「驚愕のラスト」が話題になった映画。驚愕のラストと言われてしまうから、ラストは大体想像できてしまう。そして事前の想像通りのラスト。だから、別に驚愕でもなんでもない。
このラスト、道徳的にどうか、というものがあるし、これを肯定してしまったら、9.11ですら肯定されてしまうのではないかと思う。
日本にもこの手の話は全くないわけではない。デス・ノートもそうだし、仕置人シリーズも同じ系統だろう。犯罪被害者が泣き寝入りせざるを得ないことは今でも山ほどあるわけで、裁判で「心神耗弱」となって無罪になったというニュースを見るたびに「またか」とも思う。このあたりについては日垣隆氏の『そして殺人者は野に放たれる』などを読むと一層法律の不条理を感じるかもしれない。
しかし、それでもやはり、法治国家にある人間として、この映画をそのまま肯定的に受け取ることはできないと思う。それをやっちゃぁ、オシマイよ、みたいな。しかし、そんな映画を作ってしまうのも勝手だし、それを上映するのも勝手。そのあたりの自由度があるのは間違いなく良いことである。
自分は「警察はもっとしっかりしろ」と思うけれど、他の人がどう思うかは不明。ただ、それほど長い映画でもなく、メリハリが利いているので見ていて退屈するわけでもない。ラストがどうなるのか、という楽しみもあるし、「これを見て、それぞれが何かを感じ取って欲しい」というのが製作側の意図でもあるだろう。結果に対する意見を押し付けられるわけではないから、見てみても決して損ではないと思う。評価は☆1つ半。
ちなみに、敬虔なキリスト教徒とか、道徳的な人は見ないほうが良いと思う。