1951年に公開された「地球の静止する日」(原題:The Day the Earth Stood Still)のリメイク。前作では核戦争がメインテーマで、「このままでは他の星から脅威と思われてしまう」というのがメッセージだったが、今回は自然破壊がメインテーマ。地球にとって人間は害悪だから排除する、という趣旨に変更されていた。しかし、これ以外の部分はそれほど大きな変更点がなく、最新のSFXを用いて作り直したというのが一番の見所。
ストーリーで言えばあほな米国国防長官とその背後に見え隠れするあほな米国大統領に対して一科学者が何をするのか、というところに集約されるのだけれど、上層部のあほさは非常に丁寧に描かれているものの、それに対して主人公達がやっていることがあまりにも小さく、おいおい、地球人の生き残りをかけた交渉をやっているそばで、メインがあまりにもしょぼくないか、という感じがする。日本の改革を薩摩で話し合うならともかく、利尻島で相談しているような感じなのだ(利尻島の皆さん、スイマセン。悪意はないのですが、なるべくわかりやすく書きたかったもので)。それに、クラトゥが考えを変えるに至る部分もちょっと弱すぎる感じ。わざわざ全人類を滅亡させに来て、その程度で考えが変わっちゃうのってどうなの?事前の調査が足りなさ過ぎない?っていうか、あんた馬鹿ぁ?って感じである。
つまり、メインで取り上げられているストーリーがあまりにも瑣末な話で、「人類存亡の危機」という感じが伝わってこないのだ。いや、映像的には新しいものがあったと思うし、観ていて楽しかったのも事実。しかし、この映画の場合は「宇宙人来たー、人類滅亡ー、でも助かったー」っていう全体の流れが非常に重要で、映像だけが楽しければ良いという例えば「トランスフォーマー」みたいな映画とは随分違うと思うのだ。そういえば、似たようなリメイク事例で「宇宙戦争」があった。でも、宇宙戦争よりはちょっとマシだったと思う。それはなぜかというと、全体の流れの大きさに比較して扱われているストーリーがしょぼいだけで、突っ込みどころが満載というわけではなかったから。宇宙戦争はおいおい、ってところが多々あったのだけれど、こちらはそういう意味では整合性が取れていた。
しかし、何にしても、「その程度のことでプランを変更するなよ」という思いは強いわけで、評価は☆1つ。