2010年03月20日

シャーロック・ホームズ

c09e8774.jpgもっと、インディ・ジョーンズのような遊びの部分が多い映画かと思ったら、ずっとソリッドでタイトな仕上がりだった。それはストーリー的にも、演出的にも、音楽的にも。アクションが前面に出ていて遊びの少ないハードボイルドな仕上がりなので、観ていてちょっと疲れた。それにしても、シャーロック・ホームズをこういう解釈で映像化した例ってあるんだろうか。ホームズとワトソンという名前は使っているけれど、まだキャラが犬のアニメの方がそれっぽい雰囲気を出せそうな気がする。この意外性は去年公開されたスター・トレック以上。個人的にはあまりシャーロック・ホームズに思い入れがないので、これでも別に問題はないのだけれど、古くからのファンはちょっと納得しないんじゃないだろうか。それと、ラスト。これかよ、みたいな終わり方だったので、ちょっとがっかり。こういう映画は少なくないけれど、バック・トゥ・ザ・フューチャーだって一作目は・・・と思わないでもない。

内容は、黒魔術のドロドロした雰囲気、オカルト色を出しつつ物語を進め、その上でホームズが事件を解決して行く、というもの。こういうのも、古くは007の「死ぬのは奴らだ」とか、それほど新しいところもないのだけれど、もしかしたらこちらの原作とかがオリジナルなのかも知れない。良くわからないけど。何しろ、オカルトと名探偵(スパイ、泥棒)の組み合わせにはそれほど新味がないのだけれど、悪くないと思う。

ちょっとひねりがあったのは、いくつかの謎解きの、それを解くタイミング。「あれ?」と思っていたら、最後にきちんと回収してくれた。ここは評価できる。謎解きの見せ方はフラッシュバックで種明かしするケースが多かったんだけれど、親切といえば親切なつくり。ちょっと親切過ぎる感じもするけれど。

ただ、火だるまの件はどうなんですかね。ナイフで斬りつけたらどうするのかとか、それ以前に当たったらどうすんだ、とか、ちょっと解せないところはある。ワトソン君の超回復振りも凄かったけれど。

総じていえば、映画にはお金がかかっている。そして、俳優も良い。でも、最後まで回収されない伏線が多く、終わってみれば「あぁ、続編への布石だったのね」ということなのだが、そのあたりが一番どうなのかなー、というところ。やはり最初の一作はきちんと全部完結して欲しい。

映像自体は結構良かったと思うし、美術も頑張っていたと思うのだけれど、正直なところ、この映画の19世紀ロンドンよりパルナサスの現代ロンドンの方がずっと雰囲気があったのはちょっと残念。というか、短期間にホームズとパルナサスを続けてみてしまったので、どうしても比較してしまうし、比較してしまうと、パルナサスの方が数段好き。評価は☆1つ。