先ほど、中小企業庁へ下記のファックスを送信しておきました(若干修正しましたが、ほぼ原文通りです)。メールで送れないのが面倒くさい。
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経済産業省中小企業庁経営支援部新事業促進課 担当者様
電話 03-3501-1767
ファックス 03-3501-****(何故か非公開なので、念のため)
送信元:株式会社ライブログ 元木一朗
中小企業庁新事業促進課新連携認定計画担当者 様
年末より、株式会社リバネスのネットショップについてご対応いただきありがとうございます。さて、先日、1月13日にリバネス社の担当者を中小企業庁に呼んで、現在の販売方法について改善を求める旨連絡をいただきましたので、その際に1納税者として最低限この位はやって頂きたい、ということを念のため連絡させていただきます。なお、以下はあくまでも「最低限」のことですから、これ以上の要求を制限する性質のものではありません。また、本要望書は強制ではありませんが、当日、何を要望したのかは(可能であれば文書で)ご連絡いただければ幸いです。なお、本要望書、および今後担当者様よりいただいた文書は基本的に全てネットで公開する方針でおります。従いまして、何か公開しては不都合が生じるような文書の場合は、あらかじめ「この部分は非公開で」とご指定いただければ幸いです。
さて、本題です。
全くの原則論なのでここで確認する必要もないことですが、中小企業庁の「中小企業を支援する」という役割の大前提として、他の企業のお手本になるような企業を育成するということがあると考えます。私自身、経産省の課長補佐として中小企業庁と連携して新しい補助事業を立ち上げた経験がありますが、委託、補助の選定先の決定にあたっては、「他の企業のお手本になるような企業」というものを大前提としていました。逆に言えば、不法行為を働いている会社、あるいはそれに類するような不適切な経営を行なっている会社への委託、補助というのは行わない、ということが中小企業庁の中で共有されていると考えます。今回の件においてリバネス社が実施しているマーケティングは違法行為ではないことを了解した上で、以下、大きく5つの点について対応案を書いていきます。
(1)販売手法の改善について
中小企業庁から私に対しては繰り返し「リバネス社への直接の補助は行っていない」という旨の説明がありました。この点は了解しております。しかしながら、下記PDFの資料によれば、連携体のひとつとして「科学的エビデンス」を提供するリバネス社が明記されています。
http://www.chusho.meti.go.jp/keiei/shinpou/shinrenkei_ninteijirei/9okinawa/9-17.pdf
補助金がコア企業である有限会社沖縄長生薬草本社にのみ支払われるとしても、お金に名前が書いてあるわけでもなく、また、コア企業単独で事業が完結・実施されるわけでもないのですから、リバネス社も当然のことながらこの補助金によって何らかの利を得ると考えるのが当然です。また、場合によってはリバネスが主導で企画書を作ったのかもしれず(補助金を取り慣れている会社がウラで糸を引くのは非常に良くある話です。もちろんこの事業においてそういった活動が背後にあったのかどうかはわかりませんし、また、あったとしても別に違法でもなんでもありませんが、企画書に名前がある以上、何の協力もなかったと考えるほうが不自然です)、今回のリバネス社のマーケティング手法について中小企業庁がきちんとした態度で臨むのは当然の話です。その点で、「お金はリバネスに直接補助しているわけではない」ということを理由に責任を回避することなく、13日に改善を要望するという姿勢は大変高く評価できると考えています。
さて、ではリバネス社に対して中小企業庁、ひいては、その背後にいる納税者たる国民は何を要求すべきか、ということになります。まず、中小企業庁としてはリバネス社に対して「ウコン」「味噌」「しじみ」、および沖縄タイムスを通じて全世界に研究を表明した「ウコンとシジミの相乗効果」(出典:沖縄と青森タッグ 「しじみウコン」開発へ http://www.okinawatimes.co.jp/article/2009-12-01_133/)の、健康に対する有効性の科学的裏付けを要求すべきです。科学的裏付けには、最低でも査読のある論文誌上に掲載された原著論文の提示が必要と考えます。企画書に「科学的エビデンス」と記載されている以上、上記の事項に関する原著論文の提示は当然ながら最低限の要件ですが、これについてリバネス社の対応はいくつか想定されます。それぞれについて、中小企業庁の対応を考えますと、次のようなものがありうると考えます。
ケース1 現状を改善し、原著論文を提示する
科学的エビデンスをきちんと提示するのであれば、販売手法については特に問題がなくなります。「できるならなぜ最初からやらないんだ」という話でもありますが、そのあたりは「引き続き、お手本となるように頑張って欲しい」ということで、本件につきましては風呂敷をたためえば良いかと思います。
ケース2 原著論文を提示せず、かつ現状を改善しない
リバネスショップが原著論文の提示を拒否し、かつ現在の販売方法を継続するのであれば、今回中小企業庁が補助した有限会社沖縄長生薬草本社はリバネス社との提携を打ち切るべきで、それができないなら補助金は全額支払い停止が相当と考えます。また、過去10年ほどのリバネス社への委託、補助の実績は全て洗い出し、その正当性を検証すべきです。
ケース3 原著論文を提示できず、販売方法を改善する
リバネス社が全面的に非を認めた場合は、まず当面リバネスショップでの当該商品、および類似の商品については販売の停止を指導したうえで、責任者の処分を含め、再発防止に向けた計画を提出させること、及びその内容をネット等で一般に公開する必要があると考えます。公開は中小企業庁ではなく、リバネス社自身が実施するのが妥当と考えます。また、すでに購入したお客様に対する責任のとり方としては、下記のオーストラリアの企業の事例が参考になるかと思います。
パワーバランス社、「ブレスレットの効果に科学的根拠なし」認める
http://www.powerbalance.com/australia/ca
また、本事業のウコン、味噌、シジミを利用した製品の販売とは直接関係がありませんが、仮に同様の要件をクリアしていない商品を同じ場所で売っているのであれば、たとえウコン、味噌、シジミ関連製品が「科学的エビデンス」の要件をクリアしたとしても、リバネスショップでの販売は拒否すべきです。具体的に言えば、βカロテンのような、健康被害に関するネガティブな論文が各所で提示され、そのサプリメントとしての有効性には否定的な見解(「本来、全く飲む必要のないサプリメント」「健康な人が飲んで、寿命を短くしてしまう」(出典:2003年12月1日、東北大学坪野吉孝助教授講演「健康情報の科学的な読み方」から抜粋))が一般的である商品と同列での販売は不適切と考えるのが妥当と考えます。なぜなら、リバネス社の丸社長はリバネスショップにおいてこれらの健康食品を販売することを正当化するために、「国からの委託でもある」と表明した経緯があるからです。国からの委託という看板を利用して、委託してもいない製品についても看板を流用されてはたまりません。
(2)丸社長がネットで表明した「国からの委託」という内容について
(1)でも触れましたが、丸社長が、ツイッター上で菊地誠氏より提示された疑問に対し、本事業が国からの委託であることを根拠にその正当性を主張した件について確認が必須です。丸社長は現在までにその発言を何の謝罪もなく削除しておりますが、削除前に中小企業庁には連絡を入れてありますので、内容はごらんになっているかと思います。念のため、内容を次に再掲します。
@yukihiroMaru 丸 幸弘/リバネス代表取締役CEO
沖縄ウコンの会社と青森のシジミの会社と長野に工場がある味噌の会社と共同研究開発をした結果です!国の委託事業でもあります。売るというよりはマーケティングのお手伝い!RT @Mochimasa: RT @kikumaco: リバネスが健康食品を売るというのは、いまいち微妙感があるな
キャプチャー画像
https://livedoor.2.blogimg.jp/buu2/imgs/7/c/7c7a280a.gif
丸社長の主張は「国からの委託事業であり、国の了解を得た信頼性に足る事業である」というものであり、いわば責任を国に転嫁し、かつ錦の御旗として利用したものでもあります。私がこれまでに調査したところでは、国からの委託実績は見当たらず、また、少なくとも中小企業庁からの委託実績は確実にないのですから、丸社長の真意がどこにあるのかはきちんと確認する必要があります。その上で、他省庁からの委託実績があるのであれば、それを公開すべきですし、万一、どこからも委託の実績がないのであれば、その発言自体を訂正させると同時に(それはもちろん、発言を削除してうやむやにする、ということではありません)、再発防止に向けた責任者の処分と計画の策定を指導すべきです。この件については、丸社長自身がすでに発言を削除していることからも、その不当性は丸社長自身が自覚している可能性が高いと考えます。ポイントは、うやむやにしてはならない、ということです。国の名前を語っての自己正当化については、白黒をはっきりとつけることが必須だと考えます。また、丸社長自身が「マーケティングのお手伝い」がリバネス社の役割と表明していますが、今回の件ではそのマーケティング手法こそが最大の疑問点であることは疑いのないところだと考えます。
(3)βカロテンのサプリメント販売について
βカロテンサプリメントの販売については、今回の件とは直接的な関係がありません。しかし、βカロテンのサプリメント摂取に関するネガティブな論文が発表されており、それに反論する科学的論文は私が調べた限りでは見つかっておりません。従いまして、本件については厚生労働省、および消費者庁のしかるべき部署に連絡し、情報を提供すべきと考えます。βカロテンについては中小企業庁の所掌するところではないことは私も同意するところですので、専門の省庁にお任せするのが妥当かと考えます。
(4)大学課委託事業「産業技術人材育成支援事業委託費」等について
経産省大学課の委託事業として「産業技術人材育成支援事業委託費」というのが3年間継続して実施されています。この成果が、仮に「科学的エビデンスを提示することなく、単に博士という肩書きを利用するだけの健康食品販売となっていた」ということであれば大きな問題があると考えます。また、直接的な関係がないとしても、上述の事業や「早期工学人材育成事業」など、経産省からは複数の委託が実施されています。(1)についてケース2、ケース3が該当するのであれば、早急に過去の実績について、第三者機関を含めた評価委員によって、検証・評価する必要があると考えます。また、ケース1の場合であっても、厳重な注意は必須と考えます。
(5)国の委託費を受けている立場の会社の説明責任について
今回の件について、私はリバネス社に対してツイッター上で何度か説明を求めていますが、彼らからは一切のリアクションがありません。その上で、いくつかのポイントとなる記述、発言を何の謝罪、告知もなく削除、修正しています。
その1 リバネスショップ上でのシジミに関する記述について
修正前:
日本国内でも有数の長寿地域として知られる沖縄県で栽培されたウコン、肝臓に良い健康食品として注目されるしじみ、日本伝統の発酵食品として日本料理には欠かせないみそ、これまで出会うことがなかった全国各地の国産食材が、先端的な加工技術により新商品として生まれ変わりました。各食材を扱う地域の一流企業が連携して実現した夢の商品です。
修正後:
日本国内でも有数の長寿地域として知られる沖縄県で栽培されたウコン、国産しじみ、日本伝統の発酵食品として日本料理には欠かせないみそ、これまで出会うことがなかった全国各地の国産食材が、先端的な加工技術により新商品として生まれ 変わりました。各食材を扱う地域の一流企業が連携して実現した商品です。
その2 ツイッター上での丸社長の発言
削除発言(丸社長のツイッター上の発言、再掲)
@yukihiroMaru 丸 幸弘/リバネス代表取締役CEO
沖縄ウコンの会社と青森のシジミの会社と長野に工場がある味噌の会社と共同研究開発をした結果です!国の委託事業でもあります。売るというよりはマーケティングのお手伝い!RT @Mochimasa: RT @kikumaco: リバネスが健康食品を売るというのは、いまいち微妙感があるな
これらについては、国からの委託を受けている企業、もしくは直接委託はされていないものの、何らかの利を得ている企業の対応としては不適切と考えられます。税金を利用して事業を進めている以上、一定の説明責任を負うのは当然と考えます。
また、本件につきましてはリバネス社がどのような委託をどこから受けているのかも問い合せておりますが、それについても返答が得られておりません。このあたりの説明責任についても中小企業庁より企業姿勢の改善について要望が出されても良いのではないかと考えます。
以上5点につきまして、13日にはリバネス社に対して明確にすべき点を明確にするよう要望するとともに、国のお金を使っている企業としての真摯な対応を求めるよう、お願いしたいと思います。また、当日の内容につきましては、簡単な抄録で構いませんので、私までメール、またはファックスでお知らせいただければ幸いです。
よろしくお願いいたします。
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