2008年04月14日

ブラックサイト

ca65b151.JPGネット時代の劇場型殺人を題材にした本作。アプローチは面白いと思うのだが、内容はというとかなり平凡なものになってしまった。

まず、犯人があまりにも有能すぎる。ネットだけじゃなく、他の色々なことに対して有能すぎ。ネット周りで万能なのは許すとしても、「お前、ちょっと、それ、どうやったのよ」というのが色々出てくる。一方で、それを追いかけるFBIは相当に無能。「お前、ちょっと、もうちょっとしっかりしろよ」というのも色々出てくる。「そこをアップにして」って、画像ぐらい全部保管してあって当たり前だし、捜査に当たってはその画像を詳細にチェックすることだってできるはず。リアルタイムで「アップにして」も良いけど、事件後にもうちょっとしっかり分析したらどうなんだろう。目のモールス信号とか。

まぁ、このあたりはちょっと大目にみるにしても、一番の問題点は「閲覧数が増加するにしたがって死ぬのが早まる」という設定に対してあまりにも無策だというのがサスペンスをサスペンスっぽくなくしてしまっている。ただ単にアクセスが増加していくだけなので、事態はただ単に悪化していくだけ。最終的に「あーーあ、死んじゃったよ」ということになってしまうのだ。どうやったら助けられるんだろう、あぁ、そんなことしたら死んじゃうじゃんか、折角閲覧数が落ちていたのにまた上がっちゃった!などというハラハラドキドキがあれば面白いと思うのだけれど、残念ながらそういう要素が全くない。崖に向かって車を運転して、ただ単にアクセルを踏み続け、加速していくだけ。崖から落っこちた犠牲者達は可哀想だけれど、じゃぁどうしたら良いのかって、どうにもならない。

そういう、観客の無力感の中で主人公が拉致され、さぁ、どうするんだ、というところを制作サイドとしては見せたかったのかもしれないのだが、それはそれで、あんまり緊迫感がない。羊たちの沈黙などではラストの緊迫感が凄かったのだけれど、この映画ではそういったものに欠ける。というのは、やはり「映画を観ている側」が、「サイトを見ている側」と同化してしまっているからなんじゃないだろうか。「あらら、このままでは死んじゃうよ」と思いながら、のんびり観てしまう。そういった状態を作ってしまう演出がどうにも残念。

「硫酸を注入してpHを上げるのは相当大変だぞ。部屋中水浸しになるぞ」などというサイエンティフィックな突っ込みは置いておくとしても、もうちょっと面白くする方法があったんじゃないだろうか。そういった要素があんまりないので、観終わって何かを考えるというよりは、「なんか、気持悪い映画だったな」で終わりになってしまう。

あと、「ブラックサイト」という邦題もどうなんだろう。うーーむ。ちなみに原題は「Untraceable」。

ちなみにサイトはちゃんとあります。

http://www.killwithme.com/

ということで、評価は☆1つ。

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シネトレ枠で試写会に行ってきました 場所は行きなれた九段会館です 今回は早めの到着だったので定位置の3階ではなく 2階最前列に陣取りました おっ、2階と3階だとこうも違うのか・・・ と言うぐらい見やすいです
ブラックサイト【ぱかぱかwin!??夢の一口馬主??】at 2008年04月19日 11:55