2010年08月11日

TIIDAのブログが終了するというもったいない話

2004年の9月30日といえば、僕は神宮球場で我が中日ドラゴンズの胴上げを楽しみにしていたようだ。

2004/9の過去ログ

その日に始まったTIIDAブログが終了するらしい。

【6年間ありがとう】 みんなで選ぶ!TIIDA BLOGアワード開催

TIIDAのブログは拙著「ブログ・ビジネス」でも取り上げたわけだけれど、当時としては画期的なサイトだったと思う。それが終了してしまうのは残念なのだが、このブログの曲がり角は、トラックバックやコメントが自由にできなくなった頃から。確かにトラックバックやコメントを通じてのスパムはブログを運用していく上で対策しなくちゃならない部分なんだけれど、それを入り口のところで「会員登録していないと受け付けない」とか、規制しちゃうとおかしなことになる。多少面倒でも、まず入り口をフリーにしておき、その範囲で取捨選択するべきだし、ホワイトリストを作るんじゃなくて、ブラックリストを作って対応すべきだった。そのあたりを間違ってしまったのが、このサイトの致命的なエラーだったと思う。せっかくの開かれたメディアを、わざわざ閉じてしまったのだから。こうした意思決定のあたりに、ネット・コミュニケーションの本質を理解していなかったことが垣間見える。

「役目を終えた」と書いてあるけれど、「終える」と書けるような役目などないはずで(消費者と双方向のコミュニケーションを確立しつつ、TIIDAという商品のブランディングを実施していく、という役目に終わりなどないはず)、要は使いこなせなかった、ということなのかな。それは日産の担当者が悪いのか、このブログの運用コンサルについた会社の能力が低かったのか、意思決定者が馬鹿だったのか、分からないけれど。ただ、導入初期のクオリティに比較して今のTIIDAブログのクオリティは明らかに低く、このブログに対する熱意のようなものが感じられなくなっていたのは間違いがない。

ウェブサイトを通じた消費者との双方向のコミュニケーションはまだはじまってわずか。せっかく6年間知見を貯めたのに、それをナシにしてしまうというのは日産にとってだけじゃなく、社会にとっても損失である。色々な実験をやっていけるハズだったのに、それをせず、そして幕を引いてしまうというのはなんとももったいない話である。

僕ならもっとやれたと思うけれどね。「まだ出来るはずだから、俺にやらせてくれ!」っていう熱意のある人がいなかったんだろうね、日産の内部に。「言われたからやります」っていうスタンスだと、確かに辛い仕事だから。

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