試写会に当たったので観てきました。
試写会に当ててもらったからと言って甘い評価をしないのはこのあたりを参考にしてもらうとして、
つまりはただで観たからといって評価にバイアスがかかることはない。
さて、前置きはこのくらいにして、この映画。二人の新聞記者がタッグを組んで米国の国家に深く関わる謀略を探る、というストーリー。どこかで聞いたことがあるなぁ、と思うのは「大統領の陰謀」なわけだけれど、そういえば作中にウォーターゲートビルも出てくる。あれ?ウォーターゲートビルは最近他の映画でも出てきたよな、と思い返すと、それは「ザ・バンク」だったかも知れない。って、また横道にそれてしまったけれど、拳銃を持たない記者がいかにしてスクープをものにしていくか、というもので、あれ?日本でも似たような映画があったよな?しかも、大統領の陰謀は男二人だったけれど、日本は男女のペアだったような、あれ?なんだっけって、それは「クライマーズハイ」だった。と、事ほどさようにそれほど新しいプロットではないのは確か。
しかし、である。それでもこの映画はなかなかに面白かったと思う。最後まで高めのテンションを維持しつつ、上司との関係、男女の関係などを程よくミックスし、上手にまとめている感じ。特に恋愛部分の扱い方が重すぎず軽すぎずで、良い具合。
主たるテーマは武器製造・販売の「死の商人」との対決なわけだけど、あれ?これはザ・バンクも似たような話だった?他にも何だっけ?アイアンマン?ワールド・オブ・ライズ?うーーーーん、やっぱり、話自体にはそれほど新味がないんだよな。冷戦がなくなってしまって、テーマはやはりテロとの戦い、戦争と経済の癒着、みたいなところに行きつきがち。いや、繰り返すけれども、この映画がつまらないわけでは決してない。何より、ハリウッドお決まりのカーチェイスがないのが良い。それに・・・・・って、書こうとすると色々ネタばれになってしまうのが辛いところ。
登場人物がやや多かったり、部分的に話が発散する傾向があるので、多少難解なところもある。でも、きちんとそれぞれの謎を解決しつつ話が進んでいくので(もちろんその理由はあるのだけれど)、作り自体は親切。新聞記者の視点から徐々に真相に迫っていき、そして最後に明らかになる事件の全貌は、観てのお楽しみ、という感じですか?
良質のエンターテイメントだったと思う。この手のブロガーイベント的な映画はどうしても警戒して考えてしまうのだけれど(つまり、映画の宣伝の片棒を担がされてしまうんじゃないか、と考えてしまうということ)、そういう心配が杞憂に終わるくらいの出来だったと思う。では、☆3つかといえばさにあらず。マイナスポイントがいくつかある。まず、どうにも「大作」という雰囲気がない。「背後に潜む米国最大の闇」という感じになってこないし、そこへのアプローチが不十分なままに終了してしまう。それから、観客をミスリードすることに主眼があるのは良いのだけれど、「驚愕のラスト」を演出するために、それまでのストーリーとの整合性が取りにくくなってしまった。もう一度ゆっくり観ればはっきりするのだろうが、そのあたり、観た後にどうしてももやもやしてしまう。武器会社、暗殺者、議員の三者の関係とか。「驚愕のラスト」までのテンションがきちんとキープされたし、俳優も良かったし、音楽も良かった。それだけに、ちょっとラストの処理が惜しかったと思う(ただし、もう一度ゆっくり観れば評価が変わる可能性あり)。ということで、評価は☆2つ半。
そしてこれは決して忘れてはならないことなのだけれど、字幕が松浦美奈氏であることもポイント。もう、本当に英語の映画は全部彼女にやって欲しいくらい。