2009年01月15日

MITとNASA(書きかけ、書きかけ)

今日はビジネスの話があって、理研に行ってきた。まぁ、その内容についてはここにはまだ書けないのだけれど、そのあとせっかく理研まで来たので、旧知の方々と新年会ということになった。

そこでの話題は文字通りいろいろあったのだけれど、ほとんどがここには書けない内容。相変わらず理研も色々あるらしい。第三者として聞いている分には面白いのだけれど、当事者としては大変だろうなぁ、などと思いながら聞いていた。

で、タイトルの意味なんだけれど、日本人がMITとアメリカ航空宇宙局って、どっちが偉いかなぁ、って考えたとき、すぐに答えが出るかな?ということ。唐突だけれど。最終的にはNASAかな?予算規模が全然違うから。しかし、NASAの誰かがノーベル賞を取ったという話は聞かないし、どうなんだろう。難しい。って、それが本題ではない。じゃぁ、日本ではどうなのか、と。

東大と理研でどっちが偉いのかなぁっていう話になったら、現状では東大になってしまう。これは研究者でも、一般の人でも、それほど意見がぶれないと思う。色々な考え方、尺度はあると思うのだけれど、東大と京大で迷うほどに東大と理研では悩まず、「東大でしょ」ということになると思う(きちんと調べたわけじゃないけれど)。

たとえばタンパクの横山さんは僕がいたころから「理研専任になる」と言っていたし、理研の事務方も「はやく専任になってください」と言っていたのだけれど、いつまで経っても東大の籍を抜いたという話は聞こえてこない。なぜかって、やはり理研の主任研究員(今はこういう肩書きじゃないのかも知れないけれど)よりも東大教授のほうが社会的に通りが良いし、人材確保とかでもメリットがあるんだと思う。お金の面で言えば研究費にしても給与にしても理研のほうが格段に良いと思うのだけれど、それ以外のところではどうしたって東大の方が上ということだろう。それで、横山さんが東大の籍を抜かないことの良し悪しを言いたいのではない。横山さんの行動は至極もっともであって、何が言いたいのかといえば日本で一番の研究機関であるはずの理研が東大の下という評価で良いのか、ということである。

今の日本において、東大を知らない人はほとんどいないけれど、理研を知らない人は山ほどいるわけで、じゃぁ、なぜそういうことになっているのか、ということになる。それは広報が下手で「狭報」になっているということ、すなわちアピールが下手ということが大きいと思う。いや、それもこれも含めて、やはり理研という組織はトップの能力が低いのではないか。ここで言う「能力」とは、「日本で一番の研究機関」として組織を運営していく能力である。

理研の今のトップは言わずと知れたノーベル賞科学者の野依さんだが、彼は科学者としては一流であっても経営者としては三流と考えて間違いがない。これは当たり前の話で、経営をやったことがないのに、文科省が「ノーベル賞だからどうでしょう」と連れてきたに過ぎないのだから、そもそも経営能力を野依さんに求めるほうがどうかしている。普通の会社であれば「最高科学顧問でお願いします」となるところ、「最高経営責任者でお願いします」なのだから、先行きが暗い。いや、もちろん科学者でありつつも経営者としての才覚がある人間もゼロではないと思う。じゃあ、野依さんがそういった人なのか、ということになるわけだが・・・・。

ここで、組織のトップに必要な役割は何なのか、ということになるわけだが、主観で言えば、その役割はひとつに組織の経営にあたっての理念を示すこと。次に、その理念に沿った運営が実際になされているかをチェックすること。なされていないなら、当然是正する必要がある。そして最後に、その経営方針によって思ったような結果が導かれなかったときに責任を取ることである。野依理研からは、この一番大事な「理念」が見えてこない。理念は何か判断に迷ったときに立ち返るべき基本なのだが、それが明確ではない場合、意思決定のベースがわからなくなってくる。そういった状態では、部下は「理事長はいったい何を求めているんだろう」と疑心暗鬼になってしまい、結果として意思決定にも時間がかかってしまうし、出てきた結果もその場その場で右に行ったり左に行ったり、理屈がないのでその場の気分で決まってしまう。この状態が好ましくないのは当たり前だ。

無責任な立場から理研がこうなったら良いのに、と思うことを書いてみる。

研究者、事務方は基本的にすべて2年程度の任期制にする。再任回数は決めない。これによって最高の機関らしい、本当のプロだけが集まってくる環境を整備する。その一方で給与水準は一般よりも大幅にアップし、さらに事務方も含め能力主義を徹底する。能力の評価は現場で第一次評価を実施したあとは第三者機関に丸投げし、内部の人間関係や温情などを一切排除して客観的に実施する。そうした中でルーチンな作業が発生してくる場合には、それらを担当する職員をパーマネントで雇用することも考えるが、その場合の給与は一般水準よりも低く抑える。有期雇用は高給、無期雇用は低給与という、本来あるべき姿のお手本を見せるのである。ただ、これをやると今いる事務方などの猛反発を食らうことになるから、既得権者には手をつけない。今後についてのみ適用する。

今、理研は野依さんがトップだが、MITの利根川さんもそれなりにプレゼンスを主張しつつあり、二人のノーベル賞科学者がどのあたりに落としどころを見つけるのかというのはなかなか興味深い。

まぁ、何しろこれから数ヶ月は理研の人事関係からは目が離しづらい。

どうでも良いんだけれどね。