社内のやりとりをSNSで行えば、すべてのやりとりの履歴がテキストとして蓄積されます。こうした状況は、例えば社内での異動などの際に威力を発揮します。大企業や公務員などでは顕著ですが、一定期間を経た社員には社内での異動がつきものです。この際、「引継ぎ」という作業が非常に面倒になります。私が一時期籍を置いていた中央官庁などは長くても一つの部署に3年程度しかおらず、結果的に異動が日常的に行われています。こうした組織であれば「引継ぎ」のノウハウも非常に洗練されていて、非常に短期間に効率よく引継ぎが行われます。しかし、一般の社会では異動に慣れていない方が普通でしょう。その際に発生する負荷は企業にとっても決して楽なものではないはずです。ところが、SNS上に全てのやり取りが存在すれば、いつ異動になってもその周辺で行われていたやり取りが全てチェックできます。もっと言ってしまえば、異動などがなくても社内のどこで誰がどういうことを考え、何をしているかを知ることができるのです。これこそがweb2.0的なビジネス環境と言えるでしょう。
もう一つ事例を挙げれば、新人教育でも威力を発揮します。進行中のプロジェクトに、新入社員や新メンバーが加わったときに、SNS上のこれまでのやりとりを見せるのです。そうすれば、プロジェクトの経過だけでなく、社内外の各人のキャラクターや人間関係まで分かります。
要するに、SNSの中で蓄積された文書は全ての社員にとっての共有資産となり、あらゆる場面で社員を助けるツールとなるのです。