2020年12月25日

ワンダーウーマン 1984

冒頭の、子供の頃の場面からすでに退屈。能力が異常に高いのはともかく、力学をあまりにも無視してしまうと興醒め。

旧作のストーリーはすでに忘れてしまったけれど、それでも「こういうことかな」と想像できる脚本はまぁまぁ。でも、ストーリーはとても退屈で眠くなる。音楽が鳴りっぱなしなのは米国映画のいつもの奴だけれど、この音楽だけで引っ張り続けるだけのパワーはない。

キーになるお宝があるのだが、そのお宝の設定も曖昧。お宝の作用・反作用がある程度決められているものの、厳密さに欠けるので、どうにも腑に落ちない。トランプに似せた悪役も魅力に欠けていて、対決も盛り上がりに欠ける。

あと、事件に巻き込まれた重要な登場人物は、別に大きな非がないのに酷い目にあっていて気の毒。

米国の凄いところは、こういうダメな映画にも莫大な予算を注ぎ込めるところ。こんな映画で採算取れるのかな?

評価は⭐︎半分。  

Posted by buu2 at 18:00Comments(0)映画2020││編集

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2020年12月24日

サイレント・トーキョー

秦さん原作ということで観てきた。ただし原作は未読。

監督と脚本家がダメなので、映画としては駄作の部類。

見所はハチ公前交差点の爆破シーンのみで、肝心のそのシーンもスローで繰り返し描写したおかげでアラが目立つ。みんな吹っ飛んでいる中でなぜか撮影中のスマホだけが平然と撮影を続けていたり、ものの密度が大きくて抵抗が大きいと思われる地表直上が一番影響が大きくて、それほど障害物がないはずの人間の頭のあたりが爆風による影響が少なかったり。「俺たち、こんな特撮できるんです」PRがしつこい。そういうのをさらっとやっちゃうから、「帝国の逆襲」のスノーウォーカーのシーンとか語り継がれるんじゃん。

脚本も、知らないはずの事実を知っている登場人物がいたりして、コナンがいたら「お前が犯人だ!」と指摘されそう。こういう会話はないよね、という場面も少なくなく、脚本家の能力不足が著しい。

画面上で3回ほど、活字で「監督、お前は下手くそだ」みたいに表示されるのもいただけない。「事件は現場で起きているんだ!」みたいに役者に語らせれば、内容が駄作でも人の頭の中には残る。役者を使わずに文字で語りたいなら、映画にする必要はない。

主犯はともかく共犯者がどうしてそういう行動に出たのかも説明不足で、意味ありげにわざわざ二度も見せた薬の袋もそれほど大きな意味は持たず、ラスト近くも、今頃そういう会話をするの?と不思議に感じる。ラストの顛末も全く納得できるものではない。尺的には十分余裕があったんだから、まだまだ表現できることはあったはず。

誰か応援している役者が出ているとかでなければ、観にいく必要はないと思う。評価は☆半分。

全然話は変わるんだけど、地震のあとに秦さんと麻雀をしていて、「登場人物に僕の名前を使ってくださいよー」って話したんだけど、本作に「もとき君」が出てきたのはその約束を果たしてくれたんだろうか?  
Posted by buu2 at 16:00Comments(0)映画2020││編集

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2020年12月17日

オーディオで経済を回してわかったこと

コロナで経済が冷え切っている。こんなとき自分では何ができるだろうかと考えて、オーディオで経済を回すことにした。

まず、最初に断っておくと、僕はオーディオおたくではない。

高校生の時、お年玉や小遣いを何年もかけて貯めて、セパレートのステレオを購入したのが最初である。その時のコンポーネントは、

アンプ ヤマハ A -7a
スピーカー パイオニア S -180A
プレイヤー パイオニア PL-88F
デッキ ソニー TC-FX1010
チューナー ビクター T-X55
CDプレイヤー テクニクス SL-P3

といった感じで、総額50万円(定価で。実際は4割引ぐらいで買ったと思う)ぐらいだったと思う。

その後、大学院生時代にスキーで大怪我をした時に多額の保険がおりて、アンプをAVアンプにして、スピーカーをオンキヨーにして、CDプレイヤーをヤマハにして、と、多少のグレードアップがあったのだが、大きなステップアップはないままに2020年になった。

そして、コロナである。家にいる時間が格段に長くなったので、家で音楽を楽しむのが良いと考えて、少しずつバージョンアップを進めてきた。それがようやく完了した。今のラインナップは、

メイン
アンプ ヤマハ A -S3000
CDプレイヤー ヤマハ CD-S3000
スピーカー TAD TAD-CE1

サブ
アンプ ヤマハ A-S1100
USB DAC マランツ HD DAC1
スピーカー B&W805マトリックス
ヘッドフォン ゼンハイザーHD800S

である。CD-S3000にはUSB DAC機能が付いているので、メイン、サブともにアップルの「ミュージック」にAIFFでリッピングしたデータを聴くことが多い。

TADはパイオニアのハイエンドブランドで、結局子供の頃からヤマハ−パイオニアを聴いていることになる。

定価ベースでは子供の頃に買ったステレオは総額50万円ほどで、そのクオリティで35年ぐらい聴き続けてきたことになるのだが、大人になった今、揃えたオーディオはメインだけでも約300万円になる。この価格差は音質にどの程度の差を生むのか。

最初に書いた通り、僕は別にオーディオおたくではない。特段のこだわりがあるわけではなく、ケーブルも5000円程度である。スピーカーもスパイクを使うわけでもない。こんなもんかな、と適当に置いただけだ。それでも、音質の違いは良くわかる。それだけでなく、Amazon Music、Amazon Music HD、CDの音源の違いによる音の違いも良くわかってしまう。特に影響が大きいのはスピーカーで、TADにしたら、あぁ、これはコンサートホールのような音だな、これは目の前で歌っているような音だな、という録音の違いまでわかってしまった。サブのB&Wは良い録音も悪い録音もそれなりに聴かせるのだが、TADは良いものは良く、ダメなものはダメなように鳴らす。この辺が面白い。

おかげで、長いあいだ、30年以上も聴いてきた中島みゆきの音が、全く違うものだったと気が付いてしまった。今まで一塊だった音が、全部バラバラに分解されて、その一つ一つが調和して聴こえてきたのである。僕は、持っている全てのCDを聴き直したくなってしまった。枚数的にはおそらく500枚以上あるので、一日一枚聴いても1年以上は楽しめる計算である。経済を回すはずがこれでは引きこもり確定である。しかし、やむを得ない。

300万円あれば、中島みゆきのコンサートには300回行ける。あるいは、これから20年間毎日1時間ずつ聴いたとして、一日あたりの費用は約411円。そこそこの金額である。でも、それに見合うだけの気持ちの豊かさは得られそうだ。

一枚のCDにこんなにもすごい音が収録されていたとは。おそらく、ほとんどの人がそのことに気がついていない。

  
Posted by buu2 at 14:44Comments(0)日記││編集

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2020年12月06日

尾身茂がやらなければならないことは国民に対する謝罪である

ここ数日、テレビを含め、尾身茂はGoToに対して否定的な見解を述べている。たとえば産経ではこんな感じで発言をまとめている。

政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長は6日のNHK番組で「『Go To トラベル』も含め、人々の動きと接触を短期間に集中的に減らすことが感染を沈静化するために必須だ」と述べた。

出典:新型コロナ対策 尾身・分科会長「Go Toも含め、人々の動きを減らすことが必須」
https://www.sankei.com/politics/news/201206/plt2012060003-n1.html

これは、掌返し以外の何ものでもない。なぜなら、尾身茂は、7月にこう発言しているのだ。

新型コロナ対策分科会・尾身茂会長「旅行自体が感染を起こすことはないですから、もしそれが起きていれば日本中は感染者だらけ」

出典:尾身会長「旅行自体に問題はない」との見解
https://news.yahoo.co.jp/articles/86369c82ad9d9b306852507467390ab4607199b1

この発言は経団連のフォーラムでのものだが、尾身茂のこうしたスタンスがGoToトラベルの方向性を決めたことには間違いがない。

ここで政府や役所の内情を書いておくのだが、政府の参考人として国会に出席したり、役所の委員会に委員長格で出席する場合、政府や役所との打ち合わせは必ず実施される。「ちょっと来て、好き勝手に喋ってください」ということは絶対にない。その上で、野党や他の委員からの質問に対して、「こういう質問には、こういう返事をしてください」という打ち込みがある。そういう対応をしてくれないような人には、最初から参考人や委員長を頼まない。

つまり、尾身茂は政府側の人間として、本人の見解とは別に「旅行は問題ない」と発言し、日本全体のGoToトラベルの方向性を決定づけたのである。政治家は与党も野党も素人の集まりなので、与党が「専門家がこう言っている」と言えば、野党は返す言葉がない。しかも、尾身茂は、実績だけは十分な専門家である。

5ヶ月経って、尾身茂がなぜ政府の意向と異なるスタンスに立つようになったのか、その理由はわからない。ともかく僕は、国会での質疑において、尾身茂が政府の顔色をうかがって答弁している様をみて、「どんなに立派な実績があろうとも、こいつは信用できない」と感じた。そして今、尾身茂が援護したGoToのせいもあって全国に感染が拡大し、各地の医療を逼迫させ、北海道や大阪などの医療関係者を危機的な状態に追い込んでいるのである。

経済を回すのは確かに大切だ。ただ、医療を犠牲にするのでは話にならない。今の感染拡大に、尾身茂が果たした役割は決して小さくない。

しかし、現役の医者たちはほとんどこういうスタンスを取れない。医者の世界は旧態依然とした権威主義で、悪いことを悪いと言えず、高名な医者の悪口を実名で言おうものなら、どこから弾が飛んできてもおかしくない。そんな事態になるくらいなら、最初から何も言わないという世界である。特に尾身茂はポリオ対策や鳥インフルエンザ対策で広く知られており、自治医大を中心に幅広い人脈を持ち、WHOとの関係も深い。その辺の医者が呼び捨てできる存在ではない。

だからこそ、である。晩節を汚したくないのであれば、国会において政府寄りの答弁に終始したり、GoToの推進を支援するようなコメントを続けていたことを、「間違いであった」と謝罪すべきなのだ。それは、権威のある専門家としての矜恃だろう。それがないうちは、僕の中ではいつまで経っても「尾身茂」である。  
Posted by buu2 at 21:48Comments(0)日記││編集

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2020年12月02日

罪の声

グリコ森永事件をベースに、真相とそれにまつわる人間模様を、脅迫に利用された三人の子供を主として描いている。

まず、脚本(原作があるので脚色)が稚拙。「そんなこと言わない」「あまりにも不自然」というセリフが結構あって、映画に入り込めない。

監督の撮り方も特別な特徴があるわけでもなく、魅力を感じない。大した意味もなく時系列を入れ替えてみたり、ちょっとどうなのか。何かの効果を狙っているのかもしれないが、功を奏しているとは言えない。

全体のストーリーも、創作で書いた部分が実際の事件とあまり関連していなくて、何人かの死者がでたにも関わらず、事件との関わりを捜査されないという不自然さもある。不自然と言えば、「そのタイミングで電話がかかるか?」という場面もある。

何より、非常に不幸な登場人物がいて、その人物についての救いがない。おかげで後味が悪い。

評価は☆1つ。  
Posted by buu2 at 18:00Comments(0)映画2020││編集

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