2013年11月18日

悪の法則

counselor


最近、良い役をやることが多いマイケル・ファスベンダー主演、キャメロン・ディアスとブラピの有名どころにハビエル・バルデムとペネロペ・クルスの夫婦が共演した作品。

サスペンス映画のように宣伝されているけれど、謎解きの要素のないクライムムービー。観る側は「この人、なんでこんなことになっちゃったのかな?」と、登場人物以上に情報がない状態で話が進んでいくので、途中で油断することができない。ところがその謎の多くは最後までなされない。いくつかのヒントは散りばめられているけれど、何も語られないことも少なくない。ストーリー上に矛盾があるわけではなく、あとは勝手に想像してください、ということだ。全部がきっちりはまるジグソーパズルのような作品ではなく、むしろ、あちこちのピースが足らなくて、全体像は観る側が想像して補完しなくてはならない。

最近ときどき見かける米国とメキシコの国境を舞台にした作品。この地域の特徴は人を殺すことがゲームのように日常的に行われているということ。東西冷戦、テロ組織と続いた犯罪映画の舞台は、アフリカや中米といった貧困地域へと移ってきているようだ。虫けらのように人が殺されていくのだが、その残酷な殺し方を馬鹿っ丁寧に描いているので、観ていて首元が涼しくなってくる。日本人が観ると非日常感がめちゃくちゃ強い。

そんな映画なので、独特の緊張が張り詰めていて、いつ殺されるか、どうやってやられるか、とビクビクしながらの鑑賞になる。おかげで最後まで退屈することはないのだが、鑑賞後の後味は決して良くない。月刊シネコンウォーカーでは「甘味な後味」と書かれていたけれど、異常に苦い後味だった。

有名俳優が出演しているスタイリッシュなサスペンスだと思って初デートで観に行くと、終わった頃には気まずくなっていることうけ合いである。あと、覚えにくい邦題がいただけない。字幕は松浦美奈女史。

評価は☆1つ半。

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