北京オリンピックは女子柔道選手の活躍が目立ったのだけれど、その選手選考についてはかなり前から問題点が指摘されていた。特に谷亮子選手の選出に際しては色々な意見が出ていて、僕自身も電通の意向なのかトヨタの意向なのかまぁ他にも色々ここには書けないようなこととかあるのかもしれないけれど、なんともいただけないと思っていた。
さて、その北京オリンピック柔道、蓋を開けてみたら、意外とこの不透明選考によって選出された選手達が活躍した。
柔道の代表は通常の階級に関しては全日本選抜柔道体重別選手権の結果、最重量級に関しては全日本柔道選手権大会の結果を参考に決定される。では、それらの結果がどうだったのか、ということになるが、両大会の優勝者を列挙するとこんな感じである。
全日本選抜柔道体重別選手権優勝者
60kg級・平岡拓晃(五輪代表→2回戦敗退)
66kg・内柴正人(五輪代表→金)
73kg・金丸雄介(五輪代表→敗者復活3回戦敗退)
81kg・小野卓志(五輪代表→1回戦敗退)
90kg級・泉 浩(五輪代表→2回戦敗退)
100kg級・鈴木桂治(五輪代表→敗者復活1回戦敗退)
100kg超級・井上康生
48kg級・山岸絵美(谷亮子(五輪代表→銅)に勝利)
52kg・中村美里(五輪代表→銅)
57kg級・松本 薫(佐藤愛子(五輪代表→敗者復活3回戦敗退)に勝利)
63kg・上野順恵(谷本歩実(五輪代表→金)に勝利)
70kg級・岡 明日香(上野雅恵(五輪代表→金)に勝利)
78kg級・穴井さやか(中澤さえ(五輪代表→2回戦敗退)に勝利)
78kg級・塚田真希(五輪代表→銀)
全日本柔道選手権大会優勝者
石井慧(五輪代表→金)
塚田真希(五輪代表→銀)
(五輪代表は太字)
こうしてみると、不透明選出が目立った女子選手だが、その活躍が目を惹く。ということで、「全日本柔道連盟の不透明選考は結果的にそれなりの成果を挙げている」という見方も出来ると思う。一方で実力主義を通した男子選手はその多くが成績を残していない。
しかし、今の状況では、谷や谷本が現役を続行する限り、山岸や上野(順)には絶対に機会が回ってこない。山岸なら金メダルだったかもしれないし、上野(順)だって全試合一本勝ちで金メダルだったかもしれないのだが、それもこれも全部「もし」の話になってしまう。直接対決で勝っても出られないというのは相当に理不尽な話である。
どうにか打開策はないものかなぁ、と思うのだが、百歩譲っても、「代表候補二人による3回戦直接対決」による代表決定ぐらいしか思いつかない。塚田真希選手の決勝戦のように、常に攻め続けた結果、大逆転の一本負けを食らうということも柔道にはある。だから、一発勝負で決めてしまうのは確かに酷かもしれない。それなら、三回勝負ぐらいにしてまぐれの可能性を排除してみたらどうなんだろう。