以後、HVC戦略研究所の研究員をやったり(僕が辞めたという話は聞かないので、まだ籍があるのかも知れず、そのあたりは良くわからないのだけれど)して、ゆるゆると関係が続いていた。
その関係にちょっとすきま風が吹いたのは、去年の年末だったか、今年の頭だったか、SMIPSという、隅藏康一さんという御用(?)学者が運営しているメーリングリストでのこと。SMIPSにはリバネスの関係者が多数関わっていること、隅藏さんとリバネスの丸社長とが親密な関係にあることなどから、僕はわざとSMIPSのML上でリバネスのネガティブキャンペーンを張った。その際に、松田さんはML上で
リバネスになにか問題があったらしいことがわかれば十分で、それ以上はこの場で書くには興味のない読者にとってはあまり気持ちいいものではありません。誹謗中傷のようにも見えます(本当は違うのでしょうが)
結果としてsmpisの価値を下げてしまうと思います。
あとは直接、興味のある方同士が連絡をとってもらえばいいと思います。松田も別途リバネスについて情報が必要な場合は直接元木さんに連絡します。
と書いてきた。別に松田さんが出てくるような場面でもなく、どうして突然出てきたんだろう、と不思議に思った。隅藏さんから松田さんに相談があったのかも知れない。このあたりの真相はわからないけれど、松田さんに僕が反論したところ、隅藏さんが突然管理人モードを発動させ、御用学者らしい仕切りをやったので、僕はそのMLをさっさと辞めてしまった。
その後、フェイスブック上で松田さんを見つけたので、特に他意もなくフレンド登録をしておいた。この時点では、先のML上での松田さんの行動を不思議には思っていたものの、隅藏さんに対して持つようなアイロニックな批判視点は持っていなかった。
そして、つい最近、松田さんは北海道ベンチャーキャピタルの社長を辞めた。表面上は引責辞任みたいな話だったけれど、普通に考えてクビだろう。何が起きたんだろうなぁ、とは思ったけれど、僕たちのいるベンチャー業界では別に珍しいことでもない。僕もアドバンジェンを辞めたのは実質的にはクビだった。再起のチャンスはあるんだし、10年ぐらい社長をやってきて、そろそろ潮時でもあったのかも知れない。これまた僕は、「まぁ、良くあること」とスルーしていた。
松田さんは普通にフェイスブックを利用していたので、僕のニュースフィードにも彼の投稿が掲載される。それをつらつらと眺めていると、放射能関連でときどきおかしなことを書いてくるようになった。その内容はどうも首尾一貫しておらず、ときどき感覚的(つまり、非科学的)なものになることがあった。なので、僕はそれをコメントで指摘した。松田さんは元々山一證券にいた人なので、根っこの部分では科学者ではない。それは仕方のないことだし、どうしようもないことでもある。科学的なベースがないからと言って全否定されるべきでもなく、僕としては「せっかく身の回りに科学的な人がいるんだから、そういう人たちの意見をきちんと聞いたら良いんじゃないですか?」ぐらいの気持ちだった。
さて、一昨日だったか、松田さんが北海道電力について、「北海道電力は発電送電の分離によって風力や太陽光などの再生可能エネルギー産業の拡充を図るべき」という意見を書いていたので、僕は北海道における風力発電の現状、本気で発電しようと思う場合に必要な風車の数(定格出力3、設備利用率、実効出力などから、直径100メートルの風車で1000kWの発電が可能、ぐらいの想定)、および現在何も問題を起こしていない北海道電力という株式会社について、株主でもない立場からその経営方針について言及することの意義について質問した。と、同時に、松田さんの主張が「自分のグループには専門家がいる」などと、自己の責任ではなく、かつ実体の見えない存在によって、その正当性を担保しようとする傾向にあることを指摘した。
すると、松田さんからは次のようなメッセージが届いた。
論点がずれていますよ。今回の議論は北海道電力等の独占により自然エネルギーのビジネスチャンスが失われていると言う議論です。ちなみに専門家がいる等の話をこの議論でしましたか?北海道の事情を紹介しただけです。科学者ぶって2次情報だけでいろんなところで発言しない方がいいですよ。ちなみに松田は風力やバイオマスは投資先の経営に関与していたのである程度の経験はありますよ。元木さんからいえばみんな素人なのでしょうが。
そして、その直後にブロックされたらしく、松田さんとは連絡がとれなくなった。これはいわば絶縁状だったわけだ。
別に論点はずれていないし、「北海道電力『等』」ではなかったと思うし(ブロックされてしまったので確認できない)、専門家がいる(=当事者がいる)という話はあったと思うし(これも確認不能)、科学者ぶってもいないし(そもそも、僕は科学者ではない)、「2次情報だけでいろんなところで発言しない方がいい」(=お前は少し黙っていろ)などはへそがお茶を沸かすような話だ。僕からみたらみんな素人なのではなく、松田さんが主張しているだけで、その背後にいる人達は全く見えないだけのことである。何か主張するのなら正面に出てきて自分の責任で発言すべきだし、その機会はいくらでもある。だけど、彼らはそれをやらない。松田さんが、「俺の仲間にはこれこれこういう奴がいるんだ」と言い続けているだけなのである。例えば僕なら、「経産省時代の同僚で、僕が知る限り最も切れるやつ」は「宮本岩男」だとすぐに断言できる。松田さんにはそれができない。
この絶縁状を見て、あぁ、松田さんはもう僕の知っている松田さんではなくなってしまったんだな、と思って、ちょっと残念な気持ちになった。ましてや、ブロックというのは「もうお前の意見に貸す耳など持ち合わせていない」という宣言でもある。そういえば、知り合いの経産省官僚に、菅直人首相がそういう感じの人間だとつい最近聞いた。耳障りな言葉は聞きたくないという、裸の王様タイプの人ということだろう。
こんな時に必ず思い出す言葉がある。
「少年はいつも動かない。世界ばかりが沈んでいくんだ」(野田秀樹「ゼンダ城の虜」)
自分が浮いたり沈んだりしているのかも知れず、そのあたりは常に自分できちんとチェックしないと、と思っている。