2007年07月25日

神様によって失われた4年間をひねくれ者が取り返してくれるのか?

ドイツワールドカップまでの4年間ジーコジャパンを批判し続け、このブログでも戦術のないジーコを早く解任しろと言い続けたのだけれど、アジアカップでの奇跡的な優勝もあり、結局は最後までジーコ体制が続いてしまった。勝っても納得のいかない4年間だった。

その4年間のおかげで、失われたものは非常に多かったと思うのだが、その中で最大のものは、「チームワーク」だったと思う。トルシエのフラット・スリーは高度なディフェンスラインの統率が要求され、結果的に宮本、森岡、松田といった守備陣のリーダーシップが発揮される形となった。ところが、神様の戦術のないチームづくりは、チームから約束事を失わせ、内部から崩壊してしまった。中田と小野という二人のリーダーを中心としたチーム内分裂は、結局最後まで融合することがなく、ワールドカップはあっという間に終了してしまった(厳密には、ブラジル戦の前半途中までは「もしかしたら」という状態だったのだが)。僕は日本のムラ社会体質は大嫌いだし、その根幹には「以和為貴無忤為宗」というマインドがあって、なんだかんだで日本人は1000年以上頭に刷り込まれて、DNAにすら書き込まれているんじゃないかと思うのだけれど、当然その中には良い要素もあるわけで、それが「チームワーク」だと思う。ジーコジャパンは、日本の大きな武器を放棄してしまった。

ワールドカップ直後、崩壊した日本代表を見て、「このチームを立て直すのはかなり大変だな」と思ったのだけれど、アジアカップが始まってみて、ボスニア・ヘルツェゴビナからやってきた皮肉屋があまりにも短い期間できちんと立て直したのを見て驚いた。こんなことなら最初からオシムにしておけば、と思うのだけれど、川淵キャプテンをはじめ、関係者はやっぱり神様が良かったんだろうし、一度神様にしてしまったら最後、解任する度胸もなかったんだろう。

アジアカップのオーストラリア戦は日本に有利な、しかもやや不可解な判定もあったと思うし、またオーストラリアがPK戦で勝っていても何の不思議もない試合ではあったけれど、運も実力のうちである。オーストラリア、サウジアラビアと対戦し、決勝では韓国と当たることになるのかもしれない。この3試合は決して楽な試合ではないし、サウジ、韓国に勝つ可能性をそれぞれ60%と踏んでも、優勝する確率は4割を切ってしまう勘定になる。安易に「これは優勝できそうだ」などとは言えないのだが、しかし、今のオシムジャパンはたとえ負けても、納得がいく試合をしていると思う。いや、納得がいく試合ができるようになってきた。

ジーコ体制からオシム体制になり、日本代表の試合は観客動員が落ちているようだ。小野、稲本が代表に呼ばれないことが増え、中田が引退し、スター選手たちがどんどん姿を消している。そして、知らない名前の選手がピッチを走り回っているのだから当然なのかも知れない。しかし、今、リアルタイムで急成長している日本代表の姿を見ることができるわけで、これを見逃す手はない。ゼロからスタートしたチームがどうやって成長していくのか。これは決してマニアックな視点ではないと思う。

ところで、今のオシムジャパンを見ていて最も残念なこと。それは、パズルの最後の1ピースが埋まらないことである。これは、機能で補うというよりも、個人のパーソナリティで補うものである。その1つがもし今の日本代表にプラスされれば、非常に理想的なチーム構成になると思うし、オシムはわざとそこを空白にしているようにさえ思えてくる。

自分が理想とする場所に味方がスペースを作り、そこに走りこんでくれる。あとは自分のプランどおりのパスを供給するだけで決定的なチャンスを作ることができる。自分が献身的に走り回っても、それが無駄にならず、また自分だけではなく周囲の選手も同じように走ってくれる。日本代表はそんなチームに変貌を遂げつつある。

これこそ、中田英寿が求めていたチームではなかったのか。今ならまだ、戻ってくることができると思う。

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この記事へのコメント
激しく同意ですねぇ〜

出来上がったものよりも、これからできていくものを見ているのが好きです。先日たまたま豪州戦を見たんですが、面白かったですよ。サッカーは全然興味がなかったんだけど、すこし興味がわいてきたかな(^^
Posted by e- at 2007年07月25日 16:21