称賛の声が大きいが、リザルトを見れば決してノーミスではなかった。

http://www.isuresults.com/results/owg2014/owg14_Ladies_FS_Scores.pdf

ノーミスだから良い、悪い、という話ではない。演技が「集大成」としてどうだったのか、ということだ。ただ、それも、浅田真央自身が納得しているなら、他人がとやかく言うことでもないだろう。

ショートプログラムも、フリーも、生でテレビ観戦したのだが、浅田真央の演技は、ギャンブル的で余裕が感じられなかった。また、フリーでは演技開始の時点で体が左に傾いていて、違和感があった(カメラの角度の問題かも知れないが)。フリーの途中からはいわゆる「ゾーン」に入ったのか、徐々にキレと安定感が増してきたのだが、ショートプログラムと合わせて五輪の75%が終了したタイミングでは、手遅れ感が強かった。それ以上に、ショートとフリーの前半は「挑戦」ばかりが前面に出ていて、演技からはスケートの楽しさがあまり伝わってこなかった。

フリーの演技における全てのジャンプ(=ギャンブル)に表向き勝利したせいで、たくさんの賞賛するつぶやきがツイッターに流れたけれど、それは判官びいき的な色彩もあったのではないか。それはそれで全く構わないのだが、日本人の活躍ではなく、「世界最高の演技」を楽しみたいというスタンスからは、やや疑問だった。とにかく危なっかしくて、終始ハラハラ・ドキドキしっぱなしなので、精神衛生上良くない。そういったギャンブルの積み重ね、挑戦にこそ醍醐味があるのかも知れないけれど、僕が長いことやってきたアルペンスキーが、「ミスしたら終了という条件下で、完走することを前提としていかにして限界に近づけるか」という競技だったからか、クリアできる可能性が低い状況で挑戦していくというのは、ちょっと好みではなかった。やはり、確実にこなすことが前提の競技のほうが好きだ。例えばジャンプ競技なども、きちんと着地できるのが大前提である。そういう競技の方が、実は多いのがスポーツである。

多くの日本人は浅田真央の演技に感動したようだが、実は僕にとっては浅田真央よりもキム・ヨナの演技の方が興味深かった。キム・ヨナは、終始安定した演技を続け、ギャンブルらしいギャンブルに挑戦しなかった印象がある。腰が万全ではないという報道もあったし、ブランクが長かったせいか後半は体力的に息切れしていた感もある。そうしたいくつかの制限の中で、自分が現在できる範囲の演技を完璧にこなす、という姿勢が凄いと思った。一度金メダルを獲っているという余裕もあったのかも知れないが、今自分が置かれている状況を正確に判断し、その上で、確実にこなすことのできる課題を全て完璧にこなした、という感じを受けた。とかく、「根性」とか、「気持ち」でなんとかしようとする人が多い東洋人の中にあって、非常に合理的で、理性的な演技に見えたのである。そのあたりの安定感が素晴らしく、それでいて彼女が設定した「限界」がかなり高度なところにあったので、これは凄いなぁ、と感じたのである。

仲の悪い2つの国家の国民が勝手に金メダルを期待しただけで、それとは無縁の次元で、彼女たちにしかわからない戦いがあったに違いない。その戦いで、浅田真央は長年のライバルだったキム・ヨナに敗れ、そのキム・ヨナもソトニコワに敗れた。フリーの後半でのみしか満足のいく滑りができなかった浅田はともかく、キム・ヨナは、思い残すことは何もないはずだ。銀メダルで不満なのは、彼女の取り巻きばかりだと想像する。

誰が去り、誰が残るのかは現時点ではわからない。全てのスポーツに共通しているが、選手の入れ替わりは必ず起きて、でも、競技自体は引き続き開催される。今回の主役たちには「おつかれさま」という言葉しかないし、まだこの世界に残るなら、また世界最高の演技で楽しませて欲しいと思う。出場することができなかった選手も含め、競技者たちは一人一人、舞台への出場切符の獲得に向けて、血の滲むような努力を積み重ねている。それが高度に濃縮されているからこそ、五輪は素晴らしい。  

2014年02月20日

静流

代々木上原で働いている知人が「代々木八幡に美味しそうな気配のする和食屋がある」というので、食べに行ってみた。予約の電話をしてみると18時から2席のみ空きがあるということだったので、多分2時間制なのだろう。ラストオーダーが22時ということなので、3回転しているのかも知れない。

お店は小さめの厨房を囲うようにして8席のカウンターのみ。カウンターの中では女性の店主が一人で料理をしている。スタイルとしては要町の「もり山」とそっくりである。料理は先付、前菜、造り、焼き物、煮物、希望者のみ釜焚きごはん、味噌汁、香の物でしめて4,100円である。若干、味付けや素材にクエスチョンマークがつく料理があったことは否定できないのだが、4,100円という値段を考えれば当たり前。というか、コストパフォーマンスを考えれば物凄い優良店だと思う。











































店には鰹節削り器があるし、羽釜もある。このあたりの素材を大事にしているところも、もり山にそっくりである。




小田急線沿線の友人とちょっと飲みに行こう、という場面で重宝しそうな店である。

店名 和食 静流(しずる)
TEL 03-3481-6708
住所 東京都渋谷区富ヶ谷1-52-10 半地下
営業時間 午後六時より、十時最終入店
定休日 日曜・祝日  
Posted by buu2 at 23:32Comments(0)TrackBack(0)グルメ−和食││編集

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【急募】森喜朗東京五輪・パラリンピック組織委員会会長を辞めさせる方法

森喜朗は都知事選でも「原発ゼロなら五輪返上」という珍説を展開して馬鹿を晒していたのだが、

「原発ゼロなら五輪返上」 ハタ迷惑な森喜朗の“ご乱心”
http://gendai.net/articles/view/news/147354

今度はこれである。

森元首相 真央に「あの子、大事なときには必ず転ぶ」
http://www.sponichi.co.jp/sports/news/2014/02/20/kiji/K20140220007629140.html

「負けると分かっていた。浅田真央選手を出して恥をかかせることはなかった」


「見事にひっくり返った。あの子、大事なときには必ず転ぶ」


だそうで。こんな奴が東京五輪・パラリンピック組織委員会会長で良いの?こいつを辞めさせる方法はないの???  
Posted by buu2 at 17:02Comments(0)TrackBack(0)ニュース││編集

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クックパッドがなぜ料理上達の障害になるのか

料理の上達法について書いた記事がアクセスを集めているのだが、

料理と勉強における共通のコツをわかっていない人々
http://buu.blog.jp/archives/51410726.html

これは別の記事の枕として書いたものなので、ここで料理のみに絞って加筆しておく。まず、上記の記事にはいくつかのはてブがついているのだが、例によって的が外れているブックマークがあるので、念のため反論しておく。

id:uoz
それじゃあ料理を一つ作る前に挫折する どうしてプログラミングを教えるときhello worldから始めるのか考えよ


偉そうに「考えよ」とか馬鹿じゃねぇか(笑)?、というのが正直な感想だが、まじめに反論するなら、僕は料理の先生ではないという言葉に尽きる。僕は料理学校の先生として生徒からお金をもらっているわけではないので、別に、これを読んだ人の料理の腕が上がろうが、上がらなかろうが、全くどうでも良い。料理の勉強に関するモチベーションの維持など、興味もない。モチベーションなど、「彼氏においしい料理を食べて欲しい」でも、「自分でおいしいものを食べたい」でも、「他人から料理上手と褒められたい」でも、「自分で店を持ちたい」でも、何でも良いし、それを維持させるのは僕の役割ではない。「本気で料理が上手になりたい」と思っている人に向けて書いているのだから、モチベーションが維持されるのは大前提である。ましてや、「始めるか考えよ」とか、大きなお世話である。

さて、ここからが本論だが、前半のほとんどは元記事のコピペなので、よろしく。
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クックパッドは誰のために?
最近、数人の「料理を始めた」という人(ほとんどが30代)と話をしたのだが、「どうやって料理しているんですか?」と質問すると、みんなから「クックパッドを見て」と判を押したような返事があった。そのたびに、僕は「本気で上手になりたいと思うなら、クックパッドを使うのはやめなさい」と言っている。クックパッドがダメなサイトなのではない。料理の初心者には向かないサイトなのだ。料理には、料理の理屈がある。たとえば、煮物を作るときに具材を同じくらいの大きさに切るのはなぜか。ぶり大根を作るときに米のとぎ汁を使うのはなぜか。ゆでたまごを作るときにお湯に塩や酢を入れるのはなぜか。砂糖と醤油を使う料理では砂糖を先に使うのはなぜか。これらのコツの背後には理屈がある。それは汎用的な理屈なので、他の料理にも応用がきく。一つの料理を作るときの知識(=コツ)が、他の多くの料理のベースになるのである。ところが、クックパッドでは、そういう理屈が理解できない。なぜなら、一つの料理を上手に仕上げるための知識しか掲載されていないからだ。

クックパッドは料理を上手に作るためのサイトであって、料理が上手になるためのサイトではない。

もちろん、料理をするたびにクックパッドを見ればそのたびに上手な料理をつくることはできる。しかし、クックパッドがなければ何もできなくなってしまう。これでは、クックパッドの達人ではあっても、料理の達人ではない。

料理上達の最短ルートは「コツ」を身につけること
僕は、料理の上達を志している初心者には、クックパッドを見るのはやめて、「調理以前の料理の常識」や「「こつ」の科学-調理の疑問に答える」といった本を読むことを勧めている。これらの本に掲載されている知識が身について初めて、クックパッドは便利なサイトになる。

 

料理の上達に必要なのは、目の前にある「オムレツを作る」という課題を解決することが重要なのではなく、オムレツを上手に作るために必要な知識(=コツ)を整理しつつ身につけ、そこで得た知識を親子丼や餃子を作るときに利用する、といったことだ。そして、この考え方は普段の勉強にも通じるところがある。僕が料理を始めたのは5年ぐらい前だと思うのだが、その習得にあたって、普段の勉強の方法をそのまま適用した。基本と、理屈をきちんと勉強して、最短ルートで上達してきたと思う。おかげで今では多くの人から「料理が上手な人」と思われている。料理はたくさんの試行錯誤の末に、今の形になっている。その、エッセンスが「コツ」である。そして、理想的には、その「コツ」を理屈、すなわち科学として理解しておくことが好ましい。料理はコツで、コツは科学である。

コツの次は、慣れと経験
さて、ここまで書いてきたのは、いわば料理上手のための土台作りである。この上に、しっかりとした建物を作る必要がある。そのために必要なのが、「慣れ」や「経験」である。

例えば、僕は料理を始めた頃にカレーを作って、焦がしたことがある。ルゥを入れてから少しの時間目を離した隙に、カレーが焦げてしまったのだ。この経験をもとに、「カレーを作る時は、ルゥを入れた後は鍋から目を離してはならない」という経験則を学んだ。他の料理を作った経験から、今では「火を使っている限り、鍋から目を離してはならない」と考えている。

あるいは、味見の大切さも経験則から身につけた。僕は味噌汁を作る時、昆布とかつお節でダシを取ることが多いのだが、最初のうち、ダシの味がどういう構成になっているのか良くわからなかった。それがわかったのは、昆布のダシを取った段階と、かつお節を加えた段階の、2回に渡って味見をした時だった。そして、それがわかった時に初めて、昆布とかつおによる味の組み立て方が理解できたのである。つまり、完成品の味を見るだけではなく、料理の途中でも、味を確認しておくことが重要なのだ。これも、実際に味をチェックしてみなければ、理解できないことである。

このように、実際の経験も、料理においては重要な位置を占める。そして、それは結局どれだけ料理をやったかなのである。ただ、この時に、前述の「コツ」を意識するかどうかで、その後の展開が大きく変わってくる。他の料理にも応用できるように、と考えていれば、あらゆる経験が料理の上達に資するのだが、その感覚がないと、無駄に経験を積んだに過ぎないのである。このあたりで、「土台」があるか、ないかの差が出てくる。そして、それはすぐに大きな差になってくるのだ。

この他にも、経験は「慣れ」の部分で重要で、例えば包丁の使い方などがこれにあたる。僕の場合、料理のスキル向上を目指すと決めた段階で、まず一日一個、リンゴの皮を剥くことから始めた。次にやったのが大根の皮剥きだが、ある段階を過ぎたあたりで、そこそこの技術に到達し、以後は毎日の料理が全て、包丁の技術向上のための場となった。料理をするたびに包丁を使うのでこれは当たり前なのだが、あるレベルに到達するまでは、その効率が著しく悪い。だから、最初の数ヶ月は、我慢して毎日地道に包丁を使う時間を作る必要がある。パソコンで言うなら、ブラインドタッチが包丁技術にあたる。ブラインドタッチは、できるようになろうと志したら、一定の期間は努力する必要がある。しかし、一度ある程度の技術が身につけば、それから先は、パソコンを使うことがそのままブラインドタッチの練習になっていく。

それから、経験として忘れてはならないのが、「おいしい料理を食べること」である。時々、何を食べても美味しく感じてしまう人がいる。そういえば、以前の会社で吉野家が美味しいと力説する人がいたので、「なぜ松屋やすき家と比較して、吉野家が美味しいと感じるのですか?」と質問したら、「量が多いから」という答えが返ってきて苦笑いしたことがあるのだが、このレベルの人が美味しいものを作ることができる可能性はかなり低い。美味しい料理を食べるという経験を重ねていくことも、非常に大事なことである。

最後に大事なのが道具
そして、最後に、道具についての知識が出てくる。包丁ひとつとっても、形状や材質が異なる。野菜を切るのにはセラミクス製の包丁が便利だが、魚をおろすのには向かない。魚をおろすにも、魚の種類によって出刃包丁を使うのか、刺身包丁を使うのか、三徳包丁を使うのか、適切なものを選ぶ必要がある。「そんなにたくさん用意できない」ということなら、じゃぁ何を持っておけば代用が利くのか、という知識が必要になる。このあたりの知識は、ネットにいくらでも転がっているので、それを調べれば良い。大事なことは、「料理によって、適切な道具を選ぶことが好ましい」という知識があることである。これを知っていれば、「今日作る料理には何が必要なのか」を考えることができる。知識がなければ、何も考えずに材料を買ってきて、闇雲に調理を始めてしまうことになる。包丁、鍋、フライパンあたりは用途に合わせていくつも持っていたほうが良い。弘法は筆を選ばないが、見習いは道具を選ぶのが重要だ。良く切れる包丁を使うことによって、料理の腕は間違いなく上達する。

まとめ
以上、「コツ」を身につけるという姿勢、慣れ・経験、道具に関する知識が料理上手への大事な3要素である。そして、一番大事なのが、「コツ」を身につけることで、この土台作りさえやっておけば、他の要素もあとからついてくる。なぜクックパッドが料理上達の障害になるのか、それは、この一番大事な「コツ」を身につけることにつながらないし、むしろ邪魔になるからなのだ。ブラインドタッチの練習で言うなら、クックパッドを見てしまうことは、キーボードを見てしまうような行為なのである。  
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ジョバンニの島

試写会で鑑賞。

終戦前後の色丹島を舞台に、幼い兄弟の生活を描いている。終戦から後の色丹島の人々を描くという、ありそうであまりない設定が新鮮だった。

ソ連と日本の子供を中心とした親密な交流が描かれている。ソ連と日本という国家同士の関係は常にギスギスしていた印象があるけれど、軍人でなければ、生活者たちの交流はこんなものだったのかも知れない。今の日韓や日中の関係も、国家レベルの関係と、民間レベルのそれとではかなり大きな温度差があると思うのだが、当時の色丹の住民が置かれていた状況も同じなのかな、と思った。

映画自体は、キャラクターや声優を含め、絵作りとしてはそれほど新しいものが感じられなかった。何か新しい表現を見せよう、という野心は感じられず、あくまでもストーリー勝負ということだったのかも知れない。

音楽では、北海道を舞台にするとどうしてこう北の国から調の音になるのかなぁと思っていたのだが、テロップを見たら作曲しているのがさだまさしなので当たり前だった。

宮沢賢治の銀河鉄道の夜を素材にしつつ物語が進むので、久しぶりにまた小説を読み返してみたくなった。

色丹の歴史を良く知らない人には勉強になると思う(僕もそのひとり)ので観ておいたほうが良いとは思うのだが、わざわざ映画館で観なくても良いかな?というのが正直なところ。内容自体は教養として役立つので、テレビ放映の時に観ておくか、レンタルでの鑑賞を推奨。

評価は☆1つ半。  
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2014年02月19日

ジャッジ!

広告代理店の下っ端社員を主人公にしたコメディで、ホイチョイプロダクションの気まぐれコンセプトを実写化したような趣き。ちょっとした笑いがあちこちに散りばめられていて楽しめる。とはいえ、あくまでも小ネタの集合体で、大爆笑というわけではない。

世界的なCMコンテストに日本のCMが3本もノミネートされていたり、全編通して現実味は薄いのだが、お馬鹿映画と開き直るならそれほど気にならない。

北川景子演じるヒロインがただのギャンブル好きで、仕事ができる気配が皆無。キャラ作りに失敗していて、彼女に魅力がないのは大きなマイナス。豊川悦司やリリー・フランキーが比較的良いキャラなのと対照的である。ヒロインがストーリーを引っ張り切ることができないので、物語には深みがない。

お金がなかったのか、画面から華やかさが全く感じられず、このあたりは無駄にゴージャスだったディカプリオの華麗なるギャツビーあたりを参考にすべきだっただろう。貧相な表現に終始しているので、サンタモニカで開催しているはずなのに熱海が舞台のような場末感がある。

この他にはこれといって大きな欠点が見当たらないのだが、一方で素晴らしく魅力的な点も見当たらず、ちょっとした笑いが盛り込まれただけのコメディ映画になっている。広告マンたちが広告業界を舞台に映画を作ってみました、という点でやはり気まぐれコンセプトの実写化という表現がしっくり来ると思うのだが、あれは4コマ漫画。見開きページで3つのショートストーリーならオッケーでも、2時間の映画となると、ちょっと苦しいところもある。

ただまぁ、個人的にはこのくらい楽しめて1000円なら文句はない。1800円だと、ちょっと、というレベルだと思う。評価は☆1つ半。  
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2014年02月18日

関東地方の積雪対策について

色々なレベルで発生する交通マヒだが、ここでは山梨や群馬で発生した交通マヒについて記述する。

今回の大雪の際、たまたま埼玉県から群馬県に至る、主に国道17号の交通マヒのまっただ中にいたので、群馬県の国道沿いでなぜ交通がマヒしたのかについて書いておく。

まず、最大の原因は大型車である。大型車は小型車に比較して雪に弱く、またチェーンを利用することが多いので、路面の状況を悪化させる。そして、一番筋が悪いのは、動かなくなったトラックを乗り捨てて、どこかへ行ってしまうドライバーがたくさんいるのだ。その際、当然、最初は停めやすい場所に乗り捨てるのだが、場所がなくなると、所構わず乗り捨てる。結果として、トラックによって道が完全に封鎖されて、まだまだ動ける小型車まで身動きが取れなくなる。



(多くのトラックは運転手不在である)

一定の積雪量を超えた場合は、幹線道路の大型車通行を禁止するだけで、状況はかなり改善するはずだ。どうせ動けないのだから、大型車の通行を禁止してもどうということはない。

次に挙げられるのが、アスファルトの性能である。東京〜群馬を往復する間で、熊谷市の中心部を走っている時だけ、路面の状況が非常に良くなった。これは、おそらくアスファルトの透水性が高いことが原因だ。透水性が悪いと雪がシャーベット状になり、それがチェーンによって塊化する。この状態で温度が下がると、走行感が非常に悪くなるし、スピードも出せなくなる。ただ、アスファルトの張替えにはお金も時間もかかる。

アスファルトの性能に関わらず、チェーンの使用による路面状況の悪化というのも見逃せない。スタッドレスタイヤなら、路面は平たく圧雪されるのだ。また、ドライバーの腕という要素もある。内地のドライバーは前に通った車のあとを追いたがる。これがスタッドレスタイヤのドライバーならまだしも、チェーンを使っているドライバーまでもが轍を走りたがるので、轍がどんどん深くなっていくのも困った現象だ。轍が深くなると、車高の低い車がそこに乗り上げて立ち往生する。ある程度の深さになってしまうと車線変更はもちろん、轍から脱出することすら困難になるので、すべてのドライバーがなるべく広く雪を潰していくように走る必要がある。しかし、運転者の運転技術の向上というのもなかなか難しい。



(このあたりの轍はまだまとも)

また、意外と多かったのが交差点での立ち往生である。普通の道路は轍ができていて、そこを走っていればなんとかなるのだが、交差点は色々な車が色々なルートで走るので、轍が形成されていない。その上、交差点内部にも雪の塊ができてしまうので、これに乗り上げる大型車が頻発する。



(大型車が交差点内で立ち往生すると、それだけで交通はマヒする)

この他、雪が路肩から溜まっていくことによる車線の減少なども挙げられるのだが、対応も簡単ではない。

一度交通がマヒすると、車によって圧雪されていた路面に雪が溜り、小型車までも交通が困難になって悪循環を招く。程度の問題こそあれ、そこそこの積雪なら交通はあった方が良い。

そして、もう一つ。「今はこの道が通れる」といった情報が全く提供されていなかった点も、混乱を招いていた。四輪スタッドレス、FFの小型車ならいくらでも走行可能な道路があるのに、そういう情報が全く提供されないので、幹線道路の混雑に拍車がかかる。今回は完全に機能不全に陥った国道を離れ、県道などの細い道を駆使することによってかなり渋滞を回避することができた。しかし、そういう道に飛び込むには、それなりの装備と運転技術も必要だ。「この程度の自動車なら、こちらの道を利用可能です」といった情報の提供は、慎重になった方が良いのかも知れない。

結局のところ、大型車の交通を規制し、同時に小型車の往来を確保し、チェーンよりもスタッドレスの利用を増やすことによって路面状況の悪化を防止することが手っ取り早い。

ところが、安倍首相はこんなことを考えているらしい。

安倍首相、道路の通行確保指示=非常災害対策本部設置―大雪被害
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140218-00000090-jij-pol

「次の降雪に備え除雪態勢を加速させる」だそうで、120年に一度の大雪にびっくりして除雪態勢を整えるというのだから、へそでお茶を沸かすというもの。除雪のためにはインフラの整備が不可欠で、整備したら整備したで維持費がかかる。こういうところにお金をつぎ込んで人気取りができると思っているところがこの政治家の頭の悪いところだ。きっと、雪の中を運転した経験もほとんどないのだろう。

豪雪地帯ならともかく、滅多に雪が積もるわけでもない地域に除雪のための態勢など必要ない。交通マヒは人災の色彩が濃いので、何がダメだったのかを共有し、その上でどうしたら良いのかを考えるべきだろう。必要なのは、適切な規制とドライバーへの情報提供(スノードライブなどに関する技術情報を含む)ではないのか。  
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2013年公開映画 ベスト&ワースト 洋画編

1位 スター・トレック イントゥ・ダークネス ☆☆☆
リズム変化に富んだ見事な脚本と、宇宙船の重量感がしっかり伝わってくる映像のコンビネーションが素晴らしい

2位 テッド ☆☆★
とても楽しいお馬鹿映画だが、満喫するには米国の文化に関する深い知識が必要

3位 リンカーン ☆☆★
米国の歴史、南北戦争、ゲティスバーグ演説、ロバート・エドワード・リーについての知識が必須だが、それがあることを前提にするなら、かなり面白い

4位 鑑定士と顔の見えない依頼人 ☆☆★
とても良く練られた脚本で、一瞬たりとも見逃せない

5位 ジャンゴ 繋がれざる者 ☆☆★
楽しい3時間を過ごすことができる、タランティーノらしい娯楽作品

6位 怪盗グルーのミニオン危機一髪 ☆☆
「月泥棒」ほどのスケール感はないものの、大人の鑑賞にも十分に耐える

7位 タイピスト ☆☆
タイピングをテーマにしたスポ根映画かと思ったら、ラブストーリーだった

8位 マラヴィータ ☆☆
スコセッシ風味、リュック・ベッソンによる大人のためのコメディ映画

9位 モネ・ゲーム ☆☆
すっきりしたオチで気軽に楽しめる

10位 大統領の料理人 ☆☆
終身雇用大好きな日本人にはいまいち理解が難しいかも知れないが、演出と演技が良く楽しめた

11位 ゼロ・ダーク・サーティ ☆☆
ビン・ラディンについてみんなが知っているので、映像化されても緊迫感に欠ける

12位 グランド・イリュージョン ☆☆
勢いだけで最後まで突っ走ってしまうところは見事

13位 華麗なるギャツビー ☆☆
前半は映像を、後半はストーリーを楽しめる

14位 フライト ☆☆
パニック映画のように見せた広告に問題ありだが、ヒューマンドラマとして観れば良くできている

15位 オブリビオン ☆☆
駄作の多いトムの映画としては、掘り出し物級に面白い、あくまでも、トムの映画としては

16位 クロニクル ☆☆
お金がないという致命的な事態を工夫で乗り切ったことが良く伝わってくる

17位 危険なプロット ☆★
序盤は楽しいのだが、中盤で失速してそのまま終了

18位 パシフィック・リム ☆★
説明調の序盤で退屈し、それが終わると今度は同じ旋律のBGMで退屈する

19位 キャリー ☆★
この作品をなぜリメイクしたのか、良くわからない

20位 悪の法則 ☆★
どこかで聞いたことのあるようなタイトルがいただけないが、退屈はしない

21位 エリジウム ☆★
映画を終わらせるための無理矢理な設定がいまいち

22位 アイアン・マン3 ☆★
「アベンジャーズ」との整合性を取るために、アイアン・マンの世界観が歪んでしまった

23位 クラウド・アトラス ☆★
普通に楽しめるが、見終わっても何も残らない

ワースト10位 フローズン・グラウンド ☆★
謎解きではなく、鬼ごっこを楽しむ作品

ワースト9位 モンスターズ・ユニバーシティ ☆★
退屈な脚本でピクサーらしさが感じられない

ワースト8位 ルーパー ☆
最初はバック・トゥ・ザ・フューチャーだったのに、途中でアナキンが出てきて、終わってみたらスター・ウォーズでした、という感じ、今から60年経ってもハゲはハゲのままで絶望した

ワースト7位 マン・オブ・スティール ☆
3Dで撮った意味が良くわからない

ワースト6位 ワールド・ウォーZ ☆
ゾンビ映画であることをひた隠しに隠したおかげで、がっかり感が半端ない点、アイ・アム・レジェンドにそっくり

ワースト5位 ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日 ★
難しい宗教観が背後にあって、宗教への依存度が低い日本人には理解が難しいところがある

ワースト4位 ゼロ・グラビティ ★
映像はすごいのかもしれないが、内容はアバター以上にお粗末

ワースト3位 アウトロー ★
トムはミッション・インポッシブルだけやっていれば良い、ということを再確認できる

ワースト2位 ムーンライズ・キングダム 無☆
脚本が雑で、演出もイマイチ、何を言いたいのか良くわからない

ワースト1位 ダイアナ 無☆
彼女の人生のラスト以上に悲劇的なエピソードがなく、実際の彼女以上に美しい女優もいない

邦画編はこちら
http://buu.blog.jp/archives/51425983.html  
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2014年02月17日

おはなで一杯

徹夜で高崎まで行って戻ってきた。そのあと、死んだように寝て、復活したのでおはなに行って食事を摂ることにした。ところが、ちょっと出遅れてすでに満席。近所の店はどこもガラガラなのに、この店だけは満席である。仕方ないので、近所を30分ほどぶらぶらして戻ってきたら、運良く空席があった。


























  

2014年02月16日

地獄の(ほぼ)完徹(約)30時間ドライブ 後編

ヤマダ電機を出ると17号に向かった。17号までの道はちょっと不安になる積雪量ではあったけれど、無事、到着した、17号も、途中までは順調で、「あーーー、ここで6時間以上立ち往生したねぇ」とか、雪の重さでお辞儀している信号機を見つけては写真撮影するなどと余裕をかましていた。




しかし、油断するまもなく、車は再び大渋滞にはまってしまった。このあたりは往路で「はまっていて可哀想」などと同情していた地点なので、いつまで経っても渋滞が解消しないことを僕は知っていた。そこで、意を決して、脇道に入ってみた。どうせ駄目なら、チャレンジするのみである。

場所は深谷のあたりだったのだが、このあたりは寒かったのか、雪に重さがなく、高崎の市街地よりもかなり走りやすい。17号はセメントで固めたように動かなかったが、脇道を走る車はまばらで、順調そのものである。

熊谷の手前でまた雪が重くなる気配があったので、今度は407号に転換したのだが、この道はまたちょっと渋滞気味だった。反対車線で例によって運転を放棄して渋滞を引き起こすトラックが大量発生していて、その運転手を説得して回るおまわりさんが苦労していた。数名の馬鹿がいるおかげで都市機能がストップしてしまうのである。

渋滞したり、悪路だったりと色々と問題はあったのだが、やがて407号から川越街道に進み、川越ふじみ野道路に出た頃には状況は随分と改善されていた。時刻はすでに1時半過ぎである。2時半からジャンプの放送が始まるようだが、それまでに家に着くだろうか、と考えていたのだが、道路の状況が安定してきた頃になって、猛烈な睡魔に襲われた。これはちょっとやばいので、ふじみ野道路の途中にあったセブン-イレブンに立ち寄り、その駐車場で15分ぐらい(多分)仮眠をとった。目が覚めたら、とりあえず頭はスッキリしていた。これなら30分ぐらいは安全に運転できるだろう。

柳瀬川、志木、朝霞あたりの積雪状態は普通だったので、運転は特に問題もなく、結局3時には家に到着できた。なんだかんだで多少の休憩はあったものの、ほぼ30時間にわたり、悪天候・悪路の中を運転し続けたので疲労困憊だったのだが、とりあえず葛西の銀メダルだけ確認して、布団に入ることにした。

寝る前に確認すると、関越、中央、上信越の各高速道路は閉鎖されたまま。碓氷峠も大量のトラックが立ち往生していて交通は麻痺している様子だった。

きちんと統制がとれていれば、ここまでの交通麻痺は起きなかったと思うけれど、今の日本にそこまでの民度を求めるのは無理なのかも知れない。

地獄の(ほぼ)完徹(約)30時間ドライブ 前編  
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2014年02月15日

地獄の(ほぼ)完徹(約)30時間ドライブ 前編

金曜日の日中から降りだした雪は、天気予報通り、色々な記録を破る大雪となった。そして、僕はといえば、この土日に白馬でスキーをする予定だった。金曜日の夜に日の出テレビの放送があるため、夜までに現地に着くか、あるいは放送が終わってからこちらを出発するかだったのだが、同行者が2人いたこともあり、夜行で白馬に向かうことにした。土曜日には全日本パラリンピックアルペンチーム監督の壮行会を実施することになっていたので、最悪、土曜日の夜に現地に到着していれば良い。そういうわけで、金曜日の22時に埼玉を出発した。

すぐに絶望的な気分になったのは、その時間ですでに中央道も関越道も閉鎖されていたことである。しかし、この2つの高速が閉鎖されたぐらいでめげてはならない。この困難に打ち勝てば、ガラガラのゲレンデが僕を待っている(はずだ)。道路公団がヘタレなのは今に始まったことではない。

さて、一般道で白馬まで行くとすれば、一番普通なのが碓氷峠ごえである。この他に、東海道から名古屋経由で岐阜、松本と抜けていく作戦と、月夜野から上越に抜けて、津南から野沢を経由して長野に出る作戦が考えられたのだが、とにかく中央・関越・上信越道がやられているので、まずは高崎に出ることにした。そこまでの道中は当然一般道である。

まず、川越までがかなり苦労した。川越街道はほぼ全行程で大雪で、積雪は20センチほど。道路には高速道路を閉鎖されて困ってしまったトラックが大量にあふれている。こいつらがガンなのだ。チェーンでゴリゴリ走るので、水分の多い雪がかたまりになってゴロゴロ転がっている。おかげで、運転していても乗り心地が最悪である。のみならず、頻繁にハンドルを取られるので、雪道というよりは未舗装の悪路を走っているような状態になっている。

これは一体どのくらい時間がかかるのかわからないぞ?と思い始めたころ、五輪のフィギュアが始まった。前を走る車の車載テレビで画像を見ながら、のんびりと渋滞の中でラジオの五輪中継を楽しんだ。アナウンサーは必死にフィギュアの滑りっぷりを伝えようとしているのだけれど、「くるくると回っています」を連発するばかりで代わり映えがしない。まぁ、仕方ないかもねぇ、と思っていると、渋滞の車列がびくともしなくなってしまった。どうやら大きな川にかかった橋の上で、大型トラックが立ち往生しているようだ。しかし、正確な状況は全くわからない。はて、どうしたものか、と思いつつ、約1時間が経過し、スケート中継は羽生君の番になってしまった。相変わらずくるくるを連発していたが、珍しかったのは「白鳥のクビのようなポーズ」というフレーズで、「こんな風に滑っているのかなぁ」と、白鳥のクビのポーズを真似てみたら、「それは鳩」と言われてしまった。なるほど、鳩だった。じゃぁ白鳥はどんなだろう?と思っていたのだが、それでも前の車は動かない。やがて羽生くんの金メダルが確定したのだが、スケートの放送が終わってしまっても、まだ動かない。

と、僕の車の後ろにいた観光バスから大量の人間が降りて、前の方に歩いて行く。さては偵察隊か?と思っていると、30分ほどして、彼らが戻ってきた。車の窓越しに話しかけてくるので何かと思ったら、外人が片言の日本語で「大型 トラック ・・・・ もう大丈夫」などと喋ってきた。部分的にしか聞き取れなかったけれど、彼らが救助したらしい。素晴らしい。

やがて、車がようやく動き出した。いやぁ、良かった、と思ったのもつかの間。目の前のトラックがスタックして身動きできなくなったのである。こ、これは・・・、と思っていたら、またまた後ろの観光バスから外人たちが飛び降りてきた。そして、みんなでトラックを押し始めたのである。




素晴らしい。おかげで前の大型車は無事スタックから抜け出すことができた。この橋で多くの大型車が道を塞いでいたせいなのか、そこから先はしばらく順調だった。

積雪はどんどん増えて、空は明るくなってきてしまった。まだ高崎にも着いていないのに、である。なんとか夜までには到着したいのになぁ、と考えていたのだが、それは難しいかも知れない。しかし、殊勝なことに、ガソリンスタンドやコンビニはこんな状態でもきちんと営業している。これなら当分は大丈夫なはずだ。




道の反対側は大渋滞である。東京に行くのは大変そうだなぁ、などと思っていたのだが、不吉だったのは、停電なのか、一部の信号が機能しなくなっていたことである。




こういう交通の秩序を守るためのインフラに影響が出てくると、都市機能はもろい。うーーーーん、やばいなぁ、と思いつつ、ガラガラの道路を高崎に向けて走っていたのだが、高崎到着を目の前にして、片側二車線の17号線が自動車で溢れ、びくともしなくなった。最初は「あぁ、また渋滞か」ぐらいに思っていたのだが、不審に思い始めたのは、1時間経っても車が一センチたりとも動かなかった頃である。車の外に出て様子を見ても、見渡す限り渋滞で、動き出す気配がない。雪の中で動いているのは鳥ぐらいのものである。




横の道に逃げようと思ったのだが、ちょっと行った場所で身動きができなくなった車が何台も止まっている。踏み固められていない脇道に逃げるのは危険だ。コンビニの駐車場も全く除雪されていないので、一度駐車場に入ればゴキブリホイホイのように、脱出不可能になる。運転手一人を残して、コンビニ部隊を派遣し、朝食やジュースを買ってくることにした。

いつになったら事態が好転するんだ、と思っていたのだが、なんと、午前中一杯、17号の第一製パン工場前で足止めされてしまった。動くきっかけになったのは、おまわりさんがトラックの運転手に一人ひとりお願いをして回ってくれたおかげである。この時になって初めてわかったのだが、片側二車線の道路を、トラックたちが完全に塞いでしまっていて、しかも、多くの運転手たちは運転をすっかり諦め、シートを倒したり、荷台に移ったりして、寝てしまっていたのだ。酷いのになると、車を乗り捨ててどこかに行ってしまっているようだ。おかげで前の車が動いても、後に並んでいるトラックがそのままそこで道路を塞いだままなのである。




おまわりさんは、こうしたトラックの非協力的運転手を一人ひとり起こしては、端に寄せるか、前に行くかのお願いをしていた。そのおかげもあってか、小さい乗用車なら、ギリギリで止まったトラックの隙間を縫うようにして、渋滞を脱出することができたのである。

時間はもう14時、いい加減お腹が空いたし、雪が止む気配もない。高速道路は閉鎖されたままだし、長野新幹線もストップしているので、白馬に行く手段がない。これはもうだめかも知れないな、と思い、何か食べることにした。しかし、ラーメン屋はもちろん、モスバーガーのようなファストフード店ですら臨時休業である。ちなみにヒートテックを買おうと思っても、ユニクロですら臨時休業である。

しょうがない、高崎の駅に行ってみよう、となったのだが、17号から高崎に向かう道も、所々でスタックしている大型車がいて、そのたびに交通は麻痺する。




やれやれ、昼ごはんはいつになったら食べることができるんだろう、と思っていたのだが、目の前にいたボルボが、突然何を思ったのか、脇道に入っていった。こ、これは、渋滞を抜け出す裏技かも知れない、と思い、前のボルボが颯爽と走っていった脇道について行こうと思った・・・途端、右折しきれずに車がスタックしてしまった。これはまずい。早速、同乗していた2人の友人が車を降りて、後ろから押してもらったのだが、積もった雪に乗り上げてしまい、車輪が空回りしている。ちょっと車の下をスキーの板で掘って、今度は前から押してみたら、ようやく雪の塊から脱出することができた。この辺りの雪はかなり湿っていて、硬さもあって危険である。

しかし、あちこちでトラックが道を塞いでいる幹線道路を使っていては、明日になっても高崎には到着できない。よし、と覚悟を決めて、慎重にボルボが開拓した脇道に入っていったのだが、500メートルほど進んだところで、道路の真ん中を歩いていた歩行者に道を塞がれて、車を停めたが最後、前にも後ろにもいけなくなってしまった。車の腹が雪の塊に乗り上げてしまったようだ。3人で車を降りて、雪を掻きだして、脱出を試みたのだが、今度は全く脱出できそうな気配がない。今まで散々迷惑をかけられてきたのだが、今度はかける側になってしまった。

はてさて、と途方に暮れていると、前からやってきたのがスコップを手に助っ人団を形成する地元の兄ちゃんたちである。「はーーーい、救出しますよーーー」という軽いノリで、みんなで車の下を掘り出した。ということで、大勢で作業したのだけれど、雪が硬くて思うように進まない。最初はプラスチック製のスコップだったのだが、金属が登場し、それでガリガリやっても効果がない。そこで、一度ジャッキで車体を持ち上げてしまうことにした。ちょっと面倒だったけれど、これが効果抜群で、そこから先は順調に作業が進んだ。しかし、いざ、脱出しよう、という段になった頃には、前にも後ろにも車が溜まっていて、そのままではちょっと進んだところであっという間にまたスタックしてしまいそうだ。そこで、まずは前後にいる車を通してしまうことにした。一番前にいたのはパジェロだったのだが、かなり苦労しながらも、何とか先に進むことができた。パジェロであれじゃぁ、e四駆のティーダでは苦しいのは当たり前である。

四駆の皆さんに通過してもらったあと、ようやく僕の番になったのだが、「行けるかどうかわかんないから、とりあえずチャレンジしてみよう。もし動いたら、止まったら終わるので、『さようなら〜』という感じでそのまま一気に走り抜けてしまえ」という作戦を授けられた。大勢が乗っているとやっぱり難しくなるので、同乗者は後ろからダッシュすることにした。さて、作戦実行。動いたっ!

走りだしてみると、轍が非常に深く、車高がそれほど高くない僕の車はいつ雪に乗り上げても不思議ではない。片側1車線道路だけど、雪で交互通行の状態なので、止まったらまた大勢に迷惑をかけてしまう。前から車が来ないことを祈りつつぐいぐい進んで、かれこれ500メートルは進んだかと思うあたりでようやく雪が少ない場所を見つけ、そこでハザードを出して停車し、同行者2名を待つことにした。危険地帯がそこそこ長かったのでちょっと時間がかかったけれど、友達二人は雪が積もった歩道をよろよろと走ってきて、なんとか合流することができた。この頃になると、もう夕方である。さて、どうしようか、と相談したのだが、もう雪に乗り上げて身動きできなくなるのはゴメンである。一番安全なのは立体駐車場なので、高崎の駅前にあるヤマダ電機の駐車場に駐車することにした。今いる場所からは、平常時なら5分の距離である。

なるべく太い通りを選んで何とか駅前に到着すると、ロータリーをぐるっと回って駐車場に入れることに成功した。ヤマダ電機に入ると、5階にあるレストラン街に行ったのだが、中華のお店を一軒残して、あとは全部臨時休業だった。一択なので中華の店に入り、僕は中華粥を食べた。ちょっとゆっくりして、長野にいる先発隊に「もう無理なので引き返す」と連絡を入れ、今度は東京に戻る大冒険の始まりである。

地獄の(ほぼ)完徹(約)30時間ドライブ 後編  
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2014年02月14日

久しぶりにうえだ@志木に行ってチャーシュー麺

志木のうえだは店主のおばさんがマスコミ的に使い勝手が良い人物なので、この界隈では突出してメディア露出が多い。おかげで、最近はいつ行っても実力不相応の大行列になっていて、全く食べに行く気にならない。


(大行列のうえだ)

しかし、今日は朝からの雪なので、さすがにこんな日にわざわざ遠くから食べに来る酔狂なラーメンオタクもいない。こんな時にしか食べることができないので、ちょっと雪の中、行ってきた。予想通り、駐車場は一台も停車している車がない。店内も、客は僕を含めて二人だった。

券売機に1,000円を投入し、「肉つけ」のボタンを押すと反応がない。どうやら売り切れのようだ。この店で一番美味しいのは確実に肉野菜つけ麺なのだが、ここ数年、提供しているところを見たことがない。そして、このエースが不在の時、困ってしまうのがこの店なのだ。まず、「特濃」はすっかり食べ飽きてしまった。ハードとライトの二種類があるが、あえて食べるとすればハード。しかし、脂多め、味濃い目で、必ずお腹の調子が悪くなる。味も、突出して良いわけではない。この店が突然「埼玉の地ラーメン」を自称し始めた焦がし醤油は脂が強すぎて全体のバランスが悪い。チーズ担々麺はこの店が時々やらかす失敗作でとても食べられる商品ではない。そうやって、消去法で進んでいくと、最終的には「チャーシュー麺」ぐらいしか残らなかった。正確にはまだ食べたことがない「すっぽん」というのがあったのだが、1,800円も払って大冒険するのはちょっと気が引けた。

店内は長いこと一緒にやっていたおばちゃんがいなくなっていて、代わりに若いお兄ちゃんが二人。そのうちの一人が食券を取りに来た際、「チャーシュー麺は醤油と塩がありますが?」とのことなので、無難に醤油を指定。すると今度は「醤油は、豚と鶏がありますが?」とのことなので、ここでも保守的に鶏を指定。出てきたのはスープの色が濃い目で、脂が強そうなラーメンだった。



一口スープを飲んでみると、予想通り脂が多い。おかげでちょっと味がぼけているし、熱すぎて口の中を火傷しそうだ。慎重に食べようと思いつつ、麺を一口。この手のこだわりラーメンにありがちな、麺の匂いが気になるもの。小麦の匂いは、一つ間違えると「臭い」になってしまうのだが、この麺はそのギリギリのところにいる。デリケートな人が食べれば、臭いと思うはずだ。そして、ギリギリと言えば、スープの絡みもギリギリである。脂とのバランスを取る意味で濃い目に設定されている味だが、それでも麺を食べさせる領域には達していない。いや、ギリギリで、達しているのか?ここも、本当にギリギリのところである。一つ間違えたら、あっという間に崩壊するバランスだ。そして、そのバランスを崩すきっかけになりそうなのがチャーシューである。こちらはタダの煮豚が多い昨今のラーメン界において珍しい、しっかりと風味付けしたチャーシューである。多くの店が単にスープのカエシなどを利用しての煮豚を作るのは、スープとの調和を考えてのもの。同じ方向性のものを使って煮ていれば、その完成品をラーメンにトッピングしても、味を大きく乱す心配はない。しかし、違う煮汁で豚肉を煮てしまえば、大量にチャーシューをトッピングするチャーシュー麺では特に、その影響が見過ごせない。では、この店はどうか。幸いにして、濃い目の味付けのスープがバランスの崩壊をギリギリのところで防いでいた。ただ、スープとの相性はそれほど良いとは言えなかった。味付けをするにしても、ちょっと方向を変えるべきだと思う。

麺、スープ、チャーシュー、全ての要素において、満点はつけにくい。普通に評価すれば、4/BBBが精一杯。そして、一つ間違えれば、すぐにどれかの要素がC評価に落ちても不思議ではない。その、綱渡りのような絶妙な、いや、非常に危なっかしいバランスを楽しみたいのであれば、この店の行列に加わる価値があるのかも知れない。僕は絶対に並ばないけれど。

ちなみに石神色紙(正確には、色紙ではないようだが)の店である。



店名 麺家 うえだ
TEL 048-471-8808
住所 埼玉県新座市東北2-12-7
営業時間 [火〜金]11:30〜16:00 [土・日・祝]11:30〜16:00
定休日 月曜日(祝日の場合は翌日)  

東京ウォーカー「100人が選ぶ最強ラーメン」

今、本屋さんで売っているTOKYO Walkerで「ラーメン好き100人が選ぶ最強ラーメン」という特集記事があるんですが、僕も100人のうちのひとりとして、都内の4店を推薦しています。




こういう企画に協力する場合、一番考えるのが「独自性」で、なるべく他の人が推薦しないような店を挙げるようにします。今回は、ざっと見た限りでは誰ともかぶっていない様子。4店をどの店にしたのかは東京ウォーカーを買って確認していただくとして、「ここも載せたかったなぁ」という店をあげておくと、神保町の「辣椒漢」です。この店はかなり辛口なので、誰が食べても満足、という店ではないと思い、今回のリストからは外しました。

ちなみに、取材拒否店を一軒推薦していて、これも本当は反則。「マスコミに掲載されることによって不自然に客足が伸び、店のペースを乱されたくない」という大変もっともな主張を無視することなので、できればやりたくないのですが、個人的に現在都内ナンバーワンの店なので、無作法を承知で挙げさせてもらっちゃいました。

    

2014年02月13日

障子の国のティンカーベル 毬谷友子バージョン

野田秀樹がまだ若かった頃に書いた戯曲の上演、主演は毬谷友子、ということで、コレを見逃すわけにはいかない。昨日は渋谷で三谷演劇を観たが、今日は池袋で野田作品である。

一人芝居ということで、毬谷友子がほぼ出突っ張りで、歌に、ダンスに、大量のセリフに、と大活躍である。

僕は、野田秀樹が夢の遊眠社の解散の引き金を引くきっかけになったのは毬谷友子の才能に触れたからではないかと思っているのだが、それくらいに、『贋作 桜の森の満開の下』の毬谷友子は素晴らしかった。それから何度か野田作品や地人会公演で彼女を観ていたけれど、最後になっていたのが六本木で地人会公演として上演された「弥々」(1993)だった。かれこれ20年も経ってしまったのだが、相応に年を取り、声もすっかり低くなってしまい、もうあの夜長姫はここにはいないのだけれど、相変わらずとんちゃんは舞台で張り切っていた。

戯曲については、2002年に鶴田真由主演で上演されているのだけれど、多分その時に野田秀樹自身が、「この本は大竹しのぶや毬谷友子でやらないと、駄目だ」と感じたんだと思う。そして、その配役で、やっと上演することが可能になったわけだ。

物語は、妖精の世界で裁判にかけられ、死刑判決を言い渡されたピーターパンと、彼とともに逃避行を続けるティンクの恋愛を描いている。その姿は、遊眠社以後の野田秀樹の恋愛遍歴に重なる。

一度、渋谷の居酒屋で、芝居の打ち上げで大騒ぎをしている野田地図メンバーと一緒になったことがあるのだが、野田秀樹氏は最近の言葉でいうところの草食系そのものといった感じで、一気をして盛りあがっている役者連中を、楽しそうに眺めながらお酒を飲んでいた。僕は当然のごとく、パンフレットを手にサインをお願いしたのだけれど、野田秀樹氏は「僕はいくらでもサインしますが、役者たちはプライベートなので」と、やんわりと役者に話しかけることを断った。そういうわけで、僕は藤原竜也が使った直後の便器で用を足したことはあるのだが、彼のサインは持っていない。と、そういうことを言いたいのではなく、野田秀樹氏の人柄がわかるエピソードだと思って紹介してみた。

彼は、僕が知る限りで3人の女優と付き合っているのだが、どのケースも、女性の方が野田秀樹氏の才能に惚れ込んだ感じだった。つまり、女性の側が今で言う肉食系だったわけだ。そして、この芝居の中でも、草食系のピーターと、肉食系のティンクという関係ができあがっている。なるほど、25歳の頃に書いた戯曲が、その後の人生を暗示するようなストーリーになっているあたり、三つ子の魂百まで、という感じがしてくる。

芝居は、例によって、詩的な言葉が散りばめられていて、ストーリーは漠然としている。ラストシーンに近づくに従って、徐々にクリアな舞台になり、表現もストレートになり、やがて(比較的)はっきりとしたセリフで物語は終了する。夢の遊眠社時代も、「何がなんだか良くわからなかったけれど、最後のセリフで感動した」ということが良くあったけれど、今回も途中までは言葉だけが散乱していて像を結ぶことはなかった。それでいて、ラストにはきちんとわかったような気になったし、加えて、散りばめられた言葉の中には、後の野田作品につながっていきそうな単語がいくつもあった。遊眠社の最後のセリフは「少年はいつも動かない。世界ばかりが沈んでいくんだ」である。この芝居をラストに選んだことには大きな意味があったはずだ。そして、今日、この芝居を観て、「あぁ、なるほど、少年は、この頃からすでに自分の意志でそこに居続けているんだな」と思った。

ゼンダ城の虜、小指の思い出、野獣降臨、そして贋作桜の森の満開の下といった名作と比較すれば間違いなく小品だと思うけれど、野田秀樹にとっても、それを演じた毬谷友子にとっても、そして、観客としてそれを観た僕にとっても、個人的な芝居だったと思う。

今回はダブルキャスト。毬谷友子ともう一人は奥村佳恵である。彼女のバージョンのチケットは、まだ残っているだろうか?  
Posted by buu2 at 23:05Comments(0)TrackBack(0)演劇││編集

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楊@池袋

可愛かったバイトのお姉さんが結婚して海外に行ってしまってからというもの、すっかり訪問頻度が落ちてしまった楊だけど、美味しいことには変わりがない。







お店は相変わらずの大繁盛。今日は芝居の前に、麻婆豆腐と担々麺、写真はないけど焼き餃子。ビールはなし。  

デン ロクエンテイ

パルコ劇場で芝居を見終わったのが22時。この時間だと、パルコのレストラン街も閉店している店が多い。そんな中、まだラストオーダーになっておらず、しかも芝居の半券があれば20%オフということだったので、飛び込みで入店してみた。食べたのは鴨鍋や赤身肉のステーキなど。













比較的安いお店で、味の方も価格なりという感じ。家畜肉は価格がダイレクトに質とリンクすることが多く、すげぇうまいのに驚くほど安い、ということはほぼない(生産者が経営しているレストランだと、稀にある。あと、大して美味しくないのに、驚くほど高い、というのは時々ある)。なので、味の方は想定の範囲内。ここ一番には使えないけれど、芝居の帰りに立ち寄って、今日観た感想を語りながら一杯やる、というのには適切な店だと思う。

店名 デン ロクエンテイ (DEN Rokuen-Tei)
TEL 03-6415-5489
住所 東京都渋谷区宇田川町15-1 渋谷パルコ PART1 8F
営業時間 11:00〜16:00(L.O.) ー 月〜木・日 17:00〜23:30(L.O.22:30) 金・土・祝前 17:00〜翌0:00(L.O.22:30)
定休日 年中無休,  

2014年02月12日

国民の映画

kokumin


正直に言えば、僕は三谷幸喜の映画や芝居があまり好きではない。笑えるとは思うのだけれど、SETの三宅裕司以上に笑いに徹することができないあたりがいかがなものかと思うし、三谷族とも呼べるような俳優陣の仲良しクラブ的な色彩が作品からにじみ出ているのも好きじゃない。しかし、脚本が全然駄目ということでもないので、良い役者さんが出ているなら、じゃぁ、という気持ちにもなる。今回は、夢の遊眠社時代から贔屓にしている段田安則さんが出演しているということで、渋谷まで観に行ってみた。

この作品は初演が3.11と重なったようで、地震の混乱や計画停電の心配もあって、やや不幸な形で上演されたようだ。いつもは再演をやりたがらない三谷幸喜だが、不完全燃焼という思いが強かったのかも知れない。

結論から先に書くと、これまで何本かの映画(有頂天ホテルとか、マジックアワーとか、ステキな金縛りとか、清須会議とか)や芝居(12人の優しい日本人とか、おのれナポレオンとか)で三谷作品を観てきているが、初めて「これは面白い!」と感じた。なるほど、コメディ色の濃い作家と思っていたけれど、実はコメディ色を抑えた作品のほうが味が出るようだ。じゃぁ、喜劇色が全然ないのかといえばそんなこともなく、「レイダース 失われたアーク」といったナチスに関係のある映画を取り入れた場面など、喜劇的なところも散りばめられていた。本流のストーリーと、喜劇的なスパイスの配合具合がちょうど良かったということだと思う。

舞台は1941年。いよいよきな臭くなってきているドイツで、宣伝大臣ゲッペルズがホームパーティを開く。参加者は映画関係者とナチスの高官。そのパーティの前後を描いた群像劇である。前半は登場人物が徐々に出揃ってくるのだが、ちょっと単調で退屈な場面が続く。しかし、物語がいよいよ深刻になってくる休憩後は、緊張感が維持され、最後まで全く退屈しない。何より、ヒトラーやホロコーストの影が徐々に登場人物たちを侵食していく脚本の出来が良い。

役者陣に目を移すと、中心になっている小日向文世と段田安則が当然のように良い演技をしているし、それを取り囲む役者たちもそつがない。吉田羊あたりはちょっと存在感が薄い気がしたけれど、声が届きにくい役者がいるわけでもなく、ちょっとどうなの?と感じる役者はほとんどいなかった(観た席がE列20番と、めちゃくちゃ良いポジションだったのは確かだが、多分もっと後方でも声が聞き取りづらいということはなかったと思う)。最近はすっかり映像作品での活躍が増えて、堺雅人のように「細かい表情で見せる役者」になった感のある小日向文世だが、舞台では舞台なりに見せ方を変えてくるところがベテランの味である。それをしっかりと受け止める段田安則も、「どこにいるのかわからない存在感のない男」を、抜群の存在感で演じていた。

群像劇ということもあって、芝居の多くの場面で10人以上の役者が舞台上に登場しているのだが、セリフを言っている役者の後方で、ライトが当たっていない役者がそれぞれ別の演技をしている。この演出は山田洋次監督の「東京家族」あたりでも意図的に行われていたのだが、この舞台では映画よりもずっと顕著だった。この演出によって、舞台が構造面で立体的になるのは間違いないのだが、一方で観客の視点があちこちに移動してしまい、集中力に欠けてしまうというデメリットがある。僕の場合、後方で椅子に座って何やら無言でごちゃごちゃやっているカップルに気を取られていてセリフを聞き逃すといった事態が数回起きてしまった。メリット、デメリットの両方がある演出だったが、群像劇のカラーが色濃くなっていたことは間違いがない。

舞台中央に大きめの階段を設置し、役者の登場・退場する場所をひとつ増やしたのも、変化をつける意味で効果的だった。

大勢の人物たちを登場させ、それぞれにストーリーを持たせ、そしてきちんと退場させていく。そのあたりの風呂敷の広げ方とたたみ方が見事だった。これまであまり好きではない三谷ワールドだったけれど、こういう芝居を観ることができるなら、また劇場に足を運んでみようという気にもなる。

東京公演は3月9日まで。そのあと、大阪、愛知、福岡の各地で公演あり。

「国民の映画」特設サイトはこちら  
Posted by buu2 at 00:35Comments(0)TrackBack(0)演劇││編集

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2014年02月11日

舛添新東京都知事が駄目な奴なんだろうな、と推測する理由

都民じゃないので選挙自体には全く興味がなかったが、結果と新知事の姿勢には多少興味がある。

ちょっと気になったのは東京五輪に対する舛添氏のこの考え方。

「都民の全員参加としてボランティアガイドなどをお願いしたい」
出典:「東京都知事選」候補者 政策ごとのスタンスは <東京五輪への対応>
http://thepage.jp/detail/20140204-00000001-wordleaf

僕の立ち位置は「ボランティアという考え方は、例えば東北地方太平洋沖地震のような不可避な状況においてのみ採用を考慮すべき最後の手段である。多くのケースでその本質は弱者の「やる気」につけこんだ労働力の搾取で、最も浅ましい行為である」というもの。

#ちなみに2002日韓ワールドカップでボランティア経験済み

最近では、日の出テレビのふくだ峰之キャスターが当選後もサブキャスターをボランティアで使っていることを批判したけれど、東京五輪だって前もって開催がわかっているのだから、そこに予算の手当をしないというのは解せない。「ただでもやりたい人がいるんだから、やってもらえば良いじゃないか」という腹積もりだろうが、これが成立するならスチュワーデスもテレビキャスターもやりたい人がたくさんいそうである。「いやいや、そういう職業はちゃんとした訓練が必要だし、誰でもできることじゃないから」という反論がありそうだが、五輪やワールドカップで必要とされる労働は、「誰でもそこそこできてしまうような仕事」だからこそ、一層、賃金を支払う必要があるのだ。

対価が支払わなければ弱者の生活はちっとも改善されず、デフレを助長するだけで経済はちっともまわらない。五輪というテンポラリーなイベントであっても、一定量の労働が必要とされ、雇用が発生するのだから、少しでも「仕事」を提供すべきなのに、「タダ働きしろ」という。こういうアイデアが、元厚生労働大臣の口から出ていることは注目に値する。この一つを以って、新東京都知事は駄目な奴なんだろうな、と推測する次第。  
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2014年02月10日

ヒマラヤン食堂

池袋〜川越間はなぜかインド料理店が多い。朝霞界隈にも、いつでも使えるインドカレーの店が数店あるのだが、朝霞台のヒマラヤン食堂もそうした店のひとつ。店にとっては問題だろうが、いつも空いていて、それでいてちゃんと美味しいカレーを食べることができる。この店の「激辛」はそれほど辛くないので、辛口が好きな人は安心して「激辛」を注文することができる。食べることができないほどの辛さではない。













店名 ヒマラヤン食堂
TEL 048-468-3101
住所 埼玉県朝霞市三原1-18-25
営業時間 ランチタイム11:00〜17:00 ディナータイム17:00〜23:00
定休日 無休  

契約してはいけない保険会社

こんなニュースがあったけれど、

東京海上、自動車保険で不払い 最大13万件、公表せず
www.asahi.com/articles/ASG26332KG26ULFA003.html

僕が事故の当事者になった案件はこんな感じ。

損保ジャパンというウンコ会社
http://buu.blog.jp/archives/51306003.html

損保ジャパンというクソ会社がやらかした件
http://buu.blog.jp/archives/51345971.html

この件、その後どうなったかと言えば、かなり時間はかかったけれど、最低限のお金はきちんと支払ってもらった。治療費を別にして20万円ぐらい。

どうやったかといえば、まず同意書に押印しなかった。これ、当然。それから、「この程度の額を支払うのは当たり前」と金額提示すること。さすがに判断基準を与えてあげなければ、保険会社も困る。そして、あとは徹底的に無視。どんな郵便物が来ても、メールが来ても、全部ゴミ箱行き。書留などが来ても受け取らない。こうやって放置されると、保険会社は毎年、年度末に引当金を積まなくてはならなくなる。未処理案件として残っていると金融庁の目も気になる。担当者は上司から「早く処理しろ」と圧力をかけられるので、多少のことには目をつぶって、何とか処理を完了しようと考える。そこまで徹底して追い詰めておいて、1月の終わりぐらいの、「このままではまた3月を超えてしまう」と焦ってきたあたりで、ようやく「納得がいく条件が出るなら、同意する」と意思表示してやるのである。

保険会社の仕組みを考えれば、事案が未処理のまま年度をまたいでしまうことが一番堪えるはずなのだ。実際、そこまで追い詰めたら、話は一気に進んだ。

#最終手段としては金融庁に直接垂れ込むという手もあって、幸い、僕の場合はスキー部の先輩に金融庁の職員がいるので、その手段も検討したのだが、実際にはその前にこちらの意向通りの条件を引き出すことに成功した。

大体、「元木さんは社長なので、お金は払えません」という妄言が成立するはずがない。こっちは被害者なんだから、本来「どんな形であっても、きちんと被害者が納得する形で事故を収束させる」のが保険会社の役割のはず。それをいきなり「制度上、払えません」などと電話で言い放つあたり、損保ジャパンという会社のウンコっぷりがあらわれている。

保険会社の役割を考えれば、会社の商品価値は損害調査部門の質によって決まる。それがお客さま本位というものだし、企業のあるべき立ち位置である。ところが実際には、質的にも、量的にも、人員配置は営業部門に偏っている。そんなウンコ会社と契約しても、保険料の無駄遣いである。だから、僕は絶対に損保ジャパンと契約なんかしないし、しようとしている人を見かけたらやめておけ、とアドバイスするし、もしまた自分が事故の当事者になったら、今回の手法で徹底的に戦うつもりだ。

ただ、代理店をやっている人は気の毒だと思うけどね。代理店業をやる人も、扱う保険の会社はきちんと選んだ方が良い。  
Posted by buu2 at 10:17Comments(0)日記││編集

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一力

せっかく敦賀まで来たので、一番有名な「一力」も食べておくか、と思いたち、頑張って行ってきた。



名称:一力
種類:京都
場所:敦賀
注文:チャーシュー麺
評価:4/BBB
2013.2.9
コメント:麺はやや細めで弱く縮れたもの。店曰く「一力の麺は多加水熟成の中細ウェーブ麺です。九州系の低加水極細ストレート麺と違い、かために向いていません」とのことで、わざと柔らかめに仕上げているのだろう。この麺が硬い調理に向いていないかどうかは疑問だが、決して悪くはない。スープの絡みは良い。

スープは豚骨鶏ガラブレンドで、ダシを沸騰させて取った不透明タイプ。と書くとすぐに思い出すのは横浜ラーメンだが、この店の味はかなりあっさりしていて、ライトなスープである。胡椒や生姜を使って風味を整えているようで、無難に美味しい。

チャーシューは豚モモ肉の煮豚で、こちらも普通に美味しい。

が、どれもこれも、あくまでも「普通」の領域で、これは美味しいなぁ、と感心するほどではない。福井を代表するお店だし、ラ博にも出店していたことがある店なので一度は食べておきたいと思っていたけれど、二度目はないと思う。

店名 中華そば 一力 (いちりき)
TEL 0770-22-5368
住所 福井県敦賀市中央町1-13-21
営業時間 11:00〜19:30(売り切れ次第終了)
定休日 火曜日  

2014年02月09日

敦賀ヨーロッパ軒

1,000円以下のとんかつは滅多に食べないし、カツ丼も同様に食べることがないのだけれど、敦賀ではヨーロッパ軒のソースカツ丼が一番有名な食べ物らしいので、食べてみた。




カツはかなり薄めの豚肉。衣は細かめのパン粉で薄いタイプ。ソースカツ丼ということで、衣の食感は完全に失われている。味付けはそれほど濃くなくて、むしろ味が足りなく感じる。肉の味がしっかりしていれば問題ないのかも知れないが、ソースで味付けされたカツに対抗できる肉を使ったら、さすがに1,000円以下の価格設定は不可能だろう。

つまりは、価格なりの味ということ。経験値をアップさせる意味で食べてみるのは悪くないと思うけれど、カツ丼の一種類として食べてみることは決しておすすめできない。というか、上野や淡路町あたりで提供されているとんかつやカツ丼とは全く別の食べ物なので、同じ土俵で美味しい、美味しくないを論じるのは無意味だろう。話の種にはなると思う。

店名 敦賀ヨーロッパ軒 本店
TEL 0770-22-1468
住所 福井県敦賀市相生町2-7
営業時間 11:00〜20:00
定休日 月曜、第2・3火曜(祝日の場合は営業)  

五味@敦賀再訪

先日の敦賀出張ではお一人様で立ち寄った「五味」だけど、今回は3人で伺ってみた。一週間と間を置かずの訪問だったので、さすがにお店の人達も覚えていてくれたようだ。今回も美味しかった。この店はオススメ。




















  

2014年02月08日

本家 第一旭 たかばし本店

たまには京都でラーメンでも食べるか、と思い立ったのだが、杉千代やしるそばたかはなくなってしまったし、天一や新福菜館は今更という感じがする。営業時間や次の電車の時間を考えて、駅のそばの第一旭に行くことにした。以下、評価。



名称:本家 第一旭 たかばし本店
種類:京都
場所:京都
注文:ラーメン 麺硬め
評価:1/CCB
2013.2.8
コメント:麺は中位の太さのストレート麺。麺硬め指定でもちょっとコシが足りないと思ったのだが、もしかしたら麺硬めのオーダーは通っていなかったのかも知れない。麺のコシが足りないことに加えて、麺にスープが全くと言っていいほどに絡んでこないのが残念だった。おかげで、味が感じられない麺を食べる羽目になった。しかも、サービスなのか、麺が非常に多いので食べ切るまでに飽きてしまう。

スープはトンコツや豚肉などを中心にダシをとったと思われる醤油味。脂が多い上にダシが弱いので、味が感じられない。スープだけで飲んでも薄口なので、これでは麺を食べさせるだけのパワーがないのは当たり前である。素人がラーメン屋を始めようとすると、こういう麺とスープの一体感が感じられないラーメンを作ってしまうものだが、創業50年以上の店でもこれというのはちょっと意外な感じがする。単に、場所が良いだけかも知れないのだが。

チャーシューはこれまたほとんど味のない煮豚。肉質は標準的なので一応全部食べたけれど、食べていて嬉しくなるような要素は皆無。

注文係がメモも取らずに一度に四人分ぐらいのオーダーを取って行ったので、昔の六角家のパフォーマンスみたいだな、と感心していたら、麺硬めのはずがネギ多めになっていた。

色々と残念な店だった。

店名 本家 第一旭 たかばし本店
TEL 075-351-6321
住所 京都府京都市下京区東塩小路向畑町845
営業時間 5:00〜翌2:00
定休日 木曜日  

雪の銀閣寺

気を取り直して銀閣寺に来たら、もう公開終了していたよ(笑)





  
Posted by buu2 at 17:17Comments(0)TrackBack(0)京都││編集

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雪の清水寺

大雪の清水寺に来たつもりが、なぜか雨の清水寺になってしまった。

しかし、一応屋根の上にはまだ雪が残っていたので、写真だけ撮ってみた。やっぱり、周囲の木に雪が積もっていないと、どうにも雰囲気が出ない・・・。








  
Posted by buu2 at 17:11Comments(0)TrackBack(0)京都││編集

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いづ重

朝から大雪で、夜までにかなり積もるという天気予報だったので、東京にいても仕方ないので、急遽京都に行くことにした。

よし、大雪でガラガラの京都で観光だ!と意気込んでいたのに、箱根のトンネルを出たあたりで天候は急変。それまで吹雪だったのに、雨である。京都も普通に雨。朝まで雪だった形跡は残っているものの、町中は普通の土曜日の景色である。雪国育ちで雪に強いところを最大限に活かそうとしたのに、底抜けにがっかりである。

とはいえ、せっかく京都まで来たのに何もせずに帰るのではアホなので、普通に観光することにした。最初に行ったのは、「いづ重」である。この店は、老舗「いづう」の暖簾分けで、八坂神社の真ん前にある。




鯖寿司が大好きなので、一度行ってみたかったのだ。




注文したのは鯖姿寿司と上箱寿司。ふたつを合わせて盛りつけてくれた。




上箱寿司も美味しいのだが、やっぱり鯖寿司である。


  
Posted by buu2 at 16:53Comments(0)TrackBack(0)グルメー寿司││編集

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2014年02月07日

言うは易し行うは難し




えーーーーーと・・・・中島みゆきだけで、まだこんなにあるの???  
Posted by buu2 at 16:56Comments(0)TrackBack(0)apple││編集

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iTunesにCDを食べさせ直す件

これまで、数千曲以上の音楽データをPCに食べさせてきたのだけれど、移行するたびにいろいろとトラブルがあったようで、同じ曲が複数登録されていたり、何やらしっちゃかめっちゃかの様相を呈してきていた。しかし、どうせジュディマリや中島みゆき、宇多田ヒカルに佐野元春ぐらいしか聴かないのだから、もうざっとリストラして、すっきりさせてしまうことにした。

僕がiPodを買ったのは初代なので、以後、かなり長いことiTunesを使ってきているのだが、その間、iTunesもすっかり高機能化していて、いろいろな保存方法がある。ざっと列挙して特徴を書くと次のような感じ。

AAC
iTunes初期設定。MP3の改良版で、最高320kbpsまでビットレートを上げられる。非可逆圧縮なのでCDデータを一部カット。

AIFF
Mac標準の無圧縮フォーマット。Windowsで扱う場合は汎用性に劣る。

Apple ロスレス
アップルが開発した可逆圧縮フォーマット。

MP3
非可逆圧縮フォーマット。圧縮率も高く汎用性が高い。

WAV
Windows標準の無圧縮フォーマット。アートワークやタグ付けをサポートしていないため音楽管理の面で不利。

参考にしたのはこちらの記事:iTunesの音楽取り込み設定を見直し、高音質で音楽を保存しよう

どうせiPodやiPadでしか聴かないので、Appleロスレスに設定。とりあえず、最も聴く頻度が高い中島みゆきの初期のCDを食べさせながら、仕事をしているところ。  
Posted by buu2 at 15:18Comments(2)TrackBack(0)apple││編集

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ソチ五輪開幕

いよいよ楽しみにしていた冬季五輪が開幕である。僕自身がアルペンスキーを長くやっていたこともあり、夏の五輪よりも楽しみな競技がずっと多い。

ワックス開発の仕事をやっているので、渡部弟とは去年白馬の駅前の居酒屋で一緒に飲みながらワックスの話をした。結局、まだ試作品を使ってもらうところまで行き着いていないのだが、状況さえ好転すればいつでもテストしてもらえる状態だ。

最近は白馬に良く出かけるので、その際に上村愛子のご両親からは何度か漬物をご馳走になった。おばさんの漬けたヤーコンはとても美味しかった。

アルペン競技を長くやっているから、佐々木明とは五輪に出る前の、もうすぐ一流の仲間入りという頃に同じくアルペン選手だった生田君と一緒に丸沼で飲んだ。ちなみに生田君は今、チーム大根のエースとして八方リーゼンに出場していて、僕がカメラマン役である。

三星真奈美は彼女が中学、高校生時代に上越国際のロッジたかきで一緒のお風呂に入った仲で(当たり前だが、「一緒のお風呂に入った」のであって、「一緒にお風呂に入った」わけではない。たかきのお風呂は一つしかなくて、時間によって男子風呂、女子風呂になっていた)、彼女が通っていた鴨居中学はうちの会社の本社がある場所だ。スキーを接点にして、身近なところですれ違った選手が何人もいる。

今回の五輪では選手の他にも、フリースタイル部長、アルペン男子監督、パラリンピックアルペン監督といった面々とも面識があるので、当分目が離せない。とりあえず、来週末には白馬に行って、関係者と一緒に声援を送りたいと思う。あと、パラのアルペン監督に大量のピンズを渡し、ソチのピンズと交換してきてもらおうと思う(笑)。テレビ解説で活躍すると思われる岡部哲也さんは大学スキー部後輩の会社で役員をやっているので、こちらも恵比寿で飲んだことがあるのだが、こちらも頑張って欲しい。

本当は、ソチのスタートにサービスマンとして行きたかったんだけどね。それは、次の五輪までおあずけかな。何しろ、選手のみんなには、日頃の実力を出し切って欲しい。それが一番難しいんだけど。早速、伊藤みきがやっちゃったみたいだし。  

2014年02月06日

ゴーストライター問題についての雑感

耳が聞こえない作曲家がゴーストライターを使っていたという話が話題である。

<佐村河内さん>曲は別人作…十数年前から 弁護士明らかに

耳が聞こえないという障害を乗り越えての作曲、という美談が偽装だったと判明して、その美談で番組を作ってしまったNHKなどを巻き込んでの大騒ぎになっている。

このことからわかるのは、「大衆は、音楽家が作る"音楽"だけを評価していたのではない」ということだ。「耳が聞こえない」という付加価値を高く評価していたということだろう。

卑近でわかりやすい例に言葉を変えるなら、「このラーメンは羅臼昆布からダシを取っています」と言われ、日高だろうが、利尻だろうが、その他のどこかの昆布だろうが、味の違いはさっぱりわからないけれど、とにかく羅臼っていうんだからうまいんだろう、と思っていたら、全然違う産地の昆布でした、腹が立つ、というのに似ている。

これは音楽の世界の話だが、食べ物の世界でもたくさんありそうだ。ただ、僕は飲食店の内情を良く知らないので、あくまでも推測の域をでない。しかし、作家としての僕は、業務として業界の人達と交渉しているので、中身を知っている。その出版の世界での事例を紹介しておく。

今、書いている本の一つに「絶対リバウンドしないダイエット」という本がある。2年ほど前に、日の出テレビの番組内で実施した公開ダイエットの内容を書籍化したものである。この時は、実際に半年間で約8キロの減量に成功した。その様子は全部映像化されていて、YouTubeで観ることができる。

目次がほぼできあがって、あとは一週間もあれば内容もほぼ完成、というレベルになったのだが、今回は「この食品を使うとダイエットが簡単にできる」という食品群があって、できればそれらの商品写真の提供を受けたかったので、食品を販売しているメーカーとの交渉をやって欲しいという事情があり、一般書籍を販売している出版社の知人数名にかけあってみた。

数社は「ちょっと売る自信がない」という返事だったが、前向きの会社もあった。曰く、「一般の人が書いても売れない。栄養士とか、何か資格のある人間が関与できないか」という返事だった。それなら、ということで、この出版企画に、ある有名病院の健診部で実際にメタボ対策の指導を行っている女医さんに監修で入ってもらうことにした。彼女には、本の内容をチェックしてもらうと同時に、内容を担保する論文を紹介してもらったり、日頃の指導で見かけた面白いエピソードを紹介してもらったりすることにしたのだ。すると、次に出版関係者から来た返事は、「その医者はどんな人か」という問い合わせだった。そこで、彼女のプロフィールを伝え、「○○で働く美人女医が教える絶対リバウンドしないダイエット 元木一朗著、○○○○監修」という形でどうか、と提案してみた。この提案に対しての次の返答は、「内容はそれで構わないが、執筆はその女医さんということにできないか?」というものだった。「書いてないのに著者にしてしまったら、最近流行りの食品偽装と一緒ですよね?」と答えると「でも、この業界では普通のことですよ」との答えが返ってきた。書いてもいないのに、書いたことにしちゃうのは出版業界では普通のことなのだ。単に、表に出ていないだけのことである。これは僕が当事者となってゴーストライティングを勧められた事例だが、他にも超有名ゴーストライターに知人がいて、彼女は彼女で、有名政治家や評論家たちの書籍を代筆している。実際、どこでもやっているし、そのことに誰も気がつかない。

こうした偽装工作は、音楽やら、文筆やらの世界だけの話ではないのだろう。では、なぜ偽装が行われるのか。突き詰めれば、一般大衆が、商品やサービスの質を内容で評価できず、パッケージや付加された情報で評価してしまうからというのが背景にあるし、それらの付加情報が偽装か偽装じゃないかを判断できないから、偽装が機能してしまうのである。

「質を内容で評価できない」というのは身近にいくらでもあって、美人すぎる政治家なんていうのも一緒だ。選挙なんて、大衆による人気投票の色合いが濃いので、有名人や見た目の良い人がホイホイ当選してしまう。そんなことで良いの?と思う人もいるかも知れないが、有名人ではない政治家の質も決して高くないので、どうせ目くそ鼻くそなら、美人のほうが良い、ということなのだろう。政党の方も開き直っているから、平気でただの有名人に公認を出したりする。政治を真剣に考えている人から見ればこんなに有権者を馬鹿にした話もないのだが、現実にはそういうただの有名人がちゃんと票を集めてしまうのだから仕方がない。有権者を馬鹿にしているのではなく、有権者の馬鹿をきちんと認識して、利用しているに過ぎない。

ちなみに、美人すぎる政治家が整形だったら、やっぱり謝罪会見が行われるのかもしれない。

良い内容に、良いパッケージでちやほやするなら、まだ救いがある。これは、スポーツの世界などで散見される。同じような実力の選手のうち、可愛い方にスポットライトを当てるようなことで、例えば女子の柔道重量級選手などは、なかなか日の目を見ることがない。一方、そのスポーツ界でも、大したことのない内容に過剰なパッケージで売り込んでしまうケースもあるにはある。しかし、残念ながら「結果」は正直で偽装できないので、これをやってしまうと少なからず不幸な状況を招く可能性が高い。それほど実力があるわけでもないのに、看板に仕立てあげて競技の命運を背負わせてしまうようなケースも、過去にはあった。おかげで、いつも人気と成績が釣り合わず、だけどなかなか引退もさせてもらえず、本人としては物凄いストレスを抱えていたのではないか。

スポーツの世界は基本的に数値で評価できるので、本質を客観的に検証できる。だから、偽装はやりにくい。

しかし、スポーツはどちらかと言えば例外的である。世の中の多くの事象は主観で評価される。この領域では、良し悪しの評価ではなく、好き嫌いの評価になる。その時大事なのはイメージで、それを構成する大きな部分がパッケージなのだ。食品偽装だって、食べても違いがわからないから、産地やら、品種やらの偽装が成立するのである。

商品やサービスの価値の少なくない部分を規定しているのが、それに付加された「情報」である以上、その情報を偽装することが良くないのは当たり前である。しかし、生活者のほとんどが内容の良し悪しを評価できず、付加された情報に頼っていることが、偽装を誘引しているのも事実だ。

冒頭の音楽家の例に戻ると、今回、佐村河内氏が作曲したと偽装されていた曲のほとんどは、ひとりの大学関係者の手によるものとして世に出ていたら、全く売れなかった可能性が高い。では、それらは良い作品だったのか、そうではなかったのか。

良い作品ならば、その作品は「耳が聞こえない作曲家の作品」という偽りのパッケージを施すことによって世に出てきたわけで、単純に悪とも言い切れない。その作品を聞くことによって良い気持ちになることができたのなら、音楽を聴いた側にもメリットがあったはずだ。一方で、大した作品ではなかったとしたらどうなのか。今まで、大した作品でもないのに、付加された情報によって自分の感性を操作され、良い作品だと勘違いしていたのだから、もうちょっと自分の感性を磨くきっかけにするべきだろう。唯一、それは怒って良い、と言えるのは、「耳が聞こえないとは、なんて気の毒なんだ。可哀想だから、大した作品ではないけれど、CDを買ってあげよう」と考えた人達だと思う。こういう人達がどの位いるのかはわからないのだが。

さて、そろそろまとめである。

レストランで提供されたエビが、「芝海老なのかバナメイエビなのか」、それとも「美味しいか美味しくないか」、どちらで考えるべきなのか。

本来、重視されるべきは後者のはずだが、実際には、ほとんどの人が前者で判断する。現代社会では、多くの人が、内容で判断しているんじゃなくて、付加された情報で判断しているのだ。それを肯定するなら、一番大事な"情報"を偽装するのは大問題である。一方、本当にそれで良いのかと立ち止まるのなら、一概に悪いとも言い切れなくなる。

#ただし、食品の場合は味以外にも残留農薬の量とか、放射線量とか、目に見えない評価要素が存在するので、当然のことながら産地は偽装されるべきではない。

ただ、今回の作曲偽装に関しては、後者の視点からの擁護論はまだほとんど見当たらない。やはり、今の社会状況では、音楽においても付加情報が大事なんだろう。あるいは、「そんなこと言ったって、食べただけじゃ、読んだだけじゃ、聴いただけじゃ、判断できないでしょ?」という開き直りかも知れない。高度に情報が流通する社会とは、自分の感覚を信じられない時代なのだ。そういった社会の中で、どうやって生きていくのか。僕は佐村河内さんのCDを買ったこともなければ聴いたこともないのだが、今回の騒動を、そういったことを改めて考えてみる機会とするのも悪くないのではないかと思った。

僕は、少なくとも、ラーメンに関しては自分の感覚だけを信じて情報発信してきた自信がある。他の部分についても、かくありたいと思う。

#「絶対リバウンドしないダイエット」の出版に興味のある出版社からのご連絡、お待ちしております(^^  
Posted by buu2 at 11:00Comments(2)TrackBack(0)ニュース││編集

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2014年02月05日

三毛猫

敦賀の駅で見かけた三毛猫。




今回、敦賀で撮った写真の中で、食べ物以外で唯一撮ったのがこれである。  
Posted by buu2 at 11:17Comments(0)TrackBack(0)国内旅行││編集

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2014年02月04日

池田屋ごんちゃん

敦賀は原発の街らしく、道路が太くて駐車場が無料という太っ腹。都内ならパーキングメーターがありそうなところにバンバン車を停めることができて、その一角を利用してラーメンの屋台が集まっている場所がある。そんなラーメン屋台村の一番駅寄りにあるのがこのお店。以下、評価。




名称:池田屋ごんちゃん
種類:京都
場所:敦賀
注文:ラーメン
評価:1/BCC
2013.2.3
コメント:麺は中位よりやや細目かな、という程度の弱く縮れたもの。何と言ってもコシが足りないのが残念。福井は麺が柔らかめの文化圏なんだろうか?スープの絡みはまぁまぁだった。

スープは鶏ガラベース豚骨ブレンドの濃厚タイプ。動物系の素材からと思われる臭みが強く、生姜でもそれをコントロールしきれていない。また、野菜を煮込んでいるのか、甘みが強めである。色々な雑味が混在していて、どの辺りを狙っているのか良く分からない一杯になっている。一口に言うと、ちょっとまとまりのない味である。ベースがしっかりしているので多少救われている感はあるけれど、美味しいとは言えない。

チャーシューはイマイチだが、価格を考えればこんなものだろう。

閑散とした夜の街で唯一と言っても良いくらいに活気がある。ひっきりなしに客が来るところを見ると人気店なんだと思うのだが、味の方は今一歩だった。少なくとも、これを目当てに敦賀まででかけるような店ではない。

店名 池田屋ごんちゃん
TEL 090-1639-5512
住所 福井県敦賀市本町2-11-1
営業時間 20:00〜翌1:00頃
定休日 火曜・水曜・悪天候不定休

  

五味

生まれて初めて敦賀に行ったのだが、21時頃に到着して夜の街に出てびっくり。コンビニ以外はほとんど閉まっている。最初に見つけた食べ物屋がココイチだったりして、ここはどうなっているんだ、と思ったのだが、次に見つけた飲み屋さんは焼き鯖で1300円以上という、ちょっと高級志向の店。それほどお腹がすいているわけでもないので、次の店を探したら、全然ない。10分ほど、シャッター街を歩きまわってようやく見つけたのが「五味」という居酒屋。メインの通りからちょっと中に入っているので見つけにくい。

じゃぁ、ここで、と入店すると、店の中にもお客さんがいない。この街は外で飲むという習慣がないようだ。注文したのは白子、カワハギ、なまこ。










どれも美味しかったけれど、カワハギが一番良かったかな。

他にも、ブリとか、イワシとか、食べたい魚が色々あったんだけど、ダイエット中ということもあり今日はこのくらいで終了。生一杯に芋焼酎のロックを2杯で合計3600円。

一人客だったこともあってか、店員さんたちが色々と話しかけてくれたので、敦賀のことを教えてもらったりして退屈しなかった。料理の写真を撮っていたら、「お客さんの写真も撮ってあげますよ」とお姉さんに言われたので、カメラを渡して撮ってもらったのがこの写真(笑)。




撮り直しを兼ねて、また来ようと思う。

店名 居酒屋 五味 (ごみ)
TEL 0770-22-8489
住所 福井県敦賀市本町2-8-22 エッグプラントビル 1F
営業時間 17:30〜24:00
定休日 木曜日  

2014年02月03日

ながら食堂 万咲

敦賀に到着したのが夜の9時前。ホテルにチェックインしたら何か食べに行こうと思っていたのだが、チェックインの時にお姉さんに「21:30から1時間限定で、1階の「万咲」というレストランでラーメンの無料提供があります」と教えてもらってしまい、ラーメン評論家としては食べないわけにはいかなくなってしまった。ウェブサイトに掲載されているわけでもなく、なぜこんなサービスをしているのか良くわからないのだが、調理の練習でもしているのかも知れない。絶対に美味しいはずがない、とは思ったのだが、食べなければ評価もできない。ということで、30分ほど時間を潰して、このラーメンを食べてみた。以下、評価。



名称:ながら食堂 万咲
種類:中華
場所:敦賀
注文:中華そば
評価:1/CC-
2013.2.3
コメント:麺はやや細めで弱く縮れたタイプ。茹で過ぎなのか、元からなのか、コシが全くないし、スープの絡みも良いとは言えない。生麺タイプのインスタントラーメンみたい。

スープは鶏ガラトンコツブレンドの醤油味。脂が多くて、スープの味がすっかり死んでいる。この手のラーメンは動物性脂肪が多く、それに呼応して塩分も多めになるので、成人病養成ギプスのようなものである。

チャーシューはないので無評価。

無料だからこんなものかもしれないけれど、二度と食べない。なんか、無駄にカロリーを摂ってしまったようで後悔しかない。ただより高いものはない。またつまらないものを食ってしまった。

店名 敦賀マンテンホテル駅前 ながら食堂 万咲
TEL 0770-25-0100
住所 福井県敦賀市国広町401-4
営業時間 21:30〜22:30
定休日 無休  

土竜の唄

試写会で鑑賞。

作品数が非常に多いので、当たり外れの落差が大きい三池崇史監督作品。僕の感覚では7-3で失敗作が多いと思うのだが、本作は当たり。

冒頭、漫画調で始まって非常に不安になるのだが、そこから先はノンストップ。途中で息切れを起こすのがいつものことになっているクドカンの脚本も、本作ではラストまで一気に駆け抜けている。監督、脚本家、原作者の相性が良いのだろう。おかげで、主要な関係者が楽しんでやれたんだと思う。

最近、ぶっ飛んだ役が多い堤真一はともかく、生田斗真がここまでやるとは思わなかった。

ときどき出現するのがコミックムービーの当たり作品だが、これも間違いなくその一つ。漫画はまだまだ終わる気配がなく連載中なので、沖縄が舞台になりそうな次回作も楽しみ。僕としては漫画よりも映画の方が面白かった。評価は☆2つ半。  
Posted by buu2 at 12:44Comments(0)TrackBack(0)映画2014││編集

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2014年02月02日

年賀状2014

毎年一部で高い評価を受け、「喪中だけど、楽しみにしているから送ってくれ」とまで言われる僕の年賀状だけど、今年はこんなのでした。

ウニイラストイラレJPG
  
Posted by buu2 at 23:36Comments(0)TrackBack(0)イラスト││編集

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2014年02月01日

PC買い替えに際しての作業

前回PCがぶっ壊れてから3年以上が経過。そろそろパワー的に厳しくなってきたので、PCを買い替えることにした。

前回は故障という切羽詰った状況だったので、ハードディスクを取り出して、USB接続のハードディスクケースへ引越しという作業があったんだけど、今回は古いパソコンがまだ普通に稼動しているので、併用して、徐々に新環境へと移行していくことにした。併用にあたって購入したのはこれ。



本体がなく、コードだけで構成されている。実際に導入してみたら、これが非常に快適である。手元のスイッチですぐに切り替えられる。おかげで、Firefoxのブックマークのシンクロ作業などは、PCを行ったり来たりするのだが、超楽勝。これはいいものだ。

最終的には今使っているstudio XPSはハードディスクだけにして、ケースに収納する予定。



以下、個人的移行作業リスト

メール
 Gmail 完了
 Tunderbird

IM
 グーグル 完了

ブラウザ
 Firefox 完了
 IE
 クロム

ウェブ
 Dreamweaver 完了
 Fireworks 完了

写真
 Picasa
 Picasa3
 ViewNX 2

アドビ
 Photoshop 完了
 Illustrator 完了
 GoLive 完了
 inDesign 完了

音楽
 iTunes 完了
 LyricsMaster

ドキュメント
 Coruscant
 Coruscant-II
 Naboo

チャット
 スカイプ

その他アプリ
 Open Office
 Office 完了
 弥生
 eTax
 eLTax
 Glary Utilities 完了
 MoneyLook3
 三井住友銀行ValueDoor >廃止

周辺機器
 プリンタ  完了
 ファックス  完了
 スキャナー  完了
 外付けハードディスク 
 音楽スピーカー 完了
 テレビ 
 Smart Card Reader  
Posted by buu2 at 15:03Comments(0)TrackBack(0)日記││編集

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