2004年07月17日

手紙

東野圭吾の「手紙」読了。

まずこの本を紹介してくれたmicioさんとワルツさんに感謝。どうもありがとうございました。

さて、感想なんだけど、とにかく主人公は可哀想過ぎる。東野は男性キャラに厳しいけど、この厳しさは異常なまで。(余談だが、宮部は女性キャラに対して厳しいところがあると思う。「模倣犯」ではあまりにも救いのない女性キャラがいた・・・・)しかし、この厳しさは決して誇張ではないのだろう。普通の生活をしていたら絶対経験できないし、想像もできない。

手紙

「手紙」というタイトルや、プロローグ後の手紙文の登場あたりで「錦繍」@宮本輝のような書簡文形式のものかと思ったらさにあらず。手紙は内容も短く、また時々しか現れない。が、そのタイミングは絶妙だ。残り数ページになって、「え?何なの?どんな内容なのさ。早く教えろ。まさかこのまま終わりじゃないよね?大丈夫?東野さん!!」みたいな気持ちにさせられる。

最初から最後まで、主人公は痛い目にあわされ続ける。あっちにいったりこっちにいったりと右往左往させられる。「東野さん、彼に何をさせたいんですか?」と問い詰めたくなる。おまけに例の東野テイスト。しつこすぎるくらいの説明調があったりして、ネチネチときちゃったりするものだから堪らない。

この小説の登場人物はごくわずかを除いてみんなが良い人だ。殺人を犯すお兄さんも含め。そういう人たちを不幸な状況の設定に置き、そのなかでこれでもか、と痛めつけてしまう。正直、ここまでやらなくても、と思うのだが、その分、ラストシーンの感動は大きい。

きっと彼らには幸せになれる日がくるし、語り合える日もくるし、生まれてきた理由もわかると思う。っていうか、そうじゃなかったら読後感悪すぎ。

うーーーーん、なんか支離滅裂な感想なんだけど、面白かった。東野圭吾との相性の悪さは自覚しているんだけど、白夜行みたいな例外もあるわけで、打率は1割ぐらい(^^;?で、これはクリーンヒットで☆3つ。これに直木賞あげときゃ良かったのに。あまりにお涙頂戴調が審査員に受けなかったのかな?4TEENと星々の舟か、手紙が候補になったときの授賞は・・・ところで、これってスピルバーグがシンドラーのリストでアカデミー賞を取りにいったのと同じような感じで書いた本だったのかなぁ・・・・・

以下ネタバレ余談。

何はともあれ寺尾と由美子がいて良かったよ。しかし、寺尾はともかく、由美子との馴れ初めとか、朝美とあまりにあっさり切れちゃったところとかには違和感あり。まぁここら辺はサイドストーリーだからあまり突っ込んで書かなくてもいいところなんだろうけど、「理由」とか読んでると「もっと書き込めば直木賞だったのに」などと思わないでもない。新聞連載だから仕方ないか。あ、でも、あとから大幅加筆でも良かったんだよね。ま、良いんだけどね、うん。

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なんとかして、弟を大学に行かせたい。 その一心で強盗に入り、図らずも殺人を犯してしまった兄、剛志。 そのことによって、逆に直貴は大学を諦め、新たな道を歩むことになります。 そんな直貴の元へ、剛志は毎月一回、刑務所の中から手紙を送ってくるのでした。 東野圭吾の
『手紙』 東野圭吾【KOROPPYの本棚】at 2004年07月17日 17:39
この記事へのコメント
すみません。お手数おかけしました。
今後とも、よろしくお願い致します!!

「手紙」をエントリーされてるのを、そしてTBして下さってるの、とても嬉しかったのです。ホントに光栄に思ってましたのに、ものすごく失礼な事ですみませんでした。
「手紙」のbuuさんの感想は、いちいち頷きながら読ませてもらいました。






Posted by ワルツ at 2004年07月17日 22:54
毎度〜

全然問題ありませんので気にしないで下さい(^^
どんどんコメントしていただければと思います。
何か不都合があれば直せば良いだけだし。

ということで、今後ともよろしくです(^^
Posted by buu* at 2004年07月17日 23:03
はじめまして。「手紙」とてもよい作品で、自分も兄弟なので、兄と弟への感情移入がとてもできる作品でした。弟の兄に向けて差し出した手紙は、あまりにも厳しい決断ですが、とても心にグッとくるものがありました。今後も面白い作品があったら、教えていただけると嬉しいです。また、時々遊びに来ようと思います。
Posted by 目指せ博多っ子 at 2004年08月13日 16:35
こんばんは。

僕もこの作品は他の人からblog経由で教えていただきま
した(^^

本を読む頻度はそれほど高くないですが、読んだときは
どんどんアップしますので、また遊びに来てください(^^
Posted by buu* at 2004年08月13日 23:36