そろそろ、フェイスブックの利用状況が明確になってきました。「Twitter後のネット社会」ではまだ不透明だったため、フェイスブックの利用に関する考察は行いませんでした。ここで簡単にまとめておきたいと思います。
まず、ミクシィとTwitterの状態についてまとめます。ミクシィのファーストアダプター達は、主として学生でした。彼らはミクシィ内で徐々にムラ社会を形成し、現在に至ります。その社会は背景に学生時代のネットワークを持っているため、同窓会的な色彩を持っています。現在はその多くが大学を卒業し、社会人になっています。彼らの情報交換ツールとしてミクシィは依然として愛用されているようで、メインユーザーは20代後半から30代前半の男女となっているようです。私が利用している限りでは、特に結婚して子供を持った女性が会社を退職したあと、暇つぶしと情報交換に利用しているケースが良く見受けられます。ミクシィユーザー達のうち、これらの「学生としてファーストアダプター」となった層はすでにミクシィ内で友達関係を確立しており、新しくツイッターやフェイスブックを始める理由がありません。したがって、かなりのケースで引き続きミクシィを利用し続け、新しいプラットホームへは移行しないケースが多いようです。
ミクシィがスタートしたときにパソコンスキル・携帯スキルが低かった層はミクシィのムラ社会体質に対して疎外感を持っており、はまり切れず、どっちつかずの場所に存在したようです。彼らを取り込んだのがTwitterでした。ツイッターはミクシィに比較して圧倒的な使いやすさで新しいユーザーを獲得しました。Twitter利用者のメインは、当初はパソコンスキルが低く、iPhoneの登場によって携帯端末からのネット接続が可能になったiPhone利用層です。Twitterでは人間関係の存在しない人も気軽にフォローできるので、ミクシィよりも新しい人間関係を創出可能になりました。これによって、広く薄いネットワークが構築されつつあります。
そして、フェイスブックがやってきました。フェイスブックの利用者の中心はミクシィで出遅れ、携帯・iPhone文化圏にも属さない高齢層がメインユーザーです。彼らはフェイスブックの中に、すでにリアルに存在する人間関係をそのまま持ち込みました。新しい人間関係を構築する性質のものではなかったことから、フェイスブックの中はファーストアダプターの中でもムラ社会的性格を強く持ち合わせています。個人的な感覚でいわせていただけば、フェイスブック内は加齢臭で満ちています。
それぞれの利用層を一言で表現すると、
ミクシィ:主婦
ツイッター:iPhone
フェイスブック:おじさん
となります。
今後の成長性を考えればどのメディアもあまり期待はできないでしょう。ミクシィはすでに衰退期に入っている印象がありますし、ツイッターも勢いは失われました。フェイスブックの時代は来る前に終わっている印象すらあります。ただ、ネット内のソーシャルメディアはこの程度の利用が適度なのではないでしょうか。みんながみんな特定のプラットホームを利用していたら気持が悪いことになります。「Twitter後のネット社会」で指摘した「変異型情報病」の患者たちは「自分が使っているプラットホームを友達にも使ってもらいたい」と考えますし、少なくない割合の日本人がこの変異型情報病の患者ではありますが、どのプラットホームもそれなりに暇な時間が存在しないと、ハマるまで使うことにはなりません。だからこそ、専業主婦や窓際族のおじさん達が徐々にこれらのメインユーザーになりつつあると考えられます。
私は、フェイスブックはそろそろピークを迎えつつあるのかも知れないと感じています。なぜなら、ミクシィも、Twitterも使えず、でも何か新しいものを使いたいと考えていた層は、すでにフェイスブックを使っているからです。今使っていない人は、おそらくは半年経ってもやはり使わない可能性が高いと思います。また、ユーザー獲得数が少ないため、ビジネス面での魅力もアップしてきません。私はフェイスブックのみならず、ミクシィもTwitterも、ビジネスでの利用は非常に難しく、かつリスクのあるものだと捉えていますが、この3つの中では今のところフェイスブックが最も可能性がないと考えています。
フェイスブックの時代は来る前に終わったのかも知れない。この私の感覚が当たっていたかどうか、半年後ぐらいにまた検証してみたいと思います。