せっかく熊本まで来たので、美味しいものでも食べようということになって、人吉に鰻を食べに行くことにした。すると、「人吉に行くなら、ラフティングか、包丁作りだ!」と強硬にお勧めする知人がいたので、それなら包丁を作ってみよう、と、人吉クラフトパークに出かけた。正直、「どうせ大したことないだろう」と高をくくっていたのだが・・・。
クラフトパークは革細工とか、陶芸とか、色々と体験できるのだが、陶芸はその場で焼いてくれないようなので、迷わず包丁を作らせてくれる鍛冶工房へでかけてみた。
やる気満々で、朝一から入門である。
いさんで工房の戸を叩くと、師匠が待っていた。さぁ、作るぞ、と思ったら、師匠ご夫婦が「まぁまぁ、まずはお茶でも』というので、まずはお茶を御馳走になることにした。
何やら熱そうなところにヤカンを置くと・・・
ちょっと休憩である。と、師匠の向こうで、物凄い勢いで加熱されるヤカン。
ほんの15秒ほどでお湯が湧いてしまった。これは熱い。
あっという間に熱湯が湧いたので、お茶を飲みながら今日の作戦会議である。僕は刺身包丁が欲しかったのでその旨を伝えると、「それは無理だ。いきなりそんなのは作れない。まずは皮むき包丁か野菜包丁にしなさい」と言われてしまった。しょぼーん。でもまぁ、確かに刺身包丁は細くて長くて難しそうだ。ここは高望みせず簡単な野菜包丁にしてみることにした。
包丁のもととなる金属はこんな感じである。
こんなものがちゃんと包丁になるのか、ちょっと不安だったのだが。
まずは金属片を高熱で熱して、熱いうちにうつ。
まさに、鉄は熱いうちに鍛えよ、である。
ハンマーで叩くのかと思ったらさにあらず。鍛冶も近代化しているようで、足元のペダルを踏むと凄い勢いでガンガンガン、と、叩いてくれる。
こんなもんかな、と思ったら、師匠が最後の仕上げをしてくれた。平たく伸ばすのが完了したら、次はヤスリで整形する。こちらも電動である。
加減がわからないのでおっかなびっくりやっていたら、最後に師匠が登場して仕上げをしてくれた。
ここで包丁の形が決まる。あとは研ぐ作業だ。まず電動のグラインダーで研ぐ。
そのあと、水場に行って、砥石で研ぐ。ビショビショだったので、写真はないのだが・・・。研ぎ上がったら、最後に名前を入れてもらって出来上がりである。
お師匠様と記念写真。
あとで野菜を切ってみたら、これがなかなかの切れ味である。僕の場合まちかんの包丁を使っているので、それ以上の切れ味はないんだけれど、そこは自作の包丁だから仕方がない。まちかん以外の包丁よりはスパスパ切れるのは間違いない。
うーーーーーむ、包丁作りなんて体験できる機会はほとんどない。おまけに完成品の質が素晴らしいのだから文句のつけようがない。人吉クラフトパーク恐るべし。ちなみに体験料は皮むき包丁だと3,000円、野菜包丁だと4,500円である。
人吉クラフトパークはウェブサイトまで手作り感満載な感じである。↓
http://h-craftpark.com/
お師匠さんは蓑毛裕さんという方でした。
熊本県の工芸家紹介
http://kumamoto-kougeikan.jp/kougei/cn7/cn42/pg641.html
蓑毛裕(人吉市) 文化 伝統工芸 鍛冶屋
http://www.hitoyoshikuma.com/kacha/jinzai/minomo_yutaka.html