2014年02月14日

久しぶりにうえだ@志木に行ってチャーシュー麺

志木のうえだは店主のおばさんがマスコミ的に使い勝手が良い人物なので、この界隈では突出してメディア露出が多い。おかげで、最近はいつ行っても実力不相応の大行列になっていて、全く食べに行く気にならない。


(大行列のうえだ)

しかし、今日は朝からの雪なので、さすがにこんな日にわざわざ遠くから食べに来る酔狂なラーメンオタクもいない。こんな時にしか食べることができないので、ちょっと雪の中、行ってきた。予想通り、駐車場は一台も停車している車がない。店内も、客は僕を含めて二人だった。

券売機に1,000円を投入し、「肉つけ」のボタンを押すと反応がない。どうやら売り切れのようだ。この店で一番美味しいのは確実に肉野菜つけ麺なのだが、ここ数年、提供しているところを見たことがない。そして、このエースが不在の時、困ってしまうのがこの店なのだ。まず、「特濃」はすっかり食べ飽きてしまった。ハードとライトの二種類があるが、あえて食べるとすればハード。しかし、脂多め、味濃い目で、必ずお腹の調子が悪くなる。味も、突出して良いわけではない。この店が突然「埼玉の地ラーメン」を自称し始めた焦がし醤油は脂が強すぎて全体のバランスが悪い。チーズ担々麺はこの店が時々やらかす失敗作でとても食べられる商品ではない。そうやって、消去法で進んでいくと、最終的には「チャーシュー麺」ぐらいしか残らなかった。正確にはまだ食べたことがない「すっぽん」というのがあったのだが、1,800円も払って大冒険するのはちょっと気が引けた。

店内は長いこと一緒にやっていたおばちゃんがいなくなっていて、代わりに若いお兄ちゃんが二人。そのうちの一人が食券を取りに来た際、「チャーシュー麺は醤油と塩がありますが?」とのことなので、無難に醤油を指定。すると今度は「醤油は、豚と鶏がありますが?」とのことなので、ここでも保守的に鶏を指定。出てきたのはスープの色が濃い目で、脂が強そうなラーメンだった。



一口スープを飲んでみると、予想通り脂が多い。おかげでちょっと味がぼけているし、熱すぎて口の中を火傷しそうだ。慎重に食べようと思いつつ、麺を一口。この手のこだわりラーメンにありがちな、麺の匂いが気になるもの。小麦の匂いは、一つ間違えると「臭い」になってしまうのだが、この麺はそのギリギリのところにいる。デリケートな人が食べれば、臭いと思うはずだ。そして、ギリギリと言えば、スープの絡みもギリギリである。脂とのバランスを取る意味で濃い目に設定されている味だが、それでも麺を食べさせる領域には達していない。いや、ギリギリで、達しているのか?ここも、本当にギリギリのところである。一つ間違えたら、あっという間に崩壊するバランスだ。そして、そのバランスを崩すきっかけになりそうなのがチャーシューである。こちらはタダの煮豚が多い昨今のラーメン界において珍しい、しっかりと風味付けしたチャーシューである。多くの店が単にスープのカエシなどを利用しての煮豚を作るのは、スープとの調和を考えてのもの。同じ方向性のものを使って煮ていれば、その完成品をラーメンにトッピングしても、味を大きく乱す心配はない。しかし、違う煮汁で豚肉を煮てしまえば、大量にチャーシューをトッピングするチャーシュー麺では特に、その影響が見過ごせない。では、この店はどうか。幸いにして、濃い目の味付けのスープがバランスの崩壊をギリギリのところで防いでいた。ただ、スープとの相性はそれほど良いとは言えなかった。味付けをするにしても、ちょっと方向を変えるべきだと思う。

麺、スープ、チャーシュー、全ての要素において、満点はつけにくい。普通に評価すれば、4/BBBが精一杯。そして、一つ間違えれば、すぐにどれかの要素がC評価に落ちても不思議ではない。その、綱渡りのような絶妙な、いや、非常に危なっかしいバランスを楽しみたいのであれば、この店の行列に加わる価値があるのかも知れない。僕は絶対に並ばないけれど。

ちなみに石神色紙(正確には、色紙ではないようだが)の店である。



店名 麺家 うえだ
TEL 048-471-8808
住所 埼玉県新座市東北2-12-7
営業時間 [火〜金]11:30〜16:00 [土・日・祝]11:30〜16:00
定休日 月曜日(祝日の場合は翌日)

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