「
チーム・バチスタの栄光」は文句なく良質のエンターテイメントだったのだけれど、「
ナイチンゲールの沈黙」で大失速。海堂 尊さんは一発屋だったのかな、と思っていたのだけれど、アマゾンでまとめ買いしちゃっていたのでこの本も読んでみた。
結論から書けば、☆は2つ。チーム・バチスタまではいかないものの、ナイチンゲールよりは随分と良かった。何より、この本の主人公である将軍が非常に魅力的である。この作者の作品は悪者は徹底的に悪者に、そしてそれ以外はみんななんだかんだ言って良い人に、つまりはドラゴンボール的な世界で描いている。フリーザ以外に最後まで悪役だった登場人物がいなかったドラゴンボールのように、多くの登場人物たちが最終的には善意の人に描かれているので、読後感が良いのが特徴である。
個人的な感想を書けば最後のエピソードは大分駆け足で、もうちょっとしっかり書き込んだほうが良かったのではないかな、などと思うのだけれど、枚数的にあまり増えてしまうとこの手の軽い小説の読み手には重すぎる(内容的に、ではなく、分量的に)ものになってしまうかもしれない。しかし、この本を楽しむにはバチスタはともかく、ナイチンゲールを読んでおく事はほぼ必須。この本一冊の分量は大したことがないのだけれど、その前に一冊あまり面白くない本を読まなくてはならないというのはやはり負担だろう。
ちなみにミステリー色は非常に薄い。しかも、かなり早い段階で告発者が誰なのか察しがついてしまう。なので、普通の医療小説と思って読むほうが良いと思う。また、姫宮は適度なスパイスになってはいたものの、伏線のまま終了してしまう。これはちょっと残念。要は、「その後を知りたかったら次の作品を読んでね」ということなんだろうけど。
確かにナイチンゲールはあの女の子が活きていないのが不満でした。ジェネラルルージュは嫌いじゃないのですが、キャラクターで持っている感じがあります。やっぱりバチスタがレベルは高いと思います。
それと、普通の医療小説と言う意味では、落ちも綺麗なブラックペアンが面白かったです。☆二つ半か3/4と言う感じでしょうか。もう読まれましたか?