一番最初にその話を聞いたのは、「天山リゾートが経営から手を引くらしい」という話。このスキー場はここ数年、3年契約で運営会社がころころ変わっていたのだけれど、天山リゾートは2007-2008シーズンが2シーズン目。あれ?まだもう1シーズンあったはずなのに、と思ったのだけれど、経営の改善がよっぽど難しかったのだろう。契約期間を一年残しての撤退となったようです。
「なんか、移動式のスノーマシンは全て回収しちゃったらしいよ」という噂を聞いていて、どうなるんだろうなぁ、と思っていたのだけれど、その後の情報はどれも断片的なもの。「南牧村スキーがあちこちのスキー場経営会社に連絡を入れているらしい」とか、「地元青年会で色々相談しているらしい」とか。レッドコースだけでもなんとか、ということらしい、みたいな話も聞いたのだけれど、あわせて、都連の野辺山開催の大会が他のスキー場に移ってしまったりと、徐々に「これはもう駄目かも知れないね」という状況証拠が集まり始めていた。
きんちゃん・ネットさんの「スキー場問題」というエントリーを読むと「まだまだ可能性はあるのかもな」と思ったりしていたのだけれど、一方で岡田利修ダイアリーさんの「都留ジャパンジュニア」で
話は変わりますが、先シーズンいっぱいで野辺山スキー場が終了する事になりました
と断定的に書かれていたりして、やっぱり駄目だったのか、と思ったり。
僕自身、野辺山では1シーズンに20日以上練習していたので、このホームゲレンデがなくなってしまうのは結構痛いんですよね。比較的アクセスしやすい場所だったし、バーンも良かったし、近くには自治体関係の保養所もあり、競技スキーをやるには非常に良い環境でした。しかしまぁ、リフトの老朽化が激しかったり、徒歩でアプローチできる宿泊施設がなかったり、雪が降らなかったり、競技をやらない人間には滑るところがなかったり、と、デメリットもたくさんあったわけですが。
やはり、致命的なのはリフトの老朽化なんでしょうね。普通に運営していても赤字なのに、新しくリフトを架け替えなくちゃならないってことだと、全く採算が合わない。加えて、折角シーズン初めにスノーマシンで人工雪をつけても、その後雨が降って全部溶けちゃった、みたいな不運が重なってしまうと、途中で投げ出したくなってしまう気持ちも十分に理解できます。
野辺山の経営権料がいくらぐらいなのかはわかりませんが、例えばかもい岳の再建に乗り出した歌志内のケースなんかを見ていると、民間に対する条件は決して悪くないものだし、おまけに宿泊施設などの経営権利も含めて、ということになっています。それでも、権利取得に手を挙げたところはほとんどなかったようですが。村がスキー場の運営に対してどの程度譲歩していたのか、それはそれで興味があるところではあります。でもまぁ、「譲歩なんかしなくて良い。この条件でどこもやらないなら、もうやめだ」っていう判断もアリといえばアリでしょう。スキー場経営による雇用創出とかも、実はそれほど多くなかったりしますしね。あのスキー場じゃぁ、物販とか、食堂とかも厳しそうだし。だって、皆が滑るのはレッドやトレバン、駐車場もそのすぐそば。でも、センターハウスはオレンジ下、と、行ったことがない人には全然わからないでしょうが、皆が山手線をぐるぐる使っているのに、食堂やお店はお台場にある、みたいな状況だったわけです。これだと、スキー場に付帯するビジネスがやりにくい。全体的なコンセプトから考え直さないとでしょうね。リフトを架け替えるなら、レッドの基点からオレンジの終点に向けてクワッドを一本、それから今レッドがあるところにはTバーを設置、みたいなのが妥当なところでしょうか。
さて、今日もこれからスキー屋の打ち合わせでおでかけです。ここ2ヶ月ぐらいはこの手の打ち合わせが非常に多く、成功報酬型のうちの会社の給与システムでは、僕の給料はほとんどナシという状況。「こんな斜陽産業にどうして参入するんですか?」と聞かれたりするわけですが、それにはもちろん、「誰もやろうとしないからやるんです」と答えています。こんなチャンスはないと思うんですよね。
先日、「元木さんのところで野辺山を運営したらどうですか」という話が出ました(もちろん、野辺山からの正式なオファーじゃなくて、打ち合わせの最中にちょっと話題に出ただけですが)。しかしまぁ、スキー場の運営は素人だし、そもそも、今、ようやくスキー屋が産声をあげたところですからね。最初はゆっくり、地道に。うまくまわり始めたらそこでようやくアクセルを踏み込むというのがビジネスの常道です。
ちなみにライブログスキーショップでは、今のところロシニョール、フォルクル、テクニカ、ホルメンを扱っています。9月中には今シーズンの取り扱いメーカーが全て出揃う予定です。