2011年11月26日

リッピングの問題点

ツタヤから時々「この金曜〜日曜はDVDレンタルが半額ですよ」というメールが来る。良し、借りてこよう、と思って出かけると、大体5枚ぐらい借りてしまう。ところが、返却期日が近づいてきても、なかなか観る時間がない。うーん、どうしよう、と困っているときに出てくるアイデアが、「HDDがたっぷりあるんだから、コピーしてとっておこう」という考えである。

この行動の問題点はなんだろうかと考えてみた。

まず、すぐに思いつくのが著作権上の問題だ。ぱっと考えると、著作権法30条が思い当たる。

著作権法30条
(私的使用のための複製)

1.著作権の目的となつている著作物(以下この款において単に「著作物」という。)は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(以下「私的使用」という。)を目的とするときは、次に掲げる場合を除き、その使用する者が複製することができる。

一 公衆の使用に供することを目的として設置されている自動複製機器(複製の機能を有し、これに関する装置の全部又は主要な部分が自動化されている機器をいう。)を用いて複製する場合
二 技術的保護手段の回避(技術的保護手段に用いられている信号の除去又は改変(記録又は送信の方式の変換に伴う技術的な制約による除去又は改変を除く。)を行うことにより、当該技術的保護手段によつて防止される行為を可能とし、又は当該技術的保護手段によつて抑止される行為の結果に障害を生じないようにすることをいう。第120条の2第一号及び第二号において同じ。)により可能となり、又はその結果に障害が生じないようになつた複製を、その事実を知りながら行う場合
三 著作権を侵害する自動公衆送信(国外で行われる自動公衆送信であつて、国内で行われたとしたならば著作権の侵害となるべきものを含む。)を受信して行うデジタル方式の録音又は録画を、その事実を知りながら行う場合

2.私的使用を目的として、デジタル方式の録音又は録画の機能を有する機器(放送の業務のための特別の性能その他の私的使用に通常供されない特別の性能を有するもの及び録音機能付きの電話機その他の本来の機能に附属する機能として録音又は録画の機能を有するものを除く。)であつて政令で定めるものにより、当該機器によるデジタル方式の録音又は録画の用に供される記録媒体であつて政令で定めるものに録音又は録画を行う者は、相当な額の補償金を著作権者に支払わなければならない。


最近のDVDはほとんどコピーガードがかかっているので、このコピーガードを技術的に回避してコピーすることは、この法律の1項2号に抵触する可能性がある。じゃぁ、ダメなのかな、と思ったら、こんな記事がある。

市販DVD-Videoのリッピングは違法? 合法?
弁護士取材を交えて白黒つけました!


「著作権法30条で私的使用について規定していて、この1項で著作物を家庭内などで私的に利用するためなら、原則コピーすることを許しています。ただし例外が二つあって、そのうち一つが技術的保護手段を回避することです」。

 ということは、技術的保護手段を回避しなければ、私的使用に限りコピーしてもよいと解釈できる。問題は、CSSが技術的保護手段にあたるのかということだ。

 文部科学省の文化審議会 著作権分科会がまとめた2006年1月の報告で、『現行著作権法では、コンテンツの無断複製を技術的に防ぐ手段(コピーコントロール)は技術的保護手段の対象となるが、放送のスクランブルなどコンテンツを暗号化し視聴を制限する手段(アクセスコントロール)は、視聴行為そのものはコンテンツの権利者に無断で行われたとしても「著作権等を侵害する行為」ではないので、技術的保護手段の対象外であると解されている』と記されている。

 CSSはまさに視聴制限のための技術であり、コピーコントロールではなくアクセスコントロールに相当するわけだ。


5年以上前の話なのでそのまま受け取るわけには行かないが、少なくともコピーすること自体に関しての文科省の見解は「合法」ということだったらしい。その後、2010年末ぐらいから著作権法の強化について検討が進められているようだが、まだ法改正には至っていないようだ。このあたりの状況については、これまた一年近く前の記事だけれどこんなものがあった。

“リッピング違法化”は著作権法の保護範囲を大きく逸脱、MIAUが反対声明

ということで、今のところは大丈夫、ということらしい。しかし、最大の問題点は実は違法性云々ではないのだ。多分、HDDに入れてしまった場合、その映画を下手したら一生観ない可能性が高いことなのである。「いつでも良いや」と思うと、その機会はずっと訪れない。少なくとも僕には、「返却期日」のような締め切りがゼッタイに必要なのである(笑)。

さて、今手元にあるこのDVD、返却期限は明日である。え?こんな文章を書いている暇があったら、それを観ろって?確かにその通りでございます。

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