「ちゃんと伝える」がいまいちだった園子温監督が、その前年に撮った作品。僕は満島ひかりが結構好きなタイプなので、それだけが理由でDVDをレンタルしてみた。
評価は☆3つ。ということで、良い子の皆さんはここでさようなら。以下、追記で。
4時間近い長尺なので、実際に映画館で観ていたら大変だったと思うのだけれど、間に休憩時間とかあったんだろうか。ま、それはそれ。ストーリーを大まかに言ってしまえば、新興宗教にハマってしまった妹を取り返そうとするお兄ちゃんの話。この間の野田秀樹さんの「ザ・キャラクター」もそうなんだけれど、日本人はようやく、2010年近くになって、こうやってオウム真理教と向きあって、表現できるようになったのかな、また、それを受け止められるようになったのかな、と思う。あの事件は、21世紀を生きる日本人にとってのトラウマなのだ。
さて、この超長尺の映画、構成はなかなかに素晴らしい。この、良くありそうなストーリーを、滅多にない映画に仕上げている。何しろ、延々と続く3時間30分ぐらいの起承転結の「起承転」の部分が異常に長くて、長くて、それでいてつまらなくない。というか、むしろサービスシーン盛りだくさん。満島ひかり目当てにレンタルしちゃった僕にしてみればもうこれだけで大満足(良い子の皆さんは見ちゃ駄目です)。もちろんそれだけじゃなくて、「くだらねぇなぁ」と苦笑いさせつつも、きちんと楽しませてくれる。それで、このながーい、ながーい、それでいて退屈させるわけではない前振りのあと、訪れる「結」のシーンが良い。フラットに最初から脚本を並べてみたら「あれ?」って腑に落ちない部分もあるのだけれど、もう200分程度の映画鑑賞によってそのあたりの感覚ってすっかり麻痺しちゃっている状態。だから、ラストの恍惚感が凄い。延々とフラットに近い状態が続いて、最後に一気に盛り上がって、収束。これが、あぁ、男が撮った映画だなぁ、という感じ(女性には生理的に理解不能かも知れない)。
ちょっと滑舌が悪くて何を言っているのか良くわからないシーンとかあったけれど、そんなことはまぁ良いんじゃないかと。最初の、満島ひかりが登場するあたりも、なんか下手くそなB級映画っぽいというか、ケータイ刑事とか見たらこんな感じなのかなぁ、などと思うシーンもあるけれど(ケータイ刑事、見てません)、そんなことはまぁ良いんじゃないかと。
満島ひかりはもちろん可愛くて、あちこちにサービスシーンがあって、園子温監督、ありがとうございます、という感じだけれど、実のところ、凄い存在感があったのは安藤サクラだなぁ。僕が、「顔」が好きなのは3人組の右側だけど(笑)。「4時間ですかぁ」という声があちこちから聞かれそうだけれど、あの恍惚感を味わうためには、必須だったのかも知れず、一年に一本ぐらいはこんな映画があっても良いと思う。正直、映画館で観ておくべきだったと思う。あれ?
明日(1月10日)、渋谷でやっているのか・・・・。
評価は☆2つ半・・・・・いや、☆3つ。満島ひかりで半分追加(笑)。