トクホは効くの? 効かないの?(前篇)
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/2112
トクホは効くの? 効かないの?(後篇)
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/2113
「おお、さすが松永さんだな」と思うけれど、同時に「やっぱり、言いたいことを言ってないよね、なんか、奥歯に衣着せているような」という感じもあるので、僕が奥歯の衣を脱がせてみた。以下は松永さんの文章を無断で引用、改変したもの(要はパロディ)です。原典はぜひ上記のリンクを当たって下さい(^^
「キリンメッツコーラ」が、相変わらずの人気だってことだけど、昨日はじめて飲んだらイマイチ美味しくなかった。特定保健用食品(トクホ)として初めてのコーラらしいけど、だから何だって言うんだろう。
メッツコーラを売り出したキリンビバレッジは、あっという間に年間販売目標100万ケースを売り切り、7月初めに年間目標を当初の6倍、600万ケースに上方修正すると発表したそうで、キリンビバレッジは「国民はバカばかり」と笑いが止まらないはずだ。
一方で、サントリーが販売しているトクホ、「黒烏龍茶」は6月下旬、「消費者庁が、CMに改善要望」とニュースになった。マンガ「笑ゥせぇるすまん」の喪黒福造が登場して「脂肪にドーン」と叫ぶCMや吊り広告。これが問題となったみたいだけど、当たり前だ。
大手飲料企業2社の光と陰。ジョーはよくて喪黒福造はダメなのか? メッツコーラは効くけれど、黒烏龍茶は効かないの?いや、そんな話ではない。
トクホがどんなものか、説明しよう。トクホは、国が製品として有効性(効果)や安全性を評価し承認している食品で、これまでに約1000品が個別に審査を受けて認可されている。トクホは厚生労働省の天下り機関がお金を稼ぐために作った制度で、毒にも薬にもならないものについて国が「効くかも知れないよ、効いたら『イイね』」と認定しているものであって、基本的には効かない。
トクホと健康食品との違いは、後者は国が有効性や安全性を確認していないということ。でも、トクホが「国が確認した素晴らしい食品」かといえばそんなこともなく、「同種の食品を摂るよりは、トクホを同じ量摂った方が健康の維持増進に寄与できるかも知れない」という位置づけ。当たり前だけど、医薬品と違い、トクホに劇的な効果はみられない。
それに、トクホは食生活が原因となって起きる生活習慣病に「罹患する前の人」や「境界線上にいる人」を対象にしていて こういう人たちの健康が、トクホでない食品を食べるよりは少し改善される可能性がある、というもの。テレビCMでは、スマートな俳優や女優がさっそうと宣伝しているけれど、トクホを摂取したからといって、あのような体型になれるわけではもちろんない。
たとえば、メッツコーラの効果を示す論文を読むと、試験の対象者は「空腹時血中中性脂肪値が正常高値域からやや高め」の90人が対象でBMIの平均は26.1。この人たちに、メッツコーラと、関与成分の難消化性デキストリンが入っていない対照飲料を飲ませて比較したところ、メッツコーラの方が“わずかに”中性脂肪の上昇が抑えられたという結果である。こんなのは「気のせい」の領域であって、普通のコーラを飲むよりはマシかもしれない、程度のものである。
中性脂肪が気になるなら、トクホなんかに頼らず、バランスのよい食事に切り替え、運動をはじめた方が良いと断言できる。健康を考えれば、バランスの良い食事が一番大事なのであって、毎日トクホのコーラを飲むというのはそれだけでバランスを崩した偏食なのである。
トクホは、いわゆる健康食品よりは、国がしっかりと検証してくれている、という点でちょっとだけマシ(なような気がする)。でも、劇的な効果、医薬品的効果などまったく期待できず、その上承認されるための高額の費用が投入されていて、その費用は商品価格に上乗せされている。
こんなものを食べるのは馬鹿だ。でも、健康食品を食べるのよりはちょっとだけマシ(オツムの具合が)、ということである。
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