先日来、僕の番組でも「いつ首になってもおかしくない」と言い続けているマリノスの樋口監督だけれど、とうとう普通の(東スポ以外の)新聞の記事にもなるようになった。
名門再建へ 横浜後任監督は日産OB・長谷川健太氏が有力
http://www.sponichi.co.jp/soccer/news/2012/04/15/kiji/K20120415003050350.html
長谷川健太かぁ。マリノス的にはOBだし、エスパルスでそこそこ結果を出しているし、悪くないだろ、ということなのかも知れない。僕的にも、それほど悪くない。ただ、チームとしてはどうなんだろう。実際問題として今のマリノスではポゼッション・サッカーは展開できないと思うので、しっかり守ってカウンター、というスタイルは妥当だし、それをやるには長谷川健太はうってつけの人材でもある。でも、あれだけこだわっていたポゼッション・サッカーをそんなに簡単に諦めるのであれば、それはそれで「え?」という感じなんだよね。それなら、木村監督で良かったじゃん。
ポゼッション・サッカーをどうしてもやるんなら、そりゃぁ長谷川健太じゃなくて、西野さんを招聘するしかないでしょ。ガンバでヤットを中心としたポゼッション・サッカーを展開してきた西野さんができないなら、誰がやったってダメ、という話だし。ポゼッション・サッカーをやろうと思うなら、いくらお金を積んでも良いから、西野さんを連れてこい、という話。その際、コーチはもちろんだけれど、強化担当の下條さんと石井さんは樋口さんとセットで解任でしょ。このチームがダメなのは監督や社長のせいというよりは下條、石井コンビのせい(以前から言ってるけれど)。どうしてそちらをさっさと切らないのか、不思議で仕方がない。
最近の試合を見ていても、斎藤や松本翔は結構良い動きをしている。小野もむらはあるけれど、気持ちが前面に出ていて悪くない。年齢的にも若いんだし、彼らを使って成績が出ない分には「まぁ、仕方ない」という気持ちになれるんだよね。でも、俊輔や中澤を使って、彼らがミスをするのは見てらんない。あと、松本翔とか、折角キレでディフェンダーをかわすのに、最後にパスを出す先がいつも俊輔なんだよね。意識的なのか、無意識なのか、とにかく俊輔に遠慮しているし、俊輔を探しながらサッカーをしている感じ。そして、そのパスを受けた俊輔が、ボールを持ちすぎて相手にブロックを作る余裕を与えちゃう。折角作ったチャンスを俊輔が潰しているわけで、むしろ、いない方が良いんじゃないの?という状態。
本気でポゼッション・サッカーをやるなら、監督は西野、強化担当の編成は西野任せ、選手選びも西野任せだけれど、その場合は多分俊輔は外すか、あるいはサイドハーフ。
「いや、やっぱりうちには無理でしょ。それに、ポゼッション・サッカーが一番というわけでもない。実際、カウンターサッカーの仙台は去年も今年もきちんと結果を出しているじゃない」ということなら、長谷川健太でも良いと思う。てか、それなら別に監督を代える必要もない気がするけれど、ね。監督を代えたらチームが変わる、というのは一種の幻想だよなぁ。よっぽど優秀な人間を連れてこないと、大きくは変わらないと思う。大事なことは、カウンターサッカーの中心に「も」俊輔は不要ということ。この間の天皇杯の準決勝みたいに、たまたま俊輔を起点にしてカウンターが決まることはあるけれど、やっぱり俊輔を経由するとスピードが落ちちゃうんだよ。ポゼッション・サッカーでも、カウンターでも機能しない俊輔をどうやって脇役に格下げするか、それがこのチームの監督に求められていることなんだよね、この数年。
今、社長がやらなくちゃならないことは、「難しくてもポゼッション・サッカーを目指すんだ。そのためにはJ2落ちも覚悟のうえだ!」とするのか、「多少面白みはなくても、現実的なカウンターサッカーで勝ち星を拾っていこう」とするのか、どちらかに決めることのはず。それで、僕は前者にすると決めたんだと思っていたから、それなら、西野さんを連れてこいよ、と思う。個人的にはあんまり好きな人じゃないけれど、日本人としてはトップ3に数えることができる監督人材でしょ。「今はその時期じゃない。混乱するだけだ」という意見ももっともだけれど、こういう人材がフリーでいることは滅多にないことでもある。今が千載一遇のチャンスであることは間違いないわけで。それで、そうじゃなくて、やっぱりカウンターで、ということなら、健太でも良いけど、樋口続投でも良いんじゃないかなぁ、と。脱中村に向けた采配がとれるということが条件ですが。