原作未読。公式サイトですら「先生はみんなを殺し続けたんだ」と書いているので、誰が殺すのかはネタバレではないと判断してレビューを書く。
ストーリーにはほとんどひねりがなく、単純。もうちょっと伏線とかあるのかと構えていたけれど、そんな必要は全くなかった。後半の殺しっぷりには思わず笑ってしまう。大量殺人ストーリーは色々あるけれど、ここまで杜撰に殺し続けるのも珍しい。だって、普通は周囲に「これはおかしい」って気付かれるよね?と、思ったのだけれど、良く考えてみると現実の世界でも、つい最近尼崎の事件があった。意外と警察は無能で、殺人はバレないものなのかも知れない。
しかし、この映画の場合、なぜ殺すのかが良くわからず(いや、単にキチガイなんだろうけれど)、特に、それまではそこそこ計画を立てて殺していたのに、突然面倒くさくなって大量に消去することにしてしまったあたりの背景がきちんと語られなかったのはちょっと不親切だったと思う。もっと綿密な犯罪計画があって、心理描写があって、そして犯罪を隠蔽するための様々な工夫があって欲しかった。あと、殺し方も単純かつ単調で、これでは戦争映画を見ているのと変わりがない。結局、ただバンバン工夫なしに殺人を重ねる、という大味な映画になってしまった。殺す人数が多いので、「こまけぇことは良いんだよ」ということなのかもしれないけれど。
と、脚本やストーリーの観点からは特に見るべきところがなかったと思うのだが、役者の演技はなかなか良かった。「ヒミズ」の染谷将太と二階堂ふみ、「風が強く吹いている」の林遣都、「闇金ウシジマくん」の山田孝之、ここ数年は園子温の映画に多数出演して印象的な演技を見せている吹越満、他にも平岳大や岩松了など、良く集めたなぁ、というメンバーが並ぶ。役者の顔ぶれを見ていて三池監督って、園子温監督と仲良しなのかも知れないなぁ、と思って、「三池崇史 園子温」でぐぐってみたらやっぱり色々とコンテンツが出てきた。なるほど、という感じ。興味のある人はぐぐってみてください。
この映画自体は僕はそれほど評価しないけれど、ジャニーズやAKB、テレビ局が絡んで大量生産される駄作映画とは別の流れに存在する、今後の活躍が楽しみな役者さんがたくさん出演していたと思う。