2013年11月26日

千と千尋の神隠し



実は、きちんと最初から最後まで観たことがなかった。それで「宮駿で面白かったのはカリオストロとラピュタまで」と言ってしまうのは問題があるので、DVDを借りて観てみた。

すると、これが面白い。面白いだけでなく、非常に高い作家性を持つ作品だった。ストーリーは暗喩のようなものが散りばめられているけれど、必要以上に説明するわけではない。解釈に自由度があって、色々な受け止め方ができる。恐らく宮駿の頭のなかでは理路整然とストーリーが構築されているのだろうが、それをあえて押し付けないようにしているところが凄い工夫である。こういう、色々な解釈が可能な作品というのは、作れそうで作れないと思う。ストーリーが成り立つ程度に説明をぼかすという作業は非常に難しい作業なのだ。

一部に環境汚染を批判するような説教臭さはあるものの、それも別に鼻白むようなものではない。

あのシーンはなぜ?これはどういう意味?カオナシってなんなの?と、色々な疑問が湧いてきて、それでいて、その答えは一つではなく、それを観た人たちの人生を映し出すものになる。子供に「これはどういう意味なの?」と問われると返事に詰まりそうだが、それを聞いた子供たちがおとなになった時、改めてこの作品を観れば、子どもの時に観た感想とも、両親から聞かされた解釈とも違う感想を持つのではないか。一家に一枚、永久保存版として保管しておいて損のない作品である。

あと、ストーリーとはちょっと関係が薄く感じられるけれど、エンディングの「いつも何度でも」はやはり素晴らしい。

評価は☆3つ。

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