まず1つめはこちら。
投手2冠の中日・吉見がMVP落選 記者投票結果に「信じられない」
http://www.j-cast.com/2011/12/05115346.html
記事を読めばわかるが、「信じられない」のはこれを書いた菅谷齊という人自身。まるで誰かの発言のようなタイトルで始まるところがすでに怪しい。要すれば「MVPが吉見ではなく浅尾だったのは納得がいかない」という内容なのだが、シーズン通して見ていた人間からすれば浅尾のMVPは至極妥当。これが吉見だったら逆に驚いてしまう。浅尾のMVPは鉄板だったと言っても良い。ちなみに受賞直後に僕が書いたのはこれ。
きゅん、MVP
http://blog.livedoor.jp/buu2/archives/51307772.html
さて、順をおって記事を読んでみる。
不思議な投票との声があがっている。
あんただけじゃないの?怪しい運動家とかが「みんな言っている」と、いもしない「みんな」をでっち上げるのは良くあること。どこで「不思議」と言われているのか、実例を出してみろ、と。
大本命のエース吉見が選考されなかったことだった。
全然大本命じゃないよ。
救援投手としての浅尾はセの8位。
浅尾は救援投手じゃなくて、中継ぎです。
さらに不思議なのは、吉見はセのベストナインに選ばれ、同時にセの最優秀投手になっているのだ。
セ・リーグのベストナインになったピッチャーは自動的に最優秀投手になります。これ、豆知識な。不思議なのは吉見がベストナインになったことの方。しかし、ベストナインのピッチャーに先発型以外のピッチャーが選ばれたことは、これまでに佐々木主浩が一度あるだけ。ベストナインには基本的に先発完投型のピッチャーを選ぶ、という暗黙の了解があるのかも知れない。
吉見の成績がどれほど素晴らしかったか、過去20年(1992年〜2011年)のMVP投手の成績を見れば一目瞭然である。
吉見の成績が素晴らしいのはその通りだが、浅尾の成績がそれ以上だったのだから仕方がない。
選手にはランクがある。投手の場合、まず長いイニングを投げることのできる優秀な順から先発陣に入る。
物凄い決め付け。先にあげた大魔神佐々木に限らず、チームナンバーワンのピッチャーが先発以外を務めることは珍しいことではない。ただ、中継ぎにナンバーワンがいることは珍しい。浅尾がストッパーではなくセットアッパーなのは、岩瀬というストッパーがいるから。岩瀬と浅尾のどちらがストッパーとして優秀なのかは監督・コーチが判断すること。優秀な順に先発陣に入るというなら、浅尾や岩瀬よりも山井、川井、小笠原、朝倉といったピッチャーの方が評価が上ということになるが、そんな馬鹿なことはない。ピッチャーにも得意、不得意があって、それを見極めて配置する。「優秀な順から」などと単純な理由で決められるなら、こんなに簡単なことはない。
浅尾の好成績は認めるところだが、ローテーションの柱を死守した吉見をしのぐ内容とはいえない。
アホか。毎試合準備して、しかも岩瀬とどっちが先に出るのかもわからず、加えてイニングマタギまである、という過酷な環境。その中で防御率0.4って、変態レベルの成績だよ。あれだけ絶対的な信頼をおかれていた1998年の大魔神佐々木主浩(恐らく、日本のプロ野球史上最も安定したリリーフピッチャー)ですら、防御率は56イニングで0.64だったんだ。また、僕が日本の球史で最も優れていたと思っている1997年の伊藤智仁だって、47イニングで防御率1.51だよ。87イニングで0.4って、キチガイみたいな成績なんだぞ。
大詰めだけを注視するというのは公平ではないと思う。
逆だろ。お前が先発ピッチャーばかり注視してるんじゃないの?しかも浅尾は中継ぎ。大詰めですらない。
吉見がいなければ中日は優勝できなかっただろう。それは落合博満前監督がもっとも知っているはずだ。
トンデモばかりの内容にあって、この記述だけは正しい。しかし、それは浅尾も同じ。ドラゴンズの優勝は、他の誰が欠けても成し得なかったはず。
この、菅谷齊というスポーツジャーナリストがクソだということはみんな覚えておいたほうが良い。
さて、こういうウンコ記事がある一方で、こんな記事もある。
実は言葉の人、落合博満。オレ流語録8年分、一挙公開!
http://number.bunshun.jp/articles/-/175853
こちらは一々引用するまでもない。全部読んでもらいたい。そして、村瀬秀信というライターの名前も覚えておこう。ダメなジャーナリストだけじゃなく、良いジャーナリストも覚えておかないと不公平だものね。