20世紀少年の完結編を観てきた。まず、前2作の感想はこちら。
20世紀少年 ☆1つ
20世紀少年<第2章> 最後の希望 ☆半分
さて、それほど注目もしていなかったし、期待もしていなかった本作。原作と異なる結末とはどんなものだろうと思ったのだけれど、まぁ、確かにちょっと違っていた。でも、大騒ぎするほどの違いではなかったかな。原作の方がかなり複雑なので、映画の方がちょっと親切だったと思う。
そもそも、この20世紀少年という原作が、あまり映画向きではないのだ。どうしてこんな複雑で、かつストーリーに抑揚がなく、ラストにも大きなクライマックスが配置されないストーリーを映画にしようと思ったのか、そのあたりが謎なところ。浦沢直樹の作品なら、他にももっと映画化しやすい作品があると思う。が、一番簡単そうで、しかも傑作になりそうな気配がある「MONSTER」は、仮に映画化するなら多分外国映画。出てくる登場人物がほとんど外国人だし、舞台もドイツとかチェコとかなので、邦画でやるのは難しい。柔道とかテニスを映画にすると今度は大河になってしまうし、やっぱり色々難しくて、仕方なくこれ、という感じなのかも知れない。おかげで、ちょっとだけ顔を出しました、という役者ばかりで、なんか内輪受けの「俺も出たよ」の参加賞的な映画になってしまった。あるいは、言葉を換えると「役者のための仮装大会」という感じの映画。「俺、こんなに似てるんだぜ」「え、ベーシストで出ちゃったの?」「俺は観客で良いから、って頼み込んだ(笑)」みたいな。まぁ、最初からわかっていたのだけれど。そういう、構造的な問題を抱えている本作なので、ラストはそれなりに盛り上がったものの、やはり「それなり」の盛り上がりでしかない。
本作だけでコメントすれば、まぁ、冗長な物語を良くこの時間にまとめたなぁ、とは思う。矢継ぎ早に進んで行くストーリーが相当にあわただしいけれど、おそらく原作を知らない人でもなんとかついていけるだろう。また、前2作で広げた風呂敷も一応破綻なく畳んでいると思う。漫画だと、「あれ?この人がともだち?どこで出てきたっけ?」というところで最初に戻ってマンガ喫茶で全巻読み直す、なんてことが出来るけれど、映画だとそれが難しいから、種明かしをきちんとわかりやすくやる必要があったわけだけれど、そのあたりも冗長すぎるという感じではなかった。一応親切なつくりだと思う。あー、でも、バーチャルアトラクションとかはかなりぶっ飛んだ設定なので、漫画で慣れてないと受け入れにくいかなぁ。
1作目、2作目を観ずにこれだけ観るということはないだろうし、1作目、2作目を観ていてこれを観ない、ということもないだろうから、まぁ、観る人は観るし、観ない人は観ないわけで、そういう意味ではレビューの書き甲斐がない作品でもある。このレビューを読んで、「よーし、前2作をツタヤで借りてきちゃうぞ!」という人もいるかも知れないけれど、そこまでの価値はないので辞めておくことをおススメする。映像部分では多少観るべきところがあるような気もするのだけれど、「こいつは凄い」という感じでもない。
3作目単品での評価は☆1つ半。三部作トータルで☆1つ。本作では常盤貴子だけは良い(他にも芸達者な役者は使っているけれど、どれもこれもちょっとだけなので)ので、そこだけ観ておくという手はある。って、それは個人的な好みの問題か(笑) まぁ、これでもうこの作品を観ないで済むという意味では、ひと段落。ハリポタよりも短かったので、そこのところは評価できる。