2013年05月10日

ライフ・オブ・デビッド・ゲイル



レンタルビデオで鑑賞。

4日後に執行を控えている死刑囚から依頼を受けて彼の話を聞くことになったジャーナリストの4日間を描いたもの。なぜ彼が死刑になるのかをジャーナリストの視点で謎解いていく形式になっている。

そこそこにうまくできているとは思うのだが、ミステリーにすっかり慣れてしまった現代人にはちょっと親切過ぎる作りのような気がする。「あぁ、こういうことなんだろうな」と思ったものが、ちょっとあとにそのまま画面で展開されるので、「あぁ、やっぱり」となる。いくつかの複数の段階を踏んでのどんでん返しが用意されているものの、そのどれもが非常に親切で、それは最後の最後まで続いていく。

ちょっとどうなのかな、と思ったのはジャーナリストの実地実験で、そこまでしなくちゃわからないかなぁ、と思ってしまった。明智光秀、金田一耕助、コナンあたりだったらすぐに「ピコーン!」となりそうだ。でも、現場で横にならないとわからない雪平夏見だと、あそこまでやるかも知れない。

主人公が牢屋の中で語った「Then there comes a point - a moment - in life when your mind outlives its desires, its obsessions, when your habits survive your dreams, and when your losses... Maybe death is a gift.」というセリフは、ラストまで見て初めて「なるほど」となる。また、主人公の同僚女性の描写なども、ちょっとした会話などに散りばめられているものがある。こういう細かい伏線はそれなりに巧妙に張られていて、脚本の出来はそこそこだと思う。とはいえ、同じアラン・パーカー監督による、同じような構図(代理で事件を調査するストーリー)の「エンゼル・ハート」に比べると、ちょっと親切過ぎる気もする。もうちょっと、「えーーーーっ!!!」というサプライズがあったら良かったのに残念である。ただ、そのあたりは監督の政治的主張が優先されて、わかりやすいストーリーになったのではないかと推測する。

僕は死刑賛成派だけど、こういう映画を観ると、犯人によってはgiftになってしまうこともあるのかな、と思ったりもする。賛成派のポジションは変わらないけれど。

評価は☆2つ。

以下、ネタバレは追記に。








この映画は、死刑制度反対派のアラン監督が作った、メッセージ色の濃い映画である。もちろん、死刑制度の問題点を突いているのだけれど、映画で展開されるのは、現在の法制度を利用して、法律関係者や、その背後にいるマスコミ、一般市民を騙すことである。あるいは、関係者を騙して安楽死を実現したという取り方もできる。巧妙にひっかけただけなので、正直なところ、ちょっとどうなのかな、と思う。

個人的には、死刑云々より、女子学生の策略によって何もかも失ってしまうあたりが「それでもボクはやってない」に通じるところがあって、怖かった。

この記事へのトラックバックURL