ここ一ヶ月ぐらい、僕のブログの過去記事の中でトップ5に入るアクセスを誇っているのがちゃぶ屋の倒産についての記事である。皆さんちゃぶ屋に注目しているのですね、ということで、後楽園のラクーアにオープンしたもりずみキッチンを食べて来ました。以下、評価です。
名称:もりずみキッチン
種類:東京西部
場所:後楽園
注文:特製醤油らぁ麺
評価:5/ABC
2013.7.16
コメント:潰れてしまったちゃぶ屋のオーナーだった森住さんが、再起を図って後楽園に開店したお店。
麺は太めの平打ちタイプ。コシ、スープの絡みともに問題ないが、スープとの相性はイマイチ。ここまで太い麺だと、この店のような脂の多いスープでは味が足りなくなる。でも、スープが薄味なのではない。麺の体積が麺の表面積に比較して大きすぎるのだ。多分森住さんは、本音ではこの麺を使いたくないだろうな、と思う。麺の体積を抑え込むスープにすれば、今度はスープの問題が表出する。こってりタイプのスープなら麺の体積をカバーすることも可能だが、それをやればあちこちにある濃厚魚介系のラーメンと差別化できなくなる。では、なぜこういうタイプの麺にしたのかといえば、誰でも失敗なく調理できる、つまり経験の浅い麺方でも大丈夫なように、という配慮からだと思う。場所が場所だけに長時間の営業が避けられず、その間、常に麺方に熟練者を配置することが困難なら、品質を安定させるには麺を太くするのが一番簡単かつ唯一とも言える解決策だ。このあたりの詳細については拙著「ラーメン屋絨毯爆撃 池袋編」の「箸休めコラム:ラーメン20年」に詳しく書いたところである。
スープは多分鶏ベーストンコツブレンドの醤油味。スープ単体では味はかなり濃い。が、スープ表面の脂の膜が麺に味付けするのを邪魔しているし、前述のように太い麺を食べさせるには力不足。また、魚介系の味が前面に出ているのは良いのだが、後に苦味が残るのが惜しい。麺と脂の量が違えば随分と違った印象になると思う。丼の形状が、上部が小さめで急勾配の円錐形で、あぁ、スープの量を減らして単価を下げたいんだなぁ、と推測するのだが、この形状のせいで一層脂の層が厚くなっているのだと思う。
チャーシューは肉質が悪くトッピングする価値はない。
お店は座席数もそこそこだが、店員が8人もいた。一人1,000円の時給としても8,000円である。800円のラーメンで、原価率が30%としても、バイトの給料だけで一時間あたり15人ぐらいのお客さんが必要になる。これに光熱費や場所代などを積み上げていくと、行列ができるくらいじゃないと厳しいんじゃないかと思うのだが、今日は夕方の6時過ぎで客数は一桁だった。他店舗展開店の看板店ならともかく、単一店舗で黒字にするのにはちょっと苦労しそうな感じである。
麺、スープなど、いくつかのポイントでコスト軽減を目的としたと想像できる工夫が見受けられるのだが、そのために犠牲になっているのはもちろん「味」である。
ところでこの店のあたりは一蘭があったのだが、なくなっていた。僕が知る限り、一蘭が閉店した初めての事例である。 このことからも、前途多難な気配がある。
店名 もりずみキッチン
TEL 03-5840-7065
住所 東京都文京区春日1-1-1 東京ドームシティ ラクーア 2F
営業時間 11:00〜22:00
関連エントリー
ブウ*の視点「ちゃぶ屋倒産に見る『ラーメン屋使い捨ての時代』到来」
ちゃぶ屋(移転前)の評価
ちゃぶ屋(移転後)の評価
MISTの評価