2012年10月04日

久しぶりの羽生マジック

将棋の解説を聞いていると、大抵、終盤で「これは名局ですよ」というコメントが出てくるのだが、中原の5七銀みたいに符号で語り継がれるような本当の名局は滅多にない。でも、今日の第60期王座戦第4局は、符号で語り継がれることになるかも知れない。

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#この場面で6六銀

その理由は、

1.勝ちきる妙手ではなく、敗勢の将棋を千日手(引き分け)に持ち込んだ
2.取られそうな駒を取られる場所に動かしたのではなく、持ち駒を歩の頭に打った
3.詰めろ逃れの詰めろになっている
4.この一手が結果的に王座のタイトル奪取に直結した

あたりである。ただ、「名局」なのかはまだ不明。というのは、6六銀に対して渡辺竜王は同歩としたけれど、ここで7八銀上としていたらどうなっていたのかについて検討が必要だからだ。正着していたなら渡辺竜王の勝ち、であれば、ここは6六銀ではなく7一金とすべき場面だったかも知れない。そういうわけで、本局が名局なのか、そうではないのかはもうちょっと検討が必要なようだが、6六銀が、久しぶりに現れた「羽生マジック」だったことは間違いがないと思う。

#ところで、今日のニコ生の浦野八段による解説はとても良かった。

この記事へのコメント
名局かどうかわからないけど、渡辺−羽生戦の中でもかなりの面白さだったんじゃないかな。千日手局も羽生さん完勝っぽいけど良かった。羽生さんの実力は常に高いところで波うってるような感じだけど、最近の将棋見るとまた好調の波に乗ってるような気がします。
 
Posted by bando at 2012年10月04日 16:55
> 渡辺−羽生戦の中でもかなりの面白さだったんじゃないかな。千日手局も羽生さん完勝っぽいけど良かった。羽生さんの実力は常に高いところで波うってるような感じだけど、最近の将棋見るとまた好調の波に乗ってるような気がします。


僕は、これまでずっと相手の土俵で戦うことを厭わなかった羽生さんが、ここ数年では珍しく相手の土俵を避けて、本気で勝ちに行ったシリーズだったと思います。
Posted by buu* at 2012年10月04日 17:18