2013年04月22日

日の出テレビのキャスターウォッチング パート3 草間剛さんの場合 前編

日の出テレビで付き合いのある草間剛横浜市議会議員に、3ヶ月ほど前に「なぜ政治家をやっているのですか?」と質問したことがある。以下は、その時の返答を文字起こししたものだ。

戦争をしたくないんです。いきなり話がでかくなるんですが、戦争って、どうですか?やでしょ?例えば映画とかで、レ・ミゼラブルとか、観ましたか?あれ、基本的にフランス革命のあとの映画なんですけど、あの時代って、虫のように人が死んでいくじゃないですか、国のために。飢餓が蔓延して病気が蔓延したり、法律が悪法で、法律のために死んでいるような人がいるような。僕らの時代は地球史上の中で、平和で、日の出テレビとかやっていられるじゃないですか。この平和を保ちたいと思っていて、僕らが60代ぐらいになる時って、危うい状況になる。大体100年に一度くらい大戦争が起きる。繰り返していて、いつ日本がそういう戦いに巻き込まれるかわからない。僕は基本的に戦争をしたくない。平和を保ちたいのです。僕は自民党にいて、自民党は右寄りと言われているんです。その右と言われている自民党の中で、平和をつくりたい。


個人的な感想を言うとすれば、世界中に、戦争をやりたくて戦争をやっている人たちがどれほどいるのか、戦争という手段を取らざるを得ない不幸な人たちに対して、「戦争をなくしたいから横浜市の政治家をやっている」というのはちょっと失礼なんじゃないかな、と思った。

これは、生活困窮者に「生活保護を受けなさい」というのは、その人が置かれている状況を無視したもので、じゃぁどうしたら良いのか、を考えてあげる事が重要、というのと基本的には一緒である。10の戦争があれば、10の背景があって、それを「戦争は良くないからやめなさい」というのは無責任だろう、と考えたわけだ。しかし、「日本が戦争に巻き込まれないために」という主旨ならわからないこともなく、横浜市の市会議員のコメントとして違和感は残るものの、ツッコミは入れないでおいた。

ところが、3月頭に、こんなニュースが流れた。

F35部品輸出:例外拡大、揺らぐ三原則 国連憲章根拠に
http://mainichi.jp/select/news/20130302k0000m010116000c.html

色々な考え方があるので、この判断自体は簡単に良し悪しを述べることができない。しかし、「日本が戦争に巻き込まれないためには」というスタンスからは、どういう意見があるのか興味があった。そこで、Facebookを利用して、草間議員に次のように質問してみた。

こんなニュースがありましたが、
http://mainichi.jp/select/news/20130302k0000m010116000c.html
戦争をなくしたい草間さんはこれを支持するんですか?


以下は、これに続く草間議員と僕のやり取りである。

草間剛 個人的な思いはありますが、ここは総統のアドバイスに従いたいと思いますm(__)m
3月3日 12:55

元木 一朗 え? こういう時、どうするんですか?

僕の感覚では、この方針は武器輸出三原則の緩和は戦争に向けた行動だと思うのですが、そういう主観を排除しても、草間さんの行動プランは

1.平和に向けた行動と解釈し、支持を表明する
2.戦争に向けた行動だと解釈するが、黙っている
3.戦争に向けた行動なので、反対の立場を表明する

の3つぐらいしか、選択肢はないと思いますよ?草間さんの場合、なぜ議員をやっているか、という問いに対する回答が「戦争をなくすため」なんですから、草間さんの議員としての理念の一番大切なところに関する問題です。ご自身の行動原理に照らして、どれを選ぶのか、あるいは第四の選択肢があるならそれでも良いんですが、ぜひお考えをお聞かせいただきたいところです。これができないなら、草間さんには政治家としての価値はないと思いますが。
3月3日 13:18

草間剛 前にいただいたFacebookのアドバイスと違うような気がするんですが、あえてFacebookで総統からいただくことに総統の意思を感じます。
3月3日 13:25

草間剛 ちなみに僕は1ですね。プラスすれば、だから自民が政権にいないとダメだと思います。
3月3日 13:26

元木 一朗 あ、草間さんの考えは、武器製造に寄与する活動は平和につながる、ということですね?すると、核を持つことも同様に平和につながるという考え方である、という理解でよろしいでしょうか?
3月3日 13:28

草間剛 電話でいいですか??
3月3日 13:29

元木 一朗 残念ながら、現在電車で移動中です。それに、せっかく衆人環視のFacebookというメディアを利用しているのですから、ここで構わないのではありませんか?それができないなら、最初からFacebookなど使わなければ良いのですし。
3月3日 13:43


この時点で、草間議員は僕とのやり取りから逃避した。そもそも、「総統のアドバイス」というのが意味不明である。ここで「総統」とは僕のことを指すが、僕のアドバイスと思われるのは、以前、日の出テレビの政治家に流した次の文書だと思われる。

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政治家向けネット利用のTIPS   作成:株式会社ライブログ
●理念を明確に
自民党の政治家の話を聞いていると、良く「生活者の方々の話に耳を傾けて」というフレーズを耳にする。これは、「主義主張」という面では本末転倒である。政治家たるもの、確固たる信念が先にあるべきで、生活者の意見によってこれがコロコロ変わってしまうのはおかしい。ただし、巷にある細かい問題に関する情報収集ということなら、話は別だ。どういう事例があるのかを細かくサーベイして、それを自身の理念に照らして対応を考えるというなら、どんどん話を聞くべきだ。
ポイントは、基本理念は一本筋を通したら、それをコロコロ変えるべきではない、ということだ。基本理念は、判断に迷った時に立ち返るべき性質のもので、それがないのなら、そもそも政治家になるべきではない。
ネットでの対応は、即時性が求められる。また、反応はあって当たり前で、何か投げかけられた時にすぐ反応しなければ、投げかけた側はストレスを感じるし、同時に不信感を持つ。では、即時対応のためには何が必要か。「理念」を持ち、それを詳らかにしておくことである。政治家のネット活動においてはこれが一丁目一番地である。

●柔軟性と、説明責任
理念を持つことは絶対だが、これは絶対に変えてはいけないわけではない。前提条件が大きく変わった場合は、理念が変わることもありうる。例えば原発が爆発したという事象を経験した時、自身のスタンスが変わってしまうことはありうる。
ただし、ホイホイ変わってしまうのは問題だし、それまでの理念を変えるなら、相応の説明責任がつきまとう。多くの生活者が、「そういうことなら仕方がない」と納得できるような説明が必須である。

●ソリューションを持つ
先日、知り合いの横浜市議が「車椅子生活者が困ったとき、相談できる人がいない。区内の障害者は約5,000人、一方で担当の区役所員は3人である」とFacebookで書いていた。僕が、「では、税金を増やすべきですか?」と質問すると、「それはダメです」との回答。続けて「では、どうしたら良いのですか?」と聞くと、「今、考えています」とのこと。これではダメだ。政治家は、自身のソリューションをきちんと持つべきだし、それがないのなら、こんな情報を発信するべきではない。
「問題があります。でも、解決策はありません」
これでは、それを読んだ生活者は不信感を持つ。なぜなら、問題の指摘は、評論家の仕事であって、為政者、実務者の仕事ではないからだ。
問題を指摘する以上は、たとえ間違っていても良いから、解決策についての持論をセットにすべきである。

●わからないことは、わからない
何がわかっていて、何がわかっていないのか、何が科学的で、何が科学的ではないのか、これは明確である。一方で、何が正しくて、何が正しくないのかは明確ではない。少なくとも、明確な部分については、それを受け止める必要がある。特に、科学的ではないことについては「科学的ではない」、科学的に実証されていないことについては「科学的には明確でない」という立場を取る必要がある。例えば、放射線の低線量被曝の健康被害についてはまだデータが十分ではなく、科学的には「わからない」。もちろん、わからない中でも判断しなくてはならないこともある。わからないから判断しない、ということではなく、わからないけれど判断する、という姿勢を表明することが必要である。その判断が、為政者の責任であり、覚悟なのだ。
例えば、厚生労働省の肝いりでスタートした特定保健用食品(トクホ)という制度がある。制度上、様々なハードルが用意されてはいるものの、トクホの有用性についてはわからないことが多い。
参考:高橋久仁子さん緊急寄稿! 「あしたのジョー」を信じていい? キリンメッツコーラの問題点
www.foocom.net/special/6893/
この事例などは非常にわかりやすいが、科学的に有用でも、実質的に有用ではないものも多いし、科学的な知見を拡大解釈しているケースも多々ある。大事なことは、どこまでが科学で、どこからが科学ではないのか、その線引きである。食品に関して言えば、大規模な疫学調査で有用性が認められた物質というのは僅少であるということを知っておくべきである。

●発言は訂正できても取り消せない
ネット上の情報は、一度発信したら削除するのは非常に難しい。特に問題発言は、様々な形で保存され、転送される。「一度発信したら最後、削除することは不可能」というくらいの覚悟が必要だ。だから、情報の発信にあたっては、細心の注意が求められる。
参考事例:http://blog.livedoor.jp/buu2/archives/51330553.html
では、訂正できないのかといえば、そんなこともない。お詫びして訂正すれば良いだけである。ただ、これを連発するのはかなり格好が悪い。可能なら、日本語が得意で、第三者的視点でアドバイスできる人間にフィルターをかけてもらう方が良い。
あとで天に唾を吐いていたなどとならないように。

●ブレイン選びも重要
きちんとしたブレインをつけるべきである。その際、政治的な主義主張などどうでも良い。あくまでもソーシャルメディアの運用能力で評価すべきである。
#ご用命は株式会社ライブログまで(笑)

●何かあったらすぐに対応する
周囲は味方ばかりではない。何か文句をつけられたら、なるべく早く対応する必要がある。これがTwitterぐらいならスルーしても構わないこともあるが、自身のブログやFacebookなどの場合は無視はダメである。また、急いで対応するにしても、必ずブレインに相談することを忘れずに。慌てず、急いで、正確に。

●誤字脱字は絶対にダメ
変な日本語を使っていると馬鹿にされる。Twitterなどでつぶやくときも要注意である。また、文法的に正しければ良いと勘違いしている人も見受けられるが、文法だけではなく、文体も重要である。日本語能力に自信がない場合は、必ず添削してくれるスタッフを用意するべきである。
悪い例として、片山さつき氏のTwitterが挙げられる。
また、誤字脱字がダメなのはあたりまえ。Wordで原稿を書けば、怪しい部分には赤い下線がひかれるので、それを参考にすると良い。

●ネット利用は「先行」と「継続」
ネットの情報発信の効果は、なかなか顕在化しない。その威力は徐々に発揮される。一方、長時間かけて作りあげたブランド力は、容易に逆転されることがない。地道な作業によって築き上げられた地位は、簡単に逆転できない。つまり、早めにスタートして地道に継続することで先行逃げ切りが可能だし、逆に出遅れた場合、追いつき、逆転するのは非常に難しい。
また、ブランドを築きあげるのは非常に大変だが、失敗によって転げ落ちるのは瞬時である。

●新しい支持者を獲得するためのツールではない
基本的に、ソーシャルメディアは「既存の人間関係のメインテナンス」のためのメディアで、同時に「新しい敵を作る」メディアである。メインテナンスには大きな力を発揮するが、「新しい支持者」を獲得することは非常に難しい(新しい敵は比較的簡単に作ることができる)。したがって、もし利用するなら、あくまでも既存の支持者に対しての情報発信に注力すべきである。その範囲においては、使い方次第できちんと効果が出る。
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この文章は「ライブログ」の作成となっているが、僕が作ったものなので自分で内容はよく理解している。この文章のどこに抵触して、「返事はしません」「電話で回答します」となるのかが理解できなかった。

まぁ、この程度の人なんだろうな、と判断し、以後、草間議員とは接触を持たないようにしていたのだが、数日後、草間議員がFacebook上で「日米桜交流100周年」に言及していたので、ちょっとちょっかいを出してみたくなった。

後編に続く

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