2011年10月16日

来年のセ・リーグを予想する

試合中に準備していたんだろうなぁ、という記事が載った。

“オレ流”落合、観客無視の大暴走!

これは多少なりとも読む価値がある。

記事は確かに落合監督の采配の特徴を掴んでいる。落合監督は、とにかく欲張らない。最も象徴的なのが2007年日本シリーズ、優勝がかかった試合で、8回まで完全試合をやっていた山井を降板させ、岩瀬をリリーフに出した場面だ。この場面、僕はナゴヤドームの一塁側内野席で観戦していた。確かに、スタンドには完全試合による日本一を期待するムードがあった。しかし、岩瀬が出てきたからといって、盛り下がったわけではない。それまでの長い間、中日ファンは日本一を待ち続けていた。完全試合と、日本一、どちらが大事かといえば、それはやはり個人の勲章よりもチームの日本一だろう。「あのまま投げていたら」は、もう確かめようがないし、一番悪いのは、ダルビッシュから2点しか取れず、岩瀬を出さざるをえない状態にしてしまった打撃陣である。たとえば10−0なら、山井は続投していたはずだ。

これまでの采配をみていても、落合監督は確実に「捨てゲーム」を作る監督だ。ただ、捨てるのは観客に取ってのゲームであって、捨てゲームの中でもきちんと何かしら、次の勝利につながるものを作ろうとする。

その上で、「満員のファン」に対して何かのサービスをしたり、言い訳をしたりするのは、監督ではなく、球団の役割だと割り切っているんだと思う。このあたりは、もし球団が監督にそれを求めたいのであれば、契約で縛ればいいだけの話である。当然、その分の給料は高くなるだろうが、それが契約社会というもの。そこをなぁなぁで済ませつつ、「監督なんだから、インタビューにはきちんと答えて欲しい」と球団が考えているとしたら、それは甘えである。もちろん、契約書を見たわけではないからわからないが、多分球団と監督の間で締結されている契約の中に、ファンサービスについての明確な縛りは記載されていないんだと思う。なぜなら、もしそれがあるなら、落合監督は多分それをやると思うからだ。彼は、単にビジネスマンだということ。

この記事には昨日の試合のことが書かれているが、6失点の時点で、読売のピッチャーが9月以降非常に安定している沢村ということを考えれば、もう負け試合である。その試合でピッチャーに代打を出しても、試合に勝てるわけではない。全ての試合において全力で勝利を目指さなくても構わないのは、ペナントレースの性質上仕方のないことだ。無気力試合というわけではない。トータルで考えて、ゴールするときに一位でいるためには何をすべきか、と突き詰めているに過ぎない。「1つの勝利に対する執念」などは不要で、「ペナントを制し、日本シリーズで優勝するためにはどうしたら良いか」を考えなくてはならない。この記事を書いた記者は、そのあたりがわかっていない。

興業とは相容れない、というのはそのとおりだと思う。捨てゲームにあたってしまったら、ファンとしてはどこに怒りの矛先を向けたら良いのかわからない。僕のように首都圏でネット観戦しているなら、「あぁ、今日は負けゲームね」となって、早々に観戦をやめてしまう。視聴率が取れないとか、問題は多々あると思う。

しかし、6−0で負けている試合に全力投球して、30回に1回ぐらいは逆転できるかも知れないけれど、あとはなんだかんだで負けなのだ。それなら、「あ、これは負けだ」と思ったら、負け試合なりに、何かを得ようとするのでも良いはずである。落合監督と中日ファンは、8年間の時間をかけて、ある程度の信頼関係を構築してきた。ファンは、「意味不明だけど、落合だから何かしらの意味があるはず」と考えるようになった。負け試合でも、「落合だから仕方がない」と納得するのである。

ただ、今シーズン、ちょっと不幸だったのは、中日のスパートが遅すぎた。8月の時点でヤクルトに10ゲーム差をつけられて、多くのファンが諦めたんだと思う。少なくとも、僕は「今シーズンはAクラス狙いで仕方がない」と思った。それからの45日の快進撃と、ヤクルトの失速は、落合監督には予定通りだったのかも知れないけれど、多くの中日ファンにとっては(嬉しい)想定外だったんだと思う。だから、その間に落合監督の解任が決まってしまった。

144試合のうち、60試合ぐらいは負けても良いのである。というか、負けてしまうのだ。負け試合を用意できることが、野球がサッカーと最も異なる点なのだ。その負け試合をどうやって使うのか。チームの強化に使うのも1つ。ファンサービスに使うのも1つ。もし阪神ファンが前者に耐えられるのであれば、真弓の次を落合にすべきである。そうすれば、阪神は間違いなく、Aクラスの常連になる。生え抜きにこだわるなら、来年もやっぱり今年と同じような状況になるだろう。ただ、それは中日も同じである。

来年、上位が堅いのはヤクルト。次が中日か読売。続いて阪神と広島、ラストが横浜だろう。監督力が関係なくなるなら、結局は投手力勝負なのだ。

落合監督は、監督の力によってチームの成績をアップさせられることのできる、非常に限られた人材である。彼がどこに行くのかは中日ファンとしても気がかかりだ。できればパ・リーグか、ベイスターズあたりだと良いんだが(笑)。

え?だって、いくら監督力があっても、ベイスターズじゃぁ、ねぇ(笑)。

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