はじめに
先日、ネットサーフをしていて、あるブログを見つけました。そのブログの運営者は、「イオンで売っているプライベートブランドのジンジャエールの原料を見てみてびっくりした。遺伝子組換え不分別の甘味料を添加している」と書いていました。さらに、「値段が少し安くても、遺伝子組み換え食品を口にするリスクを負わなくてはならないのは心外だ」という主旨のことを書いてもいました。
この文章を読んで、みなさんはどう思うでしょうか。「イオンは遺伝子組換えの食品を売っているのか。もうイオンでは買い物をしたくないな」と思いますか?
ジンジャエールは他社製品もあって、誰でも簡単に手に入れることができます。それらのジンジャエールは、どれもこれも遺伝子組換え不分別のトウモロコシから作られた果糖ぶどう糖液糖が添加されている可能性が高いのです。2009年に毎日新聞が国内飲料メーカー8社に対して行ったアンケート調査では、アサヒ飲料、キリンビバレッジ、サッポロ飲料、サントリー、ヤクルトの5社が「不分別を利用」、ポッカが「不分別使用の可能性がある」、日本コカ・コーラは「情報公開を義務づけられた内容以上の質問には答えられない」と回答し、「使用していない」と回答したのは大塚製薬1社のみでした。したがって、現在日本で飲むことができるジンジャエールの全てに遺伝子組換え不分別の甘味料が使用されていることが強く示唆されます。
現在、清涼飲料水の甘味料について、遺伝子組換えに関する表示義務はありません。他のメーカーが「義務はないから」と表示していない中で、イオンは唯一、自社のプライベートブランドで「遺伝子組換え不分別です」と表示しています。
清涼飲料水の「遺伝子組換え不分別」という表示ひとつをとっても、背景についての知識があるとないとでは、受け取り方が180度変わってしまう可能性があります。「すでに果糖ぶどう糖液糖のほとんどが遺伝子組換えトウモロコシから作られている」と知っていれば「義務がないのにきちんと表示しているイオンは素晴らしい」となりますが、実情を知らなければ、「イオンは遺伝子組換えの果糖ぶどう糖液糖を使っていてけしからん」となってしまうかもしれません。
私たちの「もの考え方」は日常の色々な情報から影響を受けます。テレビ、新聞、雑誌、インターネット、友達の口コミ・・・。情報の洪水の中で、私たちは情報を取捨選択し、自分にとって正しい判断に行き着く必要があります。そうした中、遺伝子組換えに関する情報は非常に入手が難しく、また、わかりにくくもなっています。この状態では、どうやって遺伝子組換え食品と付き合っていったら良いのかもわかりません。
この本では、皆さんに遺伝子組換え食品の現状をお伝えするとともに、それらとどうやって付き合っていったら良いのかについて、科学一辺倒にならずに考えてみました。今後の皆さんの生活において、ひとつのヒントになれば幸いです。
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