2011年05月23日

Twitter後のネット社会 番外編 その5 自分にとってのカリスマ

先日、Yahoo!映画のレビューにナタリー・ポートマン主演の新作「ブラック・スワン」のレビューをアップしました。私はこの手のレビュー活動をラーメン、外食グルメ、映画、演劇、書籍などで行っていますが、映画についてはかなり書きこんだレビューを書くことが多いです。大体1000〜1500文字程度で、あらすじや俳優など基礎データを書くことはあまりないので、映画のレビューとしては長い部類だと思います(もちろん、本職の映画評論家の方々はもっと長い文章を書いています)。さて、そんな私が書いた内容は、こんな感じのものでした。500文字弱です。

え?これがアカデミー賞、主演女優賞しか獲れなかったの?
信じらんない。
これから大事なことをいくつか書きます。まずその1。レビューは読んじゃダメ。このレビューを最後にしましょう。
その2。ナタリー・ポートマンのファンなら文句なくおすすめ。
その3。必ず大きな画面の、音響がしっかりした映画館で観ること。しょぼいテレビとしょぼい音響施設じゃダメです。
その4。怖いのが苦手ならやめておいた方が良いかも。
その5。「白鳥の湖」のストーリーは勉強しておいた方が良いかも。「どこで勉強するのさ」という人はウィキペディアでもどうぞ。
ウィキペディア「白鳥の湖」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%99%BD%E9%B3%A5%E3%81%AE%E6%B9%96
ここ1年ぐらいでは一番の衝撃だった。総じて音響がイマイチの試写会が当たらなくて、今となっては逆にラッキー。
ということで、もう一度書いておくけれどこれ以上レビューは読まないほうが良い。さっさと映画館へどうぞ。
怖かった。

http://info.movies.yahoo.co.jp/userreview/tyem/id337733/rid194/p3/s2/c21/

このレビューを掲載して12時間ほどで、「参考になった」という役立ち票が16票になりました。それよりも一日ほど前に掲載した「奇跡」は、その時点で14票しか投票されていなかったので、ブラック・スワンのレビューは奇跡よりもずっと好意的に受け入れられたようです(ただ、映画自体の注目度がこれを書いている時点では全く異なるのですが)。

レビューの内容を一読してもらえばわかることですが、このレビューにはほとんど感想らしきものが書いてありません。書いてあることは「予備知識なしで、映画館で観てきて」ということだけです。僕のブログの読者であれば、「普段、たっぷりとネタばれする人がどうしたんだろう?」と思うような内容ですが、Yahoo!映画の場合は、そのレビュアーが普段どんなレビューを書いているかなどには無頓着だと思いますから、多くの人にとっては、個人の主観的な感想よりも、「ネタバレなしで楽しめ」という情報の方が価値があったということでしょう。

また、ブラック・スワンよりも少し前に、「トゥルー・グリット」という映画のレビューを書いたのですが、このレビューも比較的多くの「参考になった」票を集めました。
http://info.movies.yahoo.co.jp/userreview/tyem/id338090/rid128/p0/s0/c0/

このレビューの特徴は、「良くわかんなかったけれど、こちらで物凄く丁寧に説明してくれている動画があるから、そちらを見てね」という、素人評論家ならではの丸投げレビューという点です。僕には理解不能だったけれど、町山さんという、もっと詳しい人がこちらで説明してくれています、などとは、プロだったら口が裂けても言えないセリフですが、それをやってみたところ、これも好意的に受け取られたようです。僕の役割は、役に立つ情報の発信ではなく、役に立つ情報へのガイドでした。

「Twitter後のネット社会」では、1-3章で「情報の信頼性というのは「みんなが言っている」のではなく、「誰がその情報を発信しているのか」ということに帰属することになります。信頼すべきは、「大勢の意見」ではなく、「信頼に足る特定の個人が発信する情報」に帰着すると考えられるのです」と書きました。トゥルー・グリットの事例では、僕が果たした役割は「信頼に足る特定の個人への水先案内」だったわけです。

つい先日、ZAPAnet総合情報局のzapaさんがツイッターでこのように書いていました(部分引用)。

実は、カリスマの主観的レビューが一番参考になる。

http://twitter.com/#!/zapa/status/72236498493255682

私も全くこの通りだと思います。自分にとってのカリスマをどうやって見つけてくるかが大事だということです。

なお、映画関係で私が参考にしている(自分でレビューを書く前に読むことはほとんどありませんが、書いた後に読んで、なるほどなぁ、と感じることが多々あります)、私にとってのカリスマを開示しておきます。このリスト自体はそのまま真似をしても意味がありません。それぞれが自分のリストを作っていく必要があって、そのための参考資料です。

破壊屋さん
http://hakaiya.com/

町山智浩さん
http://d.hatena.ne.jp/TomoMachi/

つぶあんこさん
http://blog.livedoor.jp/tsubuanco/

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