2004年07月22日

プロ野球合併問題

また読売のじいさんが色々言っているようだ(^^;「俺は喋らん」と言っていたのは一昨日のことだと思うのだが(^^;(^^;

まぁ、良いや、たまにはちょっと冷静に分析してみよう(ただし、真正面から書くと一冊の本になるくらいの話だから、ごくごく簡潔にいきます)。

LIBLOGの主張ブログを署名の道具に使うべく、トラックバックしてあります。
プロ野球合併問題に関する個人的な分析と見解

1.プロ野球問題の根源はどこにあるか?
1−1 メディアの巨人偏重

いうまでもなく、日本のメディアは巨人偏重である。テレビで連日巨人戦を観させられていれば洗脳されてしまっても不思議はない。結果として支持(ファン)に大きな偏りが出てしまっている。

1−2.戦力不均衡
日本のドラフト制度は数年前まで非常に公平な制度であった。これが徐々に崩壊しつつある。現在は自由獲得枠といった制度ができている。また、フリーエージェント(FA)制度の影響もある。人気があり、引退後の生活も安定が見込める特定の球団へのFA移籍は後を絶たない。FAはもちろん、資金に余裕のあるチームへの戦力集中も助長している。

1−3.国内主義
プロ野球選手の最終目標は日本シリーズの優勝。この点がサッカーとの最大の相違点(サッカーはワールドカップでの優勝)。類似したものとしては大リーグへの転身が挙げられるが、大リーグは全く別の組織であり、サッカー選手が日本代表としてワールドカップ優勝を目指すのとは状況が異なる。結果として、「チームを強くするのではなく、強いチームの一員になる」選手が増加、国内の有力チームに戦力が集中する。

1−4.不観戦
プロ野球はシーズン中ほぼ毎日実施されており、「慣れ」が生じている。ファンにはプロ野球を支えているという意識が希薄で、実際に球場に足を運ぶことは希である。

1−5.収入源
プロ野球チームにとっての収入源は入場料収入、キャラクター商品収入、肖像権料、放映権料等が考えられるが、これらが一括統治されていない。特に問題となるのは放映権。これを各チームが保有しているため、メディアである日本テレビが親会社の巨人は有利。大リーグやJリーグは全国放送の放映権をリーグが保有している。結果として1チームだけ莫大な放映権料を得ている巨人はその資金力をもとに選手をかき集めている。>戦力不均衡の原因

1−6.巨人対セ5球団、セ対パの重箱対立構造
人気が巨人に集中しているため、セ5球団は結果として巨人に寄生しているような状況。一人でわがままを言い続ける巨人に対してセ5球団はなかなか反論し難い状況。また、同時にセ5球団は既得権者でもある。巨人戦というカードを手放したくないために、パに対して交流試合等の門戸を開かないできている。すなわち、
 巨人→セ5球団
  セ→パ
という二種類のヒエラルキーが生じている。

2.全ての問題の根源はどこに?
巨人への人気の一極集中である。これは過去の歴史の積み重ねであり、すぐに改善できるものではない。しかし、巨人への人気の集中を前提にしたシステムを維持し続けていては、いつまで経ってもこの状況は改善されない。

3.なぜ急に問題になってきたのか
Jリーグの台頭を筆頭事例として、日本人の趣味の多様化が進んだことがこの問題の顕在化の端緒か。すでに「巨人大鵬玉子焼き」の時代でなくなっているのは明らか。

4.ライブドア取得について
4−1.地域密着型・持株

地域密着型を目指すのは当然。持株制度は、常勝軍団になった後は株価は変動しなくなるので、投資対象としてはやや疑問。ただ、チームに対して他人事でなくなる効果は大きいと考えられる。株主への優待コンテンツ(観戦チケット配布、イベントへの招待等)も設定できる。

4−2.ITの導入
すでに多くの球団が実施していると思われるので、ライブドアの独自性を出せるかどうか疑問。しかし、今の時代、どういう変革が起こるかわからないので、何らかのインパクトを生じさせる期待感はある。

4−3.ストックオプション
選手へのストックオプション配布はなかなか面白いアイデア。ただし選手会に過大な生株(オプション行使後)を持たれることは一般株主は歓迎しないはず。また、トレードの際には行使権を放棄する必要が出るはず(部外者がオプションを持つことは可能だろうが、対戦相手が株を持っているという状況はどう考えても不可能)。また、ストックオプションが大きな利益を生むのは株式公開のタイミングのみ。これが継続的にインセンティブになるとは考え難い。

4−4.ネット中継・情報配信
ライブドアが自社のネットを利用してコンテンツの配信をするのであれば、面白い部分はある。ただし、回線はかなり太い必要があるし、安価である必要もある。現在、ヤフーをはじめとして色々なところで実況コンテンツの配信は行われており、独自性を出す事が課題。

5.チーム減、1リーグ化の影響
5−1.チーム減

チームが減ることは、ファンにとっては「応援していたチームがなくなる」というインパクトがある。リーグにとっては試合のマッチメイクが困難になるというインパクトがある。特にチーム数が奇数になると、1チーム試合のないチームができてしまう。選手にとっての影響が最も大きく、出場機会を奪われる(あるいは引退に追い込まれる)選手が発生する。また、球団関係者、および野球解説者等プロ野球OBの職場が減少する可能性が高い。

5−2.1リーグ化
セ5球団にとっては巨人戦が減少するというデメリットがある。一方、パ6球団にとっては巨人戦ができるというメリットがある。野球全体からみると日本シリーズやオールスターというコンテンツが消失するデメリットがある。ただ、一番大きいことはこれまで続けてきた2リーグ制という「伝統」が失われることか。

6.個人的見解
6−1.チーム減について

なるべくなら減らさないほうが良い。ライブドアが買いたいというのであれば売却すべき。ただ、ライブドアの現在の案が完璧であるとは思わない。ファンとの距離を近づけるという意味も含め、これからみんなで知恵を出し合って、良い形に近づけていく事が重要。

6−2.1リーグ化
仮にチーム減が避けられなかったとしても2リーグは維持すべきだと思う。2つの微妙に異なる制度を維持することにより、「進化」が期待できる。近親交配の行き着く先は衰退である(ややこじつけか?)。ただし、交流試合は実施すべき。松坂対巨人打線の対決は日本シリーズ以外でも見たいものだ。1年に数試合、こうした試合があれば盛り上
がるはず。

6−3.球界の体質改善
巨人への人気一極集中は改善されるべき重要課題。放映権料のリーグ一括保有、ドラフトの完全ウェーバー制導入等が直近の対応策。さらに年棒総額上限設定(これを越えた場合にはリーグに所定の額を納める)や、FA期間の短縮等の周辺制度を整備する必要がある。

6−4.ファンの体質改善
自分達の観戦料金が野球選手の生活を支えているという意識を強く持ち、実際に球場に足を運んで野球を楽しむスタイルを取り戻す必要がある。同時に、球場側も「来て楽しんでもらえる」工夫を今以上に実施する必要がある。

6−5.その他
プロ野球界の硬直化を避ける意味で、リーグ入れ替え制度を導入するのはどうか。セの奇数順位チームとパの奇数順位チームを入れ替える、あるいはセの最下位とパの最下位チームを入れ替える、など。指名打者制度など、制度面の調整や地域性の調整は必要だが、仮に巨人と西武が入れ替わればそれはそれで面白いのではないか。

7.補足
現在、セリーグ5球団とファンはともに1リーグ化反対の方向でまとまりつつある。しかし、両者の思惑は大きく異なる。セリーグ5球団の基本は「巨人戦というコンテンツを手放さないこと」である。また、1リーグ化を最も強く望んでいるのは実は巨人ではなくパリーグ6球団である。また、ファンや選手は合併に反対しているが、各球団は基本的に合併には反対していない(その結果が1リーグ化につながる場合は別)。ファンはこの点に留意しておく必要がある。

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祈りのミサンガ、僕も作りました。 会社でも着けてます。
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この記事へのコメント
ダイエーは金持ちだ。今、客が入るのって巨人とダイエー阪神だけ。
でも、地元でみんな、がんばってる。
混ぜない方がもりあがるよ。
Posted by みみみっと at 2004年07月27日 03:53
今回のことを機に、プロ野球ももっと地域密着を打ち出せれば良いんですけどね。

昨日の会議とかを見てると、パ・リーグはこれを機に巨人人気におんぶしようというのが明白。一方でセ・リーグはセ・リーグで既得権を手放さないことに汲々としている。

どうなることやら・・・・
Posted by buu* at 2004年07月27日 16:38
読売の爺さんはワンマンすぎる!例の暴言も正直、国民の反感を買って当然なのに、どのマスコミ各社なにもいってこない。やはり陰の力が掛かっているのだろうか・・・・・。何とか、じじいの鼻をへし折ってやりたいと思うのはプロ野球ファンがみんなが思っていることではないでしょうか。
Posted by トモユキ at 2004年08月05日 00:24
なんか、政治家も動き出したみたいですね。政治家にとっては、こういう国民の関心の高い話はポイントを稼ぎやすいんです。

彼らの背後にはたくさんの選挙民がいますから、きちんと動けば力があるんですが。

どうなることやら。
Posted by buu* at 2004年08月05日 00:51
私は今回の騒動について次の意見をもっております。
会長の古田選手の頑張りには頭が下がります。プロ野球の情報公開に尽力してもらいたいと思います。
 その裏でテレビのコメンターも遠慮してあんまり話しませんが、ダイエーのことが気にかかります。私は福岡出身でダイエーファンだからです。ダイエーはご存知のように親会社が再生機構に身売りとか、外資系企業による傘下に入るとか言われている訳で、そのどちらになっても日本球界からの撤退に繋がります。昨昨日発表されたパリーグは5球団以上との発表は経営母体が潰れたらなんにもならないのにと、空しく聞いていました。
西鉄からやっと九州におらが球団ができて弱勝球団がやっと常勝球団になったのに、テレビの報道ではほとんど話題になっていないような状況です。北海道に行った日ハムも同様な気がします。地域に密着したフランチャイズが良いと言っているのであれば、ライブドアが仙台を本拠地とした球団を持ってもらいたいものです。
Posted by ハル at 2004年09月12日 12:32
野球はやはり基本的に「企業」のものであって、「地域」のものではないんだと思います。野球のように簡単に本拠地が移ってしまうことはサッカーではあり得ません。サッカーでは、「地域のチームに企業がスポンサードしている」のが当たり前ですし、多くの地元ファンはきちんとスタジアムに足を運びます。

野球はサッカーに比較して試合数が段違いに多いですから、多くの人が頻繁に球場に足を運ぶわけにも行かず、必然的にテレビやラジオに依存することになります。ここを握っている読売が他の球団より発言力を持つのは当たり前です。

今、野球界がすべきことは、引き続き球団を企業のものとしてやっていくのか、地域に根ざしたファンのものとするのかを明確にすることだと思います。本来、こうしたポリシーを明確に打ち出すことが一番最初になされるべきなのに、それが行われないため、オーナー、選手、OB、ファンそれぞれがそれぞれの利益を追求してしまい、結果としてまとまりのない議論が続けられていると思います。

理想とする野球像を明確にすることこそが根来コミッショナーに求められているはずです。Jリーグで初代チェアマンがやったように。
Posted by buu* at 2004年09月12日 15:51