2010年07月31日

フィラデルフィア

フィラデルフィア デラックス・コレクターズ・エディション(2枚組) [DVD]

日本で作っても、米国で作っても、そこそこに面白くなるのが裁判モノ。この映画で扱うのはエイズに対する差別。ちょっと前までは人種差別がおかずだったけれど、時代を反映してか、エイズになっている点が新しい(って、もう15年以上前の映画だけれど)。

敏腕弁護士として活躍していた主人公が、エイズの発症を事務所に知られ、解雇される。主人公は、残り少ない人生を、弁護士事務所と法廷闘争することに費やすことを決め、命をかけた闘いを始める、というストーリー。

エイズによって徐々に弱っていく主人公を演じるトム・ハンクスが凄い。鬼気迫る演技とはこのこと。これ、特撮じゃないよね?ダイエットとメイクで表現しているんだよね?

ま、そういう表面的なことはさておき、エイズに対する社会の嫌悪みたいなものを、映画の中ではあれも、これもという感じで描いている。「差別は良くない」とキレイ事をいってはみても、実際にそれをきちんと体現できるかというと非常に疑問で、かくいう自分も、生化学の知識がきちんとあっても、やっぱりそういう目で見てしまう部分があるんじゃないかと思う。人間が根源的に抱えている恥ずかしい部分を見せつけることによって、「あぁ、自分もこの立場だったらなぁ」と思わせるところが、この手の映画の肝になるところ。

エイズに関して印象に残った部分は「どういう経緯でHIVに感染したかは関係ない」「エイズ患者は病気で死ぬ前に社会から抹殺される」というところ。僕は同性愛じゃないから、特に前者みたいなところを感覚として理解しにくい部分がある。だから、まずは文字の上で理解して、徐々に感覚として身についたら良いな、と思う。

インターネットの時代になって、今まで見えていなかった色々な価値観に触れるようになった今こそ、一度こういう映画を観て、差別とはどういうものなのかを知っておくべきだと思う。

評価は☆3つ。この映画をつまらないと言う人とは友達になれないと思う。

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