熊本県民の知人に「美味しい店はどこだ」と聞いたら教えてくれたのがこの上村うなぎ屋である。せっかく熊本まで来たのだから、これを食べない手はない。ということで、お昼前にお店に到着。
すると、すでに店の前には行列があって、駐車場は第4駐車場まで一杯。大繁盛である。人吉まで鰻を食べに来たのだから、もちろん行列の最後尾についたのだが、僕までで待っているのは7人。これならそれほどでもないかな、と期待。しかし、そこはうなぎ屋。店に入るまでに約20分を要した。
店内は非常に落ち着いた雰囲気・・・
の席もあるが、そうでもない席もあって、かなり雑多な感じである。僕は相席のテーブル席になった。「つかみどころのない奴だが 腹を割いて焼いて見りゃ ちったあ味のある男」と書かれた色紙が貼ってあったのだが、あとから聞いたら森繁久彌の筆によるものだったらしい。
さて、席についてから待つこと約30分、いよいよ鰻の登場である。
鰻について良く言われるのは、関東の背開き、関西の腹開きである。関東は切腹をイメージすることから腹開きを嫌ったらしい。ところが背開きにすると、切った鰻の切り口が硬い。おかげで、鰻を蒸すことができる。これが腹開きだと、端の身が柔らかいのでぽろぽろ砕けてしまうらしい。ということで、関東では背開きにして、さらに焼く前に蒸すことによって、ほっこりと柔らかい蒲焼が作られるようになった。一方で関西は相変わらず腹開きだったため、蒸すことができず、いきなり焼くことになったそうだ。
ところが面白いのは、九州のこの地域は背開きなのに、蒸さないらしい。つまり、関東とも、関西とも違う文化圏なのだ。
さて、その鰻を食べてみると、蒸していないので、皮がしっかりしている。ちゃんと火が通っているのに歯ごたえがある。最初、あれ?火が通っていないのかな?と疑ってしまうほどだった。でも、食べ慣れてしまえば問題ない。なるほど、こういうものなのか、と思いながら、うな重2,100円也を完食した。
正直なところ、「ここは美味しいよ」と言われたお店なら、ほとんどの店で美味しいと感じてしまう味音痴なので、江戸川橋の石ばしでも、小淵沢の井筒屋でも、諏訪の小林でも美味しいと感じるのだけれど、この店もなかなかに美味しかった。人吉まで来たら、ここの鰻を食べることはかなりオススメである。
店名 上村うなぎ屋
TEL 0966-22-3312
住所 熊本県人吉市紺屋町129
営業時間 10:00〜15:00 17:00〜21:00
定休日 不定休