ダフ屋問題の根源はどこにあるのか。単に「どうしても観たい。観るだけで満足」という、ジャニーズ系とかのイベントを除けば、要は同じ値段で価値の違うものを売っているのが問題の出発点なんだよ。最前列も、40列も、同じ8400円なら、誰だって最前列が良い。価値は全然違う。そして、この価値の差に目をつけたのがダフ屋という商売。だから、その価格差を解消する手段を講ずれば、ダフ屋という商売は成立しなくなる。では、それはどうしたら実現できるのか。ぱっと思いつくのは、オークション形式でチケットを販売することだ。これによって、チケットの価格は全て市場原理で決定される。「それじゃぁ、貧乏人はいつまで経ってもいい席で見ることができないじゃないか!」という反論もありそうだが、資本主義社会というのはそういうものだ。
が、アーティストの側からすれば、「そうは言っても、貧乏な人にも平等に楽しんで欲しい。お金のない学生さんにも楽しんでもらいたい」という考え方もあるかも知れず、むしろそういうアーティストのほうがマジョリティかも知れない。さらに、「いい席はそれでも良いけど、悪い席は逆に安くなるわけで、トータルで見ると収入減になるかも知れない」という弱気なアーティスト・主催者もいるかも知れない。とすれば、また別の方法もある。
そもそも、チケットに座席が記入されていることがおかしいのだ。10年前なら、これしか方法はなかったのかも知れない。でも、今は状況が全く違う。そこで、入場チケットは単なる「入場券」として販売する。座席表示はなし。これなら、全てのチケットの価値は平等である。隣で観たい、とかの希望はあるだろうから、「2連番」とか、「3連番」とかの設定だけは用意する。これならダフ屋が目をつける価格差が生じない。
そして、当日、会場に入場する際に抽選を行って、座席を決定すれば良いのだ(当選枠は「単枠」「2連番」「3連番」ぐらいの分類で事前に分配しておく)。以前なら「そんなことをやったら大混乱になる」という意見が出ただろうが、今ならそんなこともない。座席抽選システムなんか、すぐに構築できるし、その場で座席をプリントするのだって難しくない。あと、みんなに座席をプリントする必要もない。携帯を持っている人には、携帯にデータを送信してあげれば良い。携帯を持ってない人、忘れた人をあわせても、プリントしなくちゃいけない人はせいぜい5%程度だろう。
こうした対応をとれば、最終的にはチケット自体の価値は当然発生するのだけれど、座席決定と入場がほぼ同時になるので、時間的制約からダフ屋が介在する機会はほとんどゼロになるはずだ。価格差は生じるけれど、それが生じている期間を極限まで短くすることによって、実質的な価格差をゼロにするのである。
もしかしたら、「悪い席なら行きたくない」という人もいるかも知れないが、そのあたりは何に優先順位をつけるか、である。あと、「どんな席でもこの値段ならオッケー」というコンテンツもあるかもしれず、その場合はやはり二次市場に流れるだろうが、その場合はチケットが安すぎるのだ。
また、上のオークションシステムと、下の入場時抽選システムを複合するという手もある。一定数の座席についてはオークションで確保可能とし、他は抽選、というやり方だ。ただ、こうした複合システムは色々と面倒なので、個人的には推奨しない。
これで万全、とは言えないが、上述したような「とにかく入場できるだけで、席なんかどこでも超満足」というコンテンツは物凄く限られているわけで(あるのか?)、その他のコンテンツについてこのようなシステムを導入すれば、ダフ屋が商売の対象とできるほとんどのコンテンツについてはダフ屋排除が可能になる。そうなれば、ダフ屋全体に対するパイが激減することになるから、ダフ屋という商売そのものが成立しにくくなるわけだ。
迷惑禁止条例などによって法的に規制するのではなく、システムによって排除する。これが現代人の採るべき対応策だと思う。なんでやらないんだろう?とりあえず、アイデアはただで提供してみました(笑)。
去年の誕生日(12月8日)にダフ屋が大嫌いな宇多田ヒカルさんからコンサートのチケットをプレゼントしていただいた(応募したら当選したんですが)ので、そのお返しということで。