2013年04月27日

アイアンマン3

iron man3


大好きなアイアンマンシリーズの第3作。過去2作の評価はこちら。

アイアンマン
http://blog.livedoor.jp/buu2/archives/50738798.html

アイアンマン2
http://blog.livedoor.jp/buu2/archives/51036183.html

さて、本作なのだが、過去2作の良かった点はトニーのお茶目っぷりと、それに絶妙に絡んでくるペッパーのユーモアだった。ところが、本作ではそれらが非常に薄口である。トニーは鬱っぽくて、それに連動してペッパーの真面目っぷりが空回りしている。どうしてこうなった、って、理由は簡単で、アベンジャーズに参加してしまったからだ。これまでアイアンマンの世界にはハルクもソーもキャプテンも宇宙人もいなかった。しかし、アベンジャーズに参加してしまったため、それらの影だけが残ってしまった。

ウルトラマンと仮面ライダーが一緒の映画に出ても、TVシリーズではなかったことにして話が続くはず。怪獣を連れてきたのが実はショッカーだった、などという展開を観たことがない。ウルトラマンAにセブンやウルトラマンが出てくることはあるけれど、違っているのは防衛隊の名前とメンバーぐらいで、世界観に大きな違いがあるわけではなく、好意的なスタンスからは「数年の間に改組があったのかも知れない」と解釈してもらえると思うのだが、やはりアイアンマンとキャプテン・アメリカの同居は困難だろう。ところが、この映画は「アベンジャーズ」をなかったことにせず、相乗効果を狙ってしまったようだ。

おかげで、作品の世界観そのものが歪んでしまい、過去2作が持っていた良さが失われてしまった。では、何か得るものがあったのか。これが残念ながら見当たらない。過去の2作がイマイチだったのなら諦めることも簡単なのだが、マーベルのシリーズの中では最もお気に入りだっただけに残念でならない。

キャラクターの性格まで変えてしまうような大事件を引き受けたなら、なぜ本作ではヒーローたちが助っ人として現れてくれないのか。なぜ、相変わらず孤軍奮闘しているのか、不思議でならない(とはいえ、エンドロールまで観ると、その不思議感は若干緩和されるのだが)。『「アベンジャーズ」の戦いから1年。----すべてが変わってしまった。』というのは嘘ではない。作品自体は、つまらない方へ変わってしまった。

加えて、「さらば----アイアンマン。」という宣伝文句はどうなのか。米国のIRON MANのポスターを見ても、そんな煽り文句は見当たらない。アイアンマンの場合、トニーは時間さえ許せばいくらでも強化スーツを製作することができるので、「さらば」と言うなら、トニーが死ぬとしか考えられない。すでにアベンジャーズの続編の製作が発表されている状態で、「さらば」はないだろうと思う。

アベンジャーズや過去の2作品と微妙に関連性を持たせたストーリーなので、時間に余裕がある人は、それらをビデオで復習しておいた方が良い。「そんな金儲け主義の陰謀には乗せられたくない」というひねくれ者は、何も見ずにどうぞ。ちなみに僕はひねくれ者の方でした。

評価は☆1つ半。

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