マエアツ主演のホラー映画である。正直、全く期待していなかったのだが、思いのほか、怖かった。何しろ、マエアツの顔が怖い。もともと、ホラーに似合う顔立ちである。
では、大満足かと言われれば、それほどでもない。問題はストーリーと演出。
ストーリーの問題点は、全てが投げっぱなしということである。たくさんの伏線のうち、いくつかはきちんと回収されたものの、残ってしまったものが目立つ。また、「志村、後ろっ!後ろっ!」ではないが、「どうしてお前はそこへ行くのか」という場面が少なくない。それらのいくつかは回収される伏線なのだが、それはそれであからさますぎて、あっという間に「あぁ、こういうことか」と察しがついてしまう。何も考えずに「こえーーーーーっ」「ぎゃーーーー」と叫びたいならともかく、きちんとストーリーを追っていきたい人にはちょっと食い足りない内容だと思う。
演出面では、まず出演者たちの動きがスローなのが良くわからない。どんな効果を狙ったのかわからないが、人間の動きが遅いし、人物目線のカメラワークも動きが鈍い。これが何かの効果を出しているのなら良いのだが、少なくとも僕は「なんか、とろとろしてるな」という違和感以外のものを感じなかった。祈祷シーンの演出は何か滑稽ですらあって、思わず笑ってしまった。この点も含め、クライマックスに近づけば近づくほど演出が不自然に過剰になるし、特撮はちゃちくて、全体の雰囲気がおかしくなってしまった。
あと、あの目覚まし時計はいくらなんでも音が大きすぎる。
マエアツは、演技力は結構あると思う。でも、この映画では、他の部分がグイグイ足を引っ張っていた。まるで地面に穴が開いてそこに引きずりこまれているような感じである。演技派女優を目指すなら、もうちょっと監督を選んだほうが良いと思う。
評価は☆1つ半。
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