試写会で鑑賞。
まずパッと見て気がつくのがしつこいくらいの透過光(っていうんですか?TV版「あしたのジョー2」あたりで採用され始めたアニメ技法だと思うんですが)の利用。良し悪しは好みの問題なんだけれど、あまりにもしつこすぎて、この演出が良い効果をあげているという印象を持たなかった。もうひとつ特徴的なのが異常なまでに彩度の高いカラー。透過光との併用で、画面は物凄く特徴的になったものの、すぐに飽きてしまうものになってしまったと思う。アニメなので当たり前かも知れないけれど、登場人物たちの漫画チックな動きも映画としては違和感があった。ただ、これはジブリや細田守などのアニメに慣れているからかも知れない。
というか、色にしても、動きにしても、全ての演出が既存のアニメ(といっても、僕はアニメオタクではないので、詳しいわけではないのだけれど)の枠を飛び出しているように見えた。そういう意味では挑戦的な映画だったのかも知れないのだが、僕にはその意欲だけが空回りしているように感じられた。
絵作り以外でも挑戦的なものがあって、それは音楽の利用形態。洋画、特にハリウッド映画は音楽が鳴りっぱなしで、一方で邦画は音楽をあまり使わず「間」を上手に利用しているのが特徴だと思うのだが、この映画は前者。日本のアニメとしては画期的なくらいにBGMが鳴りっぱなしだった。これも好き好きなんだと思うのだけれど、僕にはピンとこないやり方だった。なんか、過剰演出なような。
全体の構造的な特徴についてもちょっと入りづらいものだったのだけれど、内容は、というと、まず全体の設定が今一歩。全地球的な危機を語っているのに、舞台はなぜか湘南(江ノ島とか)である。昔、ショッカーという世界征服を企む秘密結社が幼稚園バスを襲ったりしていたような気がするのだけれど、それと同じようなスケールの小ささを感じる。どうせなら国連とか、ペンタゴンとか、そのあたりを相手にして欲しかった。ど田舎の、しかも中学生を相手に地球の未来をかけて戦うとか、うーーーーーーん。地球を救うためにやることが生徒会を乗っ取ることとか、うーーーーーーーーん。脚本も出来が良いとは言えず、モノローグの主体が場面によって変わっていくことぐらいしか工夫が見られなかった。ブツブツ切れる編集もどうなのかなぁ。最終的に、幼馴染との三角関係に終始して、登場する女の子たちが勝手にキュンキュンしているだけの映画になっていた。あぁ、アキバ系の男子たちが「こうだったら良いよね」と思っている女の子たちを描いたんだろうか。
ということで、内容は凡庸なのに、各種の演出が過剰で、普通に駄作だったと思う。評価は☆ゼロ。
(ねたばれレビューを追記に)