2010年07月03日

ヒックとドラゴン

4f21c778.jpg九段会館で、吹き替え2D版の試写会を鑑賞。

いきなり「ヒックとドラゴン」というわけのわからない邦題にげんなりさせられる。といっても、この邦題については「ショウ・ビズ・カウントダウン」などで知ってはいたのだけれど。出てくる男の子とドラゴンはHICCUPとトゥースレス(歯なし)で、映画を観ればなるほど、という仕掛け。でも、ヒックとドラゴンじゃ全然わからない。しかも、ドラゴンの名前はトゥースになっている。意味が逆じゃん。「どうせ子供は英語なんか分からないんだから」という、日本語製作者達の人を馬鹿にした顔が目に浮かぶ。もう、普通にみんな英語を勉強しているんだから、How to Train Your Dragonで十分じゃない?わかんないなら英語を勉強すれば良いじゃん。

さて、映画の方はドラゴンと男の子の交流というもので、プロット自体は日本では散々アニメで扱われたことのあるものだし、実写映画でも最近なら「アバター」で描かれたもの。アバターも実写版というよりは実写のように見せたアニメと言っても良い作品だけれど、アバターを子供向けにアニメにしたらこうなりました、といった感じである。

映画は少年ヒックのひとり語りが中心で、交流するドラゴンはヒトコトもしゃべらないから、結果としてヒックがずっと喋っていることになる。この構成はもうちょっと何とかならないものだろうか。登場人物は他にも数名の主要な人物が出てくるものの、完全に脇役。おかげで映画は短くなったが、物語の深みはなくなってしまった。同じように登場人物が物凄く少なかった「WALL・E/ウォーリー」に比較するとどういうわけか本作の方がかなり軽く感じられるのだけれど、それは中途半端に出てきたパパやライバルのせいなのかも知れない。ドラゴンの中のドラゴン、Night Furyがイマイチえらい感じじゃないのもどうなんだろう。誰も見たことすらない凄い奴、って感じがしない。

本作で最大の見せ場となるのはおそらくは飛翔シーン。ところが、この飛翔シーンがいまひとつなのもちょっと残念。へたくそとは言わないが、標準レベルで収まってしまっていて、躍動感のようなものがないのを背景でごまかしている。飛翔シーンだけで言えばちょっと前なら2年前のスカイ・クロラ、最近なら上に挙げたアバターなどの方がずっと出来が良いと思う。

アニメの中で空を飛ばす演出力というのはやはり日本人なんだろうか。

トータルで見れば悪い映画じゃないし、中だるみはあるものの、十分に楽しめる。子供向け映画や教育映画、どうぶつ映画には物凄く評価が甘くなるYahoo!映画やぴあの映画生活ではきっと高評価になると思う。しかし、ピクサーに比較しても、また、日本のアニメと比較しても、ちょっと落ちるといわざるを得ないのもまた事実。5作以上続いている児童文学の1冊目ということで、これからも続きが映画化されるんだと思う。だから、最初の一作目のできには目をつぶろう。次からは、もうちょっとピクサーに迫って欲しい。

ちなみに、3Dや字幕で観たら、また違った感想になるかも知れない。評価は☆2つ。