【残り1週間を切りました】 12/24〆切 農林水産省が、「花粉(精子)ができなくなる雄性不稔性トウモロコシ」=モンサントの遺伝子組換え植物承認について意見募集をしています(ひのもと情報交差点)
http://johokosa.blog98.fc2.com/blog-entry-283.html
投書する意見の案なるものがありますので、僕が担当の係員(役所の下っ端)になったつもりで添削してみます。
---------------添削シミュレーション------------------
実際、遺伝子操作されたアミノ酸が原因で死者や健康に異常をきたした者が多数出たことが報告されています。
→昭和電工が組み換え大腸菌を利用して生産したトリプトファンをサプリとして摂取した人に深刻な健康被害が出たのは事実。「遺伝子操作されたアミノ酸」という文言は意味不明で、投稿者はおそらく分子生物学の知識がない。トリプトファンの過剰摂取による健康被害については確定されているものの、「昭和電工製」との因果関係は現時点でも不明であり、遺伝子組み換え大腸菌は無関係というのが定説である。単にトリプトファンの過剰摂取が問題だったとする説もある。
種子は特許品であるため、たとえ収穫があっても新たに種子を買わなければならず農家を経済的に圧迫します。
→日本において販売されている、いわゆるF1種も状況はそれほど変わらない。我が国の農業では自家採種は稀で、問題はない。また、自家採種したい農家は組み換え農作物を栽培しなければ良いだけの話である。
また農薬に強い品種を使えば農薬に依存しがちになり、食品の安全性に問題が出ることはもちろん、土壌も汚染されていくため、日本の食品と農業に深刻なダメージを与えることになります。
→これは内容的にも疑問が残るが、それ以前に遺伝子組み換えの話ではない。
インドでは高額な種子や農薬などを使用したにもかかわらず収穫が少なかったため、千人以上の農民が自殺を図るという悲劇が起こりました。
→農民の自殺と遺伝子組み換え作物とに因果関係はないと報告されている。
http://www.guardian.co.uk/environment/2008/nov/05/gmcrops-india
インドの農民の自殺は以前からあり、その原因は貧困と負債が主なものであると考えられている。インドにおける調査では、組み換えを利用することによって収益率がアップしているという報告もある。
http://www.thehindubusinessline.in/bline/2005/04/07/stories/2005040701600700.htm
また特許権を侵害したとして身に覚えのない農民などに対し次々と訴訟を起こし示談に持ち込むということまでしている企業です。
→「次々と」に関して個別具体的な提示がないので詳細な検討はできないが、例えば代表的な下記の訴訟ではモンサント側の主張が認められている。
http://www.monsanto.co.jp/data/for_the_record/percy_schmeiser.html
仮にこれが不当判決であるとするなら、それは組み換えの問題ではなく、カナダの法制度の不備である。
遺伝子組み換え技術そのものとそれに伴う農薬の多量使用による健康被害の危険性、日本の農業への経営面と生産面両方への重大な悪影響、そして企業の信頼性の問題など、いかなる面からも不適切であり、認めることはできないと考えます。
→危険性については科学的な見地から検討が済んでおり心配はない、導入は日本の農家の判断に任されており選択肢が広まるだけ、企業の信頼性は組み換え作物に関する技術とは無関係、など、いかなる面からも投稿者の勉強不足と判断でき、「ご意見ありがとうございました。今後とも農林水産省をよろしくお願いいたします」としておくのが妥当。
---------------添削シミュレーション------------------
このブログを読んで、大して勉強もせずに「良し、送っちゃおう」と農水省にコメントを送りつけている人が発生しているとすれば、担当の係員が気の毒ではあります。まぁ、農水省への嫌がらせとしては機能するでしょうが・・・。
参考:パブコメを書く際の注意事項(遺伝子組み換え食品との付き合いかた)