2012年03月26日

ガンバと、マリノスと

ガンバの監督が成績不振を理由に解任された。

G大阪がセホーン監督らの解任を発表、後任に松波コーチが昇格
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120326-01096833-gekisaka-socc

ガンバは、僕のシーズン前の順位予想でも鉄板の上位グループで、その要因はもちろんヤットの存在である。

2012年のJ1順位を予想してみる
http://blog.livedoor.jp/buu2/archives/51326170.html

僕はガンバサポじゃないのでガンバの試合を観ているわけでもなく、ただ、ガンバの調子が悪いという情報だけは知っていたので、代表と同様、そろそろ対戦チームがヤット対策をできるようになってきたのかな、と感じていた。そのあたり、実際のところはわからないのだけれど、あっても不思議ではない。マラドーナだって、いつまでも無敵ではなかったのだ。なぁんてことを考えていたら、あっという間に監督が解任されてしまった。ほほー、という感じである。

一方で、同じような成績の我がマリノス。シーズン開幕前は、俊輔や中澤の「去年とは違う」というコメントがあったような気がするのだけれど(ただ、探したけれど見つからないので、僕の気のせいかも知れない)、実質現場のチーム戦略を練っていた人がそのまま昇進して監督になっているので、そう簡単にチームが変わるわけがない。というか、変わらないのが当たり前で、だから同じようなサッカーを続けている。

僕がこの2年くらい、マリノスについて言っていることは、要点をまとめればこんな感じだ。

中村俊輔がメインにいる限り、ポゼッションサッカーはできない
中澤、栗原というセンターバックはカウンターサッカー向き
しかし、俊輔が中盤の真ん中にいる限り、カウンターサッカーもできない
人気にすがって俊輔を取ってきてしまった以上、当面、優勝を狙えるチームではなくなった
#木村和司なら彼を外せるかと思ったが、和司が外された
このチームのがんは社長でも監督でもなく、下條と石井である


通常、団体スポーツのチーム構成は、監督を中心に決める。例えば落合中日は、コーチを全て落合が決めていた。これは極端な例のようだが、日本人監督の場合、コーチ陣は監督の意向に沿うのが普通だ。それはサッカーでも同じだが、マリノスはちょっと違っていた。木村監督時代、コーチはほとんど全て、チームが用意していたようである(ただし、情報源は公表できない)。これでは、監督は思ったようなチームを作ることができない。

加えてこのチームが物凄く難しいのは、なまじっか収容人数の大きな競技場を持っていることで、これが15,000人ぐらいのスタジアムだったら全然話が違ったんだと思う。50,000人以上の観客をいつも集めようと思ったら、中村俊輔という名前は魅力的だったに違いない。しかし、所詮は旬を過ぎてしまった選手である。この選手を中心にすえてチーム作りをして、優勝が狙えるほどJは甘くない。というか、俊輔は、他国のリーグの方がまだ活躍できたんだと思う。今のJリーグの最大の特色は、攻撃から守備への切り替えの早さと、構築されたブロックの堅固さである。その、象徴的なチームが仙台だが、テレビで観ていても驚くくらいに守備ブロックの構築が素早い。これは、鳥栖のような、実力的に下位のチームであっても同様である。守備の対応が早いのだから、当然攻撃にもスピードが要求される。しかし、俊輔は素早いカウンターの起点になることができない(天皇杯準決勝の先取点のように、相手のミスがあった場合は例外)。俊輔は遅攻チームのキーパーソンの代表例で、正直、今のJリーグには、どこにも居場所がない。海外でも居場所がなくなり、日本で頑張って探したのが、「かつて所属していた」マリノス、ということだろう。

サポーターは、相変わらず、俊輔を中心にしたバルサみたいなサッカーを期待しているのかも知れない。だが、残念ながら、それは多分いつまで待っても実現しない。マリノスのメンバー構成は、どうしたってカウンターサッカーをやらざるを得ないものになっている。もちろん、俊輔と中澤を外せば、ポゼッションサッカーに近づくことは間違いない。しかし、そうやって作り替えたチームが、今のチームよりも強いのかどうか、これは良くわからない。弱くなってしまっても、何の不思議もない。

多分、木村和司監督は、「ちょっと我慢してもらって、ポゼッションサッカーをやるチームに作り替えたい」と思っていたんだと思う。しかし、監督2年目の去年、彼はなぜかその方針を放棄した。ただ、その方針転換によって、俊輔、中澤を使っていても、「運が味方すれば」そこそこの順位を目指せるチームになったことも間違いがなかった。だから、去年の夏ぐらいまでは上位にいたのだ。でも、能力が衰えつつある主力を中心にしたカウンターサッカーは、得点の確実性が落ちる。どうしても、「事故」での得点と、「事故」での失点による、博打のサッカーになる。昨年前半は運が良くて、後半は運が悪かっただけのことだ。その運に偏りがあったから、多くのサポーターは不思議に思ったのかも知れないが、残念ながら、マリノスは、物凄く運が良くなければ、優勝を狙えるチームではないんだと思う。

今年、俊輔や中澤は、なんだか良くわからない過去の人がいなくなって、好きなようにやれるようになった。これで大活躍できる、と思ったのかも知れない。しかし、そうは問屋が卸さない。去年にもまして俊輔、中澤のコンディションは悪い。これは単に調子がわるいのか、あるいは年齢的な衰えなのかはわからないが、僕は後者だろうなぁ、と感じている。だとすれば、マリノスの状態は、今後も極端に良くなることはない。下手をすれば、残留争いに巻き込まれる可能性もある。何しろ、今、下にいるチームは、ガンバ、鹿島と、地力があって、最終的には上がってくるであろうチームなのだ。

今年はもう、何が起きても不思議ではない。ガンバと違い、監督を変えるだけではこのチームは変わらないのだから。

監督を変えるのは早い、という意見もあるが実はもう樋口体制は3年目。だから、別に早くはない。ただし、監督を変えても、変わらないんだからどうしようもない。ブログをひっくり返してもらえばわかるけれど、僕は木村体制の2年間、一度も木村監督の解任に言及したことがない。なぜなら、このチームが優勝できない原因は、監督が誰になったとしても、監督ではないからだ。

何事においても、約束を守ることは重要。だから、木村監督にはきちんと3年目をやらせるべきだったと思うし、社長はACLに行けなかったら辞めると言ったんだから、辞めるべきだった。しかし、嘉悦朗は今も社長で、3年契約の3年目のはずだった木村和司は契約途中でチームを去った。その背後には、それを支持した大勢のサポーターがいるような気がしてならない。もしそうなら、今年マリノスが低迷したとしても、それはサポーターの責任である。少なくとも、木村和司解任を要求した人間に文句を言う権利はないだろう。

さて、残りは31試合。どうなることやら、である。

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