日本らしい映画手法というのは、「下妻物語」、「嫌われ松子の一生」あたりからこういった漫画的かつ演劇的な表現として確立されつつあるのかもしれない。その表現手法さえ許容できれば、この作品はなかなか良い感じに仕上がっていると思う。
京都への修学旅行をきっかけに京都コンプレックスを抱えて大人になった鬼塚公彦が京都で繰り広げるどたばたサクセスストーリー、ぐらいにまとめれば良いんだろうか。この鬼塚役の安部サダヲが非常に良い味を出している。また、そのライバルとして登場する堤真一も抜群の存在感。この二人を中心に、真矢みき、伊東四朗、小出早織らが脇を固めての出演陣はほとんど隙がない。ほとんど隙がないのだが、残念なのはいつもながらの柴咲コウ。いつもと同じように眉間に皺を寄せて金切り声を上げている様は、「何をやっても柴咲コウ」である。以前から「消防士をやろうが看護婦をやろうがどろろをやろうが、どんな役をやっても柴咲コウにしかならない」と書いているのだけれど、これに舞妓も追加する必要がある。彼女のキャラに対してアテガキした脚本なんだろうが、ホントに、もうちょっと彼女の芸の幅を広げてあげる工夫をしてやれないものか。一方で、ハルカのママをやろうが、何をやっても「真矢みき」だった真矢みきは、意外と真矢みきっぽくなくて良かった。
全体的に悪ふざけに終始しているのだけれど、京都という街に対する愛情も感じられ、そのせいもあってか京都に行って遊びたくなるような映画である。少なくとも、JRのコマーシャルよりは京都に行きたくなる。
冒頭のインターネットの喧嘩シーンがこの映画のトーンを集約しているので、この部分で面白いと思えなければ多分この映画は全く楽しめないと思う。ちなみに僕はというと、「まぁこういう映画もありかな」と思いつつ見ていたのだけれど、野球編になったあたりから「くっだらねぇーなぁー」という気分になって非常にテンションがあがった。そこからはスピーディに楽しめたのだが、ラスト近くでまたちょっと失速。最後まで駆け抜けてしまえばもっと面白かったのに、と思う。
しかしまぁ、説教臭いところがほとんど感じられないエンターテイメントで、そのあたりは高く評価したい。評価は☆2つ。
舞妓Haaaan!!! [Blu-ray](2009/10/21)阿部サダヲ、堤真一 他商品詳細を見るおもしろいです!!あと、いい話だと思います!
やっぱいい映画っていうのは、ただ単におもしろいだけじゃなくて話の筋が通っているのだと思う。
僕には(上品すぎて)縁のない(と思われる)
映画レビュー51 「舞妓Haaaan!!!』【elanの板選んだ】at 2013年10月03日 00:07