早稲田にあった頃から訪問の難易度が高い店だったのだが、阿佐ヶ谷に移転してその難易度はさらにアップ。最低料金は5000円からで、予約システムの使用料で1席あたり390円がかかる。つまり最低料金は5390円。豚組なみの結構な金額である。でも、うまければ文句はない。
とんかつは用意されている種類の中から2つ、ないし3つを選ぶ。
僕は林SPFを食べて一度も美味しいと感じたことがないので(参考:檍(あおき)http://buu.blog.jp/archives/51442319.html)とても不安になったのだが、ヒレが林SPFしかないのでは仕方ない。加えて岩中豚の特ロースかつとリブロースかつの合計3種類を注文した。本当ならTOKYO Xのかつをひとつ追加するべきだったのだが、常々とんかつ界の邪道と感じているミルフィーユかつしかないのでは仕方ない。
前菜、ご飯、キャベツ、豚汁は高田馬場時代はそれほど力を入れていなかったのだが、今はかなりちゃんとしている。さて、それからかつの登場である。
ロースかつはどちらも美味しい。このロースかつなら満足できる。しかし、残念なのはヒレ。なぜ林SPFなどを使っているのか皆目見当がつかない。肉の旨味がほとんど感じられない。SPFとは特定の病原体を不在にするように特殊な環境下で飼育した動物のことで、それだけで金がかかる。つまり、味に目をつぶってレアでも食べることができるようにした家畜である。では、豚肉をレアにして何か嬉しいのか。全然そんなことはない。珍しい食感は味わうことができるけれど、それだけだ。最近はラーメン店でもレアチャーシューを出す店が多いけれど、ほとんどの店が消化不良を起こしている。豚肉は火を通した方が美味しい。
都内には林SPFの豚を使っているとんかつ屋がいっぱいあって、その中には有名店も含まれているのだが、味のわからない人間が評価しているだけだと思っている。林SPFに可能性がゼロとは言わないし、上手に調理している店があるのかもしれないが、僕はまだ食べたことがない。
そして、成蔵のヒレかつも同じである。このかつには5000円以上を払って食べに来る価値はない。これを食べるなら、「自然坊」か「馬酔木」か「ひやま」か「マンジェ」に行った方がずっと幸せになれる。
最後にデザートを食べたのだが、成蔵がレベルを落としてしまったことのショックが大きく、まともに味わうことができなかった。なお、ミルフィーユかつは食べてないけれど、豚肉の良さを引き出しているとは想像できない。林SPFも美味しくなる可能性は感じられない。もう来ないだろうな。
僕のとんかつ本のリストからも外すことにする。
店名 とんかつ成蔵(ナリクラ)
電話 03-6882-5214
住所 東京都杉並区成田東4-33-9
営業時間 11:00〜14:00(最終入店13:30) 17:30〜20:00(最終入店19:30)
定休日 不定休