試写会で2D版を鑑賞。
登場人物が二人しかいないという点で異色を放っている作品。正確には声だけの出演があるものの、基本は「サンドラ・ブロック、ジョージ・クルーニー、以上」である。それもそのはず、宇宙空間で浮遊する二人を描いた作品なので、他に誰かが登場するスキがない。
シャトルから船外に出て作業中に宇宙のゴミが飛んできて母船が大破、さて、どうする、という内容なのだが、何分にも持っている酸素に制限があるので、長い映画になりようがない。おかげで90分という短い作品になっているのだが、それでも間延び感が拭えない。どうやって引き伸ばすかと言えば、普通の会話が延々と続くのだ。セリフで抑揚をつけようと思えば、「酸素が少ないんだから、静かに話せ」としかられてしまうのだろう。内容だけでなく、しゃべり方も物静かだから、観ていて猛烈に眠くなる。体調不良や寝不足、鎮痛剤を服用した状態などで観てしまうと、ついつい安らかな眠りに落ちてしまうに違いない。時々爆発があったりして目が覚めるけれど、基本的にふわふわ浮いているか、ヨーヨーのごとく宇宙空間を行ったり来たりするだけなので、すぐに飽きてしまう。
観ていて感じたのは、「これ、3Dなら画像的に面白かったかもなぁ」ということ。内容は全く大したことがないのだが、観たことのない映像を展開していることは間違いがない。「アバター」以後、なかなか3Dで良かったと思える映画に行き当たらないのだが、この映画は3Dで観たら面白いかも知れない。しかし、いかんせん、2Dの試写会だったので、眠くなった。「みんなに観てもらうために」という主旨で試写会を開催するのであれば、3Dでの上映にするべきだった。これまでも、「マン・オブ・スティール」などで大規模な一般試写会をやった実績があるのだから、やってやれないことはなかったはずだ。
さて、今回は試写会だったので、各種コメントが掲載されたコマーシャル素材をもらった。そこに書かれている煽り文句に対してもコメントをつけておく。
衝撃と感動の90分 > 感動するところは特にない
アカデミー賞最有力候補 > 作品賞は無理、撮影賞や視覚効果賞なら可能性あり
観客の約80%が3Dで鑑賞 > 今回の試写会はなぜ2Dだったの?
史上最高の宇宙映像 > スター・ウォーズやエイリアンの方が上のような気もする
史上最高の宇宙映画 > 2001の方が上のような気もする
後半、涙が止まらなかった > 涙は出ないだろ、いくら泣き上戸でも
あと、なぜ原題Gravityがわざわざゼロ・グラビティに変更されたのかが謎。
評価は☆半分。ただし、3Dで観れば☆1つ以上アップする可能性もある。じゃぁ、IMAXでもう一度観ますか?と言われれば、ただなら観るけど、お金を払うのは嫌だな。